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千年前の大魔導師の生涯を知る旅に出た人類最弱魔法使いが、気づけば他種族最強クラスと一緒に旅をすることになった件  作者: 若狭巴
鬼王

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魔族退治 8

「ねぇ、魔族に与するのがどれだけ重罪か知らないわけじゃないよね」


紫苑の問いかけに協力者達は口を固く閉ざし誰一人答えようとしなかった。


「うーん、困ったな。これじゃあ、話にならないね」


大して困ってもないのに笑いながら言う。


「おい」


修羅がふざけずにさっさとしろ、と目で訴える。


「わかったから、そんなに怒らないでよ」


心のこもっていない謝罪をし、空気を元に戻そうと軽く咳払いをしてから話し出す。


「君達は誰を生き返らせたかったんだい?」


紫苑の問いに数名が肩をビクッと震わせる。


それだけで死者蘇生を本気でしようとしていたことがわかる。


修羅が後ろから今にも殺しかけそうな程怒り狂っているのを察し、まだ駄目だよと手で制止した。


「これも答えないつもり?じゃあ、聞き方を変えるね。誰をそんなに苦しめたかったの?」


この問いには流石にムカついたのか協力者の一人が口を開いた。


「苦しめるだと?ふざけるな。我々は偉大な方を救おうとしただけだ」


「偉大な方?誰それ」


カルファートの方を向き尋ねる。


「まさか、ユリウスを生き返らそうとしたのか!」


二年前に魔族との戦いで死んだ魔導士。


そして、カルファートをずっと支えていた右腕であり親友。


「……そうみたいだね」


協力者達の反応を見てユリウスで間違いないと確信する。


「ふざけるな!何故そんな愚かなことをしようとした!こんなことをされてユリウスが喜ぶとでも思っているのか!」


クオンに聞かされた死者蘇生のことを思い出し、怒りで目の前が真っ暗になり気づけば当主としての立場を忘れ叫んでいた。


「……せ………だ…………い……」


「ごめん、何だって。もう少し大きい声で言ってくれる?」


協力者のリーダーが何やらぶつぶつと言っているのに気づく。


「こうなったのも全部お前のせいだ!!お前があの時死んでいればよかったんだ!ユリウスさんにじゃなく、お前が死ぬべきだった!そうすればこんなことにはならなかった!全部全部お前が悪いんだ!!」


リーダーの言葉にしばらくカルファートはしばらく放心状態だったが、部下の言葉で我に返った。


「ふざけるな!あれは魔族のせいだ!それなのに、貴様らはユリウスさんを殺した魔族に与しただけでなく、カルファート様を侮辱するなど許されると思うな!今すぐ貴様達を殺してやる!」


カルファートを侮辱されたことで怒り狂った一人の部下が剣を抜き首を斬り落とそうとする。


「落ち着いて。まだ、駄目だよ。彼らは何も反省していない。自分達がどれだけ愚かな事をしようとしているのか知るべきだ」


紫苑は部下に剣を収めるよう言う。


カルファートも部下にやめろと注意したのもあり、部下は剣を鞘に収めた。


「ねぇ、一つ聞きたいんだけどさ、ユリウスって人はこんなことをされて喜ぶ人だったの?」


「何が言いたい」


「いや、だってさ彼はこの街を守るために死んだんだろう。それなのに、この街の人達を犠牲にして生き返りたいと思うような身勝手な人だったのかなと思ってね。もし、そうならクズだなーって思っただけだよ」


わざと相手がムカつくような言い方をする。


「貴様!ユリウスさんを侮辱するな」


一人の男が紫苑の言葉に発狂する。


「侮辱?俺は事実を言っただけだよ。だってそうでしょう」


「違う!ユリウスさんはそんな人じゃない。俺達が勝手にしただけだ」


「もう、黙れ。これ以上何も言うな」


リーダーの男が何も言うなと注意する。


紫苑の目的が後悔させることだと気づく。


「ですが……」


まだ何か言おうとする男を睨みつけ黙らせる。


それからは、紫苑が何を聞いても誰も口を開こうとはしなかった。




「おい、もう終わったのならさっさと殺すぞ」


少し離れた場所に紫苑を呼び修羅がさっさと終わらしたいと言う。


「まだ、駄目だよ」


「……」


修羅はため息を吐き、またあの病気がでたと思う。


こうなったら何を言っても無駄だとわかっているのでしたいようにさせることにする。


「早く終わらせろ」


吐き捨てるように言うとその場に座る。


「わかった」


修羅の元を離れる戻ると一触即発の雰囲気にこれ以上長引かせるのは危険だと判断し、魔法を使うことにした。


「紫苑さん」


カルーナが不安そうに見つめる。


目は口ほどに物を言うというが今のカルーナはまさにそうだった。


彼らを殺すのかと訴えていた。


魔族に与した人間は例えどんな事情があろうと死刑だと決まっている。


理由は千年前、魔族に支配されて奴隷のように扱われていたことがあるからだ。


少しでも隙を見せれば魔王がいないとしても昔みたいになる可能性もあるため、絶対に共存はできないと示す目的もある。


カルーナもそれを知らないわけではないが、できれば人が死ぬところなど見たくはない。


千年前の地獄を知らないカルーナには無理な話かもしれないが、あの地獄を知っている紫苑には殺さないという選択肢は最初からなかった。


紫苑はカルーナの肩をポンポンっと叩き、嫌ならここから離れても大丈夫だよと言葉にしないが雰囲気で伝える。


普通なら雰囲気で伝わるわけないが、紫苑と半年以上旅をしているのと元々人のことに敏感で察しやすいのもあり何を伝えたかったのか理解した。


「僕は大丈夫です」


それは紫苑に言ったのか、それとも自分自身に言い聞かせるように言ったのか、カルーナ自身にもわかっていなかったが覚悟を決める。


これから先もっと危険なこともある。


嫌なこと、知りたくないこと、見たくないこと、沢山経験する。


今逃げたらこれから先旅ができない。


そう思い見届けることにした。


「(あの頃より強くなったな)」


出会った日のことを思い出し、ついぷっと笑ってしまう。


そのお陰で上手く体から力が抜けたし、怒りで頭に血が昇って爆発しようになっていたのも治った。


紫苑は深く深呼吸をし、心を落ち着かせると魔法を発動させるため呪文を唱えた。


「幸福と絶望を見せる(ラギアーナ)


この魔法は最もその人が知りたくない真実を見せ地獄に落とす魔法。


幻術と精神魔法の混合で高度な魔法。


使えるものはほんの一握り。


中々かけられることはない。


そのため、かけられたら解くことは不可能と言われる程残酷な魔法。


魔族の魔法程ではなくてもあまりにも残酷なため三百年前に禁術として認定された。

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