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わたしの命が狙われている? 

(みんな、わたしがいま説明した内容を吟味しているに違いない)


 わたしの説明は、信憑性がかなりある。なぜなら、真実だから。しかし、それはあくまでもこちらの言い分であって、みんなのものではない。というわけで、わたし以外の全員がわたしがした説明についてじっくり考えているのだ。


 その真偽も含めて。


「シヅ、とにかくよかった。しかし、今後ひとりで出歩くのは控えた方がよさそうだ」


 ずいぶんと長い沈黙。その沈黙を破ったのは、この中では一番エライ、というか身分の高いカーティスだ。


 その声に躊躇と警戒が入り混じっていた。そんな気がした。もしかすると、言葉を慎重に選んだのかもしれない。


「え? どうしてでしょうか? ああ、迷子になるからですね」


「テヘッ」って感じでおどけてみせた。


「いいや、違う。きみは、きみのいうヤバい地域で何者かに追いかけまわされたんだろう? そのことだ」

「閣下。たしかにそうですが、あれはわたしが迷い込んだからです」

「違うんだ、シヅ。あの地域は、たしかにヤバい。きみ流の言い方だとね。しかし、実際のところは一般人が立ち入らないように流布しているデマなのだ」


 デニスがカーティスとわたしの会話に入ってきた。


「つまり、国都伝説のひとつなの。実際のところ、あそこにはだれもいない。たしかに、ときどきは犯罪者が逃げ込んだりだれかが迷い込んだり、生活苦などで住み込んだりする人はいる。だけど、厳重に管理されているから、そういう人たちもすぐに見つかって適切な対処がなされるの。だから、あそこにはヤバい人どころかだれもいないの」


 つづいて、クラリスが入ってきた。


「では、わたしを追いかけまわしたのは? いやだわ。結局、変質者か強盗かってところだったのね」


 両肩をすくめた。


「いいや。それは違う。たしかにきみを狙ってのことだが、そんなくだらない犯罪の類ではない。シヅ、きみの命を狙ってのことだ」

「なんですって? 閣下、ご冗談がすぎますよ」


 おおげさに驚いてみせた。


 わざとらしくないように、と祈りつつ。


 それとは別に、先日の夜にニューランズ伯爵家で暗殺者たちと死闘を繰り広げている最中に感じた違和感。その違和感の正体は、彼らの目的がエレノアとニックをさらうことではなく、わたしの命を狙っていたことだったのだ。


 もっとも、それにいま気がついたところでどうしようもないのだけれど。




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