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千年前の大魔導師の生涯を知る旅に出た人類最弱魔法使いが、気づけば他種族最強クラスと一緒に旅をすることになった件  作者: 若狭巴
鬼王

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魔族退治 9

「……ユリウスさん、ユリウスさん!」


紫苑が魔法を使って少し経つと協力者達がバラバラに声を出して泣き始める。


良かった、良かった、と安堵して涙を流す者。


地面に何度も頭をぶつけ「守れずに申し訳ありません」と泣きながら謝罪する者。


会いたかった、死んだなんてやっぱり夢だったんだ、と現実逃避する者。


様々な反応をみせる。


その光景を紫苑、修羅、クオン以外の三人はあまりの異常さに言葉を失い恐怖に支配される。


さっきまで普通に話していたのに、急に薬でおかしくなった人みたいな行動をし始め何が起こっているのかと考えることを放棄したくなる。


誰一人言葉を発せないで協力者達を見ていたら、急に状況が変わった。


さっきまで泣いて喜んでいたのに、いきなり目から血が流れ出し「違う!違う!こんなはずじゃない!こんなことしたかったわけじゃない!!」と叫び出す。


この光景を一言で表すなら「地獄」それ以上相応しい言葉はない。


「ごめんなさい!許してください!」

「殺してくれ!お願いだ!殺してくれ!」


謝罪と死を請う姿に一体何を見ているのかと、どんな魔法を使ったのかとカルファートは紫苑に問う。


「シオン殿。貴方は一体何をしたのですか」


魔法に詳しくはないのでカルファートはラギアーナが禁呪だとは知らない。


それでも、よくない魔法を使ったことだけはわかる。


「真実を教える魔法をかけただけだよ」


嘘は言ってはいないが本当のことも言っていない。


知る必要はないし、教える気もない。


曖昧な答えではぐらかす。


「真実……まさか……」


真実、その言葉を呟いた瞬間クオンの言葉を思い出し、何を観せられているのか想像できた。


自業自得だと思うも、昨日まで大切な仲間だと信じて疑わなかった者達を心の底から憎みきれず、何とも言えない気分になる。


「彼らは一体何をみているんだ?」


カルーナは未だに理解ができず、不気味な光景からも目を逸らすことすらできないでいた。


「知りたいの?みせてあげようか?」


さっきまで寝ていたクオンがカルーナの肩に乗り尋ねる。


「みせるって、そんなことできるの」


「勿論ね。でも、お勧めはしないのね」


カルーナが知りそうだったから提案したが、この魔法の危険性は充分に知っているので止める。


「そう、ならやめとくよ」


色々とぶっ飛んでるクオンが止めるってことは相当やばい魔法だと気づき絶対に見ないと誓う。


「うん、それがいいのね」


今カルーナが壊れてしまったら元も子もない。


目的の為にも壊すわけにはいかない。


「……ねぇ。クオンには何かみえてるの?」


クオンには何かみえているからあんな提案をしたのではないか。


もしそうなら、何が起きているのか教えてもらうと思い尋ねる。


「ん?みえないね」


ラギアーナは発動者がかけた人物以外にはみせることはできない魔法。


「(え?じゃあなんでみせようかなんて言ったの?)」


声には出さなかったが、顔に思いっきりだす。


少し離れた所から二人のやり取りを見ていた修羅は「(何故あんな間抜けと一緒に行動してる)」と紫苑に対して苛立つ。


「でもみえなくても大体想像はつくのね。ラギアーナは幸福と絶望を観せる魔法。彼らにとってそれが何か簡単に想像がつくのね。まぁ、視覚共有魔法を使えば簡単に同じものがみれるのね」


最後の言葉を聞いてカルーナは「ああ、それを使ってみせようとしていたのか」と納得する。


「今大体想像がつくって言ってたけど、これいつまで続くの?」


魔法は大体発動者が解かなければ解けないが、この魔法は例外のような気がした。


「全てを知って体験するまでね」


「全て?それって何?てか、体験?どういうこと?」


カルーナの問いにクオンは最初から答える。


視覚共有していないので、あくまで予想だと言うがクオンの予想はあっていて話した内容と同じことが協力者達の身におきていた。




ラギアーナで協力者達は最初にユリウスの幻影を目にした。


その姿は生前と変わらない。


触れても消えない。感触もある。


昔の事を聞いても全て答えられる。記憶もちゃんとある。


目の前にいるユリウスが幻影だとは誰も思わない。


本物だと信じて疑わない。


この魔法の最も恐ろしいことは思考と五感を狂わせ本物だと認識させること。


ここまでが幸福な夢。


次からが絶望させるための魔法が始まる。


ユリウスの生前の姿が突如化け物の姿に変わる。


目は消え、そこから血の涙が流れ出す。


その姿を見た協力者達はユリウスの名を呼び元の姿に戻そうと魔法使う。


だが、魔法を使えば使うほどユリウスの姿はどんどん化け物になっていく。


どうすれば助けられるのだと心が壊れそうになっていたとき、ユリウスの言葉で全員の心が折れ自分達が何をしようとしていたのかを知り絶望し殺してくれと叫ぶ。


「何故こんなことをした。私に何の恨みがある。そんなに私のことを憎んでいたのか」


「……え?何言ってるんですか。そんなことあるわけないじゃないですか。我々にとって貴方は自分の命よりも大切な存在です。憎むなんてそんなわけありません」


ユリウスの言った言葉の意味が理解できず否定するリーダー。


「憎んでないのなら何故私にこんな仕打ちをする」


「違うんです。そんな姿にするつもりはなかったんです。必ず元に戻しますから待ってください」


ユリウスが化け物にされたことを言っていると思い、それは自分達がしようと思ってしたことではないと伝える。


そんな姿になるとは思わなかった、と。


「するつもりはなかっただと……ふざけるな!お前達の身勝手な想いのせいで私が命を懸けて守ってきた人達を犠牲にした挙句、自分達が何をしようとしていたのかさえしらなかっただと!いい加減にしないか!お前達のせいで私は人を殺す化け物になった!これから私は魔族の操り人形として人間を殺し続けなくてはならない!何故魔族なんかの言葉を信じた!あれほど魔族は危険な存在だと、耳を貸してはならないと言ったのにどうして教えを守らない!どうして裏切った!私はお前達のことを信じていたのに、お前達のせいで人を殺さないといけない運命になった!!」


ユリウスはそこまで言うと協力者達に襲いかかり殺そうとする。


ユリウスは幻影なので実際には殺せないが、五感を狂わされているため痛みを感じる。


腕を斬られたら自分の腕が無くなったと感じるし、噛みつかれたらそこから血が出ているように感じる。魔法で攻撃されたと思えば怪我をする。


実際は無傷だが精神を抉られ実際に起きたかのように錯覚する。


協力者達が実際に死ぬことはないが、今の攻撃で幻影のユリウスは殺したと認識し更なる化け物となり色んな町に行き人を殺していく。


子供、大人、男女関係なく人を殺す姿は魔物のようでユリウスとは思えない。


これは、ユリウスが殺されるまで続いた。


ようやくユリウスが殺され、協力者達はこの悪夢から解放されると安堵したが、本当の悪夢はここからだった。


ユリウスの魂はあの世にいくことができず、現世にもとどまることができず、その境目の虚無に囚われ永遠の苦しみを味うことになった。

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