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ようはわたしなのよ、わたし

「いま思いついたのですが、ようはわたしなのですよね?」


 またしても思いついてしまった。


 カーティスと大佐のケンカが再燃しきる前に、確認しておきたくなった。


「サミュエル。オールドリッチ王国の玉座を欲しがっている連中が狙っているのは、わたしなのですよね?」


 ようはわたしなのだ。この騒動の元凶は、結局はわたしなのだ。


 せっかくの思いつきなのに、サミュエルは無言のまま反応がない。


 しかし、その渋カッコいい顔のおだやかな表情でただ見つめられるだけで、わたしの思いつきが推測や予想ではないことがわかった。いま言ったことは、事実であり現実なのだ。


「だったら、わたしが殺されればいいのではないかしら? あるいは、暗殺者どもにさらわれて、オールドリッチ王国にいる『わたしを葬り去りたい派』の連中に嬲り殺しにされれば? そうすれば、暗殺者どもはこの国からいなくなる。だって、目的を果たしたのですもの。ここにとどまる必要はないわよね? もしかすると、カーティスあたりは目障りだからと消されるかもしれないけど。それでも、他の多くの人たちは助かる。そうじゃないかしら、サミュエル?」


 彼の黒い瞳をしっかり見据え、わたしが言ったことをさらに肯定するよう促した。


 いまのは、確認ではない。


 決定事項なのだ。あるいは、意思宣言とか決意表明といったところか。


 つまり、これからそうするつもりだから邪魔をしないで。ついでに、そのかたい決意を翻意させることはできない、ということである。


「シヅ、驚いたよ。きみの奇抜さ、これは失礼。またしても失言だった。あらためて、きみの勇敢さはまったくの想定外だ。」


 サミュエルは、今度は言葉で反応してくれた。しかも、喉の奥を鳴らすような笑い声まであげた。


(バカにしているというよりか、呆れ返っているのね)


 きっとそう。彼だけではない。カーティスや大佐も口をあんぐり開けてわたしを見ている。


「別に自棄になっているわけではないのよ。それから、なめているわけでもないし軽く考えているわけでもない。まぁ、たしかに考えるのが面倒臭いってことはあるかも。ほら、わたしって『脳筋バカ』だから」


 少佐だけでなく、大佐にもいつもそう思われている。


 実際、そうなんだけど。




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