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何者かに尾けまわされる

 わかったことがそれだけだと、相手の正体を推測するのは難しい。


 すくなくとも、先日の暗殺者関係ではなさそう。ということは、オールドリッチ王国の手の者ではないということになる。


 もちろん、それも確実ではない。しかし、わたしを尾けまわすとすれば、先日の意趣返ししか考えられない。それ以外にわたしを見張る、あるいは尾行する意味が思いつかない。


 が、それなら害意や殺意を抱くはず。それを欠片も感じさせない。無論、巧妙に隠しているのかもしれない。しかし、これだけの時間隠し続けることは難しい。それに、単独行動ということも考えにくい。すくなくとも、ふたりかそれ以上で行動するだろう。


 もっとも、それも向こうがわたしをなめているのなら話は別だけど。


 とにかく、意趣返しは可能性としては低い。


 だとすれば、マクレイ国の見張り役?


 消去法からいえば、それしかない。


 あとは、あらたな敵かなにか?


 だとすれば、いまのわたしには想像がつかない。


 そうそう。わたしが気がつかなかっただけで、だれかに恨みを買ったという可能性もある。


 うん。それはあるあるね。なにもここ最近のことだけではない。現役時代、あらゆる国の多くの人に恨まれたり憎まれたりすることをやった。ここマクレイ国でも同様である。わたしの正体に気づいただれかが、プロを雇ったとしてもおかしくはない。


 そんなふうにいろいろなことを考えていたものだから、自分が致命的なミスを犯したことに気がつかなかった。


 気がつけば、追いつめられていた。


 何者かをあぶりだすつもりだったのが、その何者かに追いつめられていたのだ。


 迷い込んだのは、廃墟地域。悪人が蔓延りすぎて警察さえよりつかない見捨てられた地域だ。ここに来る人はいない。ここにいるのは、もともといるとんでもない連中だけ。


 そんな廃墟地域に迷い込んでしまっていた。


 さすがにこの地域のことはわからない。慈善活動で来るわけはないし、興味本位で探検したこともない。


(巧妙に追い込まれてしまったわ。ということは、わたしが相手にしているのはこの辺りのことを熟知しているだれかということ?)


 追いつめられたことに気がついてから、その正体よりもこんなヤバい地域に追いつめ、なにをしたいのかの方が知りたくなってきた。


(ダメダメ。いま、ここで好奇心や興味を抱くのは危険すぎる。とにかく、ここから出ることが先決よ)


 情報や知識や常識や当たり前が通用しない状況に身を置くのは、身の破滅を招きかねない。


 とりあえず、来た道を戻るしかない。回れ右をし、ボロボロの家々の間の狭い道を走った。走りながら、意識を集中した。







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