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エレノアとニックはとりあえず無事とわかった

「シヅ」

「シヅお姉様っ」


 エレノアとニックが部屋に駆けこんできた。ふたりは、迷うことなくわたしのところにきてわたしを抱きしめた。


 夫、あるいは父親のカイルではなくわたしを、である。


「ニック、エレノア」


 天使と親友に抱きしめられ、不快に感じるわけはない。


 座ったままふたりを抱きしめてから、そのまま隣に座るよう促した。


 そのときには、デニスとクラリスも部屋に入ってきていた。


「四人の使用人たちは、隣の部屋で控えています」


 最後に入ってきたライオネルが控えめに報告した。


 そのライオネルのうしろから、なんと少佐まで入ってきた。


「貴様っ!」


 大佐がわたしの隣で立ち上がった。


「座りたまえ」


 そして、ソッコーでサミュエルにたしなめられた。


 大佐は、しぶしぶ座り直した。


「シヅ、オールドリッチ王国に行くんですって?」

「シヅお姉様、帰ってこないの?」


 なんと、エレノアとニックの中では、すでにわたしはオールドリッチ王国に行くことになっている。


「え、ええ」


 戸惑いつつ視線をカイルへと向けると、彼はかすかに頷いた。


 その無言のやり取りもまた、ベンのときと同じだ。


「ちょっと親戚に会わなければならなくて。どうやら、親戚がわたしのことを目障りだと思っているらしいの。だから直接会って分かり合わなければならないみたい」


 エレノアは、わたしがその親戚に命を狙われていることを知っているはず。だから、下手に嘘をついたりごまかしたりは出来ない。


「ちょっと行ってくるわね。ニック、心配しないで。用事がすんだら戻ってくるわ。そうしたら、以前約束したようにみんなでブラックストン公爵家の牧場に行って乗馬をしましょう。もちろん、バーベキューも。デニス、クラリス、そうよね?」


 あらためてニックを抱きしめ、彼に言ってからデニスとクラリスに同意を求めた。


「ああ、そうしよう。楽しみだ」

「ちゃんと準備しないといけないわね」


 デニスとクラリスは、バッチリわたしに合わせてくれた。


「エレノア、あなたもいいわね?」

「え、ええ、シヅ。ニックと待っているわ」


 彼女と視線を合わせ、頷き合う。


「では、こちらへ」


 そのタイミングで、ライオネルが彼女たちを連れだした。


 どうやら彼女たちは、この客殿ですごすことになるらしい。


 わたしがオールドリッチ王国の暗殺部隊と接触すれば、彼女たちが狙われ危害を加えられることはないだろう。


 心からそう願っている。


 だからこそ、わたしが暗殺部隊と接触するのだから。


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