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鈍感と誤解

「わかったの。ひらめいたのよ。カーティス、あなたがわたしと婚儀を挙げようとしたのは、というか、わたしを利用しようとしたのは、わたしが女王になるかもしれないからでしょう? 敵であるオールドリッチ王国の女王を妻にすれば、自分が国王になる。いや、そうじゃないわね。婚儀をするなんて言いだしたのは、マクレイ国の国王に『わたしを利用してオールドリッチを支配下に置くので、その前に自分を後継者にしろ』、とでも持ち掛けたんでしょう?」


 思いついたことを言いながら、ふと思い出した。


 カーティスからオールドリッチ王国と戦争をしていると聞かされたとき、自分のそう遠くない先祖がそこの支配者だったことを、彼になぜか言わなかった。いや、そういう気分になれなかった。


 いまにしておもえば、潜在的にストップをかけたのかもしれない。


 つまり、わたしの「野生の勘」がそうさせたのかもしれない。


「シヅ、おれの話を聞いていたのか? というか、きみはどうしてそうおれをそう曲解しているのだ?」


 カーティスは、執務机の向こでショックを受けている。


「カーティス。すごく言いにくいんだけど、あなたは最初から胡散臭かったの。そのイメージが拭えないでいるから、どうしてもそんなふうにしか思えないの」

「ああ、いえてるな」


 大佐が隣でおおきく頷いた。


 ひさしぶりに大佐と意見が合った気がする。


 いずれにせよ、わたしの推測はほぼほぼあたっている。


 結局、彼はわたしを利用して二国の実権を握りたいのだ。


(なにが国民のため、よ)


 彼は、いかにもいい王子のように熱弁を振るっていた。だから、「いい王子なのかも」なんてだまされそうになった。やはり、そんなことはなかったのだ。


「オールドリッチ王国には、凄まじい産出量を誇る鉱山がいくつもある」


 隣で大佐がつぶやいた。とはいえ、つぶやきにしてはおおきかったけれど。


「めずらしい種類もあってな。かの国は利口だ。この辺りの国とは一切取引をせず、遠い国や違う大陸にある国々と取引をしている。この辺りの国は、その情報さえ入手するのが困難というわけだ」

「もちろん、彼はその情報を知っているんですよね?」


 カーティスを指さした。だれかを指さすなんて、人としてやってはいけないことだ。しかし、カーティスにたいしてはよしとする。


「ああ」

「イヤだわ。一番の理由はそれね」


 さらに納得。


「ち、違うっ! そういうおまえもだろう、スチュー?」

「違うにきまっている」


 またカーティスと大佐がケンカが始めた。


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