しつこく追ってくる
(このまま屋敷に戻ったら、なにもかも特定されてしまう。ヤバい連中にしられてしまう)
それじたいはかまわない。しかし、わたしたちの任務、といってもいまはもう任務じたいがどうでもよくなっているけれど。とにかく、わたしたちの活動に支障をきたすことになる。だから、正体不明のヤバい連中にこちらのことを知られたくない。
このことは、大佐に報告をしなければならない。と思う。
彼にだまっていることはできるかしら?
ヤバい連中のことだけではない。少佐のことも含めて話をするの?
少佐がなにを言いたかったのか? 彼はなにを知っていて、それを利用しようとしていたのか?
少佐は、親切心や思いやりでわたしに告げようとしたわけではない。それは、神が偉いのと同様わかっている。
(でも、みんながヤバいのよね?)
少佐のことを伝えれば、大佐はどんな反応を示すだろうか。
(そういえば、大佐はマクレイ国へ来る途中も少佐にたいして過剰に反応していたわよね。それから、わたしに少佐が何を言ったか、あいつから何か聞いたかみたいなことを言っていたっけ)
ということは、少佐が予期せずここにやってきたことを知ったら、大佐はどうなるかしら?
(わざと大佐に告げ、カマをかけるのもアリかも)
そんなことを考えつつ、警察署に行きもした。
非力なレディを装い、「変質者に追いかけ回されている」と訴えてみたのである。
もちろん、警察が力になるとは思ってはいない。しかし、ヤバい連中への時間稼ぎくらいにはなるだろう。
警察官たちが警察署を飛び出し、周囲を探っている間に、こっそり裏口から出て行った。
が、やはりダメだった。
仕方なく大通りに出てみた。
すでに昼をすぎている。オープンカフェでランチを楽しんでいる人も多い。
お腹の虫が騒ぎ始めた。
メインストリートということもあり、歩道には通行人が、車道には馬車が多く行き交いしている。
人々の間を歩いている間にもヤバい連中の気配を感じている。
しかし、しだいに疑問に思い始めた。
(これってほんとうにあそこのヤバい連中の気配なの?)
そのように。
「もしかして、シヅ?」
そのとき、すぐ横に馬車が停車した。
いかにも成金らしい金ぴかの装飾がほどこされている。
開いた窓から声をかけてきたのは、慈善活動友達のエレンだった。




