魔族退治10&新たな仲間
先ほどの投稿は間違いです。
すみません。
「……これが彼らがみているものなのね。もし、死者蘇生をしていたらおきていた未来」
クオンの説明が終わるとカルーナはゾッと背筋が凍った。
何て恐ろしい魔法なんだと。
それを使える紫苑も恐ろしい人だと思った。
勿論紫苑のお陰で死者蘇生は阻止したが、だからといってそんな残酷な魔法を見せる必要はあったのかと思ってしまう。
協力者達は魔族に与したため処刑が決まっている。
それなのに、わざわざそこまで苦しめる必要があるのかと。
協力者達の泣き叫ぶ姿をみてやり過ぎだと感じる。
「カル。紫苑兄ちゃんは正しいよ」
「え……」
思っていたことが見透かされたのかと思うほどタイミングよく言われ驚いた。
「彼らは一線を超えた。だから、然るべき罰を受けるべきだ。ただ殺すなんて生温い。地獄を見せるべきだよ」
スッと目が細くなり、瞳から光が消える。
目だけで殺せそうなほど冷たい。
「……」
カルーナは何も言えなかった。
たった数年しか生きていないカルーナには魔族がどれほど恐ろしい存在なのか、頭では理解しているつもりでも実際に体験していないカルーナには理解ができない。
今ここにいる人達はそれを知っている。
カルーナだけが知らない。
カルーナだけが協力者に同情した。
知らないから仕方ないかもしれないが、それは今この状況では許されない。
それを肌で感じたからこそカルーナは何も言えなかった。
知らないことは幸せだが、今はそのことを酷く恥じた。
「カル。これからもこんな光景を嫌というほど見ることになるね。もし、辛いのなら……」
やめた方がいい、そう言おうとした。
そしてこの旅ももう終わりだと思った。
だが、カルーナに遮られ最後まで言えなかった。
「大丈夫。僕は大丈夫」
目を逸らさず最後まで見届ける。
覚悟はさっき紫苑とのやり取りで決めた。
この先紫苑達の考えに理解できないことは多々あるだろう。
それでも約束したのだ。
必ず本を出すと。
だから、逃げるわけにはいかないのだ。
「……そう」
顔は強張っているが、いい目をしていた。
これなら大丈夫だと感じ、向こうで用が終わるまで寝ていようと木の陰で休憩をする。
「……終わった」
ユリウスの魂が虚無に囚われたところまでいくと、魔法が解ける。
協力者達はそのことに気づかず殺してくれとずっと泣き叫んでいる。
「どうする?精神魔法で無理矢理安定させ話しができる状態にできるけど、最期に話すことある?」
カルファートに尋ねる。
「お願いします」
紫苑の申し出に頭を下げてお願いする。
「わかった」
紫苑は魔法をかける。
協力者達は次第に泣き叫ぶのをやめ落ち着きを取り戻す。
「……最期に何か言い残したことはあるか」
何故裏切った!
何故魔族を信じた!
何故ユリウスを裏切った!
本当は怒りに任せてそう叫びたかったが、気づけば口が勝手に動いていた。
「……殺してくれ」
リーダーが小さな声でそう言った。
暫く他の者も何か言うかもしれないと待ったが、誰も口を開くつもりはないのか魂が抜けたみたいに正気を感じなかった。
これ以上は無駄だ。
そう判断したカルファートはスッと手を挙げた。
それを合図に部下達は剣を抜き協力者、全員の後ろに一人ずつ達構える。
「殺れ」
カルファートが指示を出すと部下達は一斉に剣を振り下ろし首を刎ねた。
死体は全て燃やし髪の毛一本すら残さず塵にした。
ユリウスの部下の魔法使い達、カルファートの屋敷の使用人達が魔族に与していたとは町の人達には言えないので、魔族によって跡形もなく燃やされたと嘘の噂を流し、町のために最後まで戦い抜いたことにした。
「此度の件、本当に感謝する。我がブラウン家はこのご恩を一生忘れない。もし、何かあれば遠慮なく言ってくれ。どんなことでも喜んで協力すると約束する」
全てが片付くと紫苑達に頭を下げてお礼を言う。
「あ、頭を上げてください」
カルーナが慌てる。
「……」
「俺は別にいいかな。自分の為にやったようなもんだし」
「肉!肉が欲しいのね!」
修羅は何も答えず、紫苑はいらないと言い、クオンは肉が欲しいと言う。
全員バラバラの反応に愉快な者達の集まりだなと思ってしまい、口元が緩んでしまう。
「そうですか。わかりました。ですが、もし力が必要な時は遠慮なく言ってください」
「なら、そのときは遠慮なく助けを求めます」
これ以上断るのは失礼になる。
そう思い紫苑はカルファートの想いを受け取る。
※※※
「……それで、俺に何の用だ」
カルファート達に見送られ町を出て暫くして修羅が尋ねる。
クオンとカルーナは二人で積もる話もあるだろうからと先に町に行った。
「言わなくても、もう気づいてるでしょう」
紫苑がそう言うと「断る」と理由も聞かず一刀両断する。
「えー、せめて理由くらい聞いてよ」
「必要ない」
話すことはもうない。
この場から去ろうとする修羅の背に紫苑が「俺達、花冠の生涯を知る旅をしてる」と伝える。
修羅の足が止まると畳むかけるようにこう続ける。
「修羅さんが花冠と出会ったときのこと教えてよ」
「……」
「花冠が死んでから千年経った今だからこそ、俺は向き合える。花冠は世界中の人を救った。花冠がそこで何をしたのか、今どう思われているのか、俺は知りたい。今なら……修羅さんも今なら向き合えるんじゃない?」
「……知って何になる。もう、花冠はこの世にいない」
「だからこそだよ。俺達はまだ永遠に近い年月を生きる。もう後悔はしたくない。それにね、カルちゃんは花冠の本を出そうとしてる。俺も花冠に助けられたときの話をしたよ」
「……」
修羅は最後の言葉に嘘だろと目を見開いて驚いた。
修羅や紫苑にとって花冠との出会いは大切な宝物。
例え命を奪われるとしても絶対に話したりはしない。
それほど大事な思い出をカルーナに話した。
信じられなかった。
頼りにならない弱い人間のどこにそんな価値があるのかと。
「修羅さんが話したくないのなら別にいいよ。でも、一緒に旅をしようよ。花冠のことを知ろう。俺は花冠が旅した道を歩くよ」




