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千年前の大魔導師の生涯を知る旅に出た人類最弱魔法使いが、気づけば他種族最強クラスと一緒に旅をすることになった件  作者: 若狭巴
鬼王

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鬼の王 修羅

「ほら、見えてきました。あそこです」


少し先に見える青いところを指差す。


「疲れた。もう歩けないよ」


「(いや紫苑さん、歩いてないじゃん)」


森に入って数分で体力の限界にきた紫苑は倒れ、クオンに引きずられている。


正確にはおんぶしているが、クオンはものすごく小さい為足とお尻がひきづられてしまっている。


最初はカルーナが紫苑をおんぶしようとしたが、ここ一週間疲れが溜まっていて持ち上げられなかった。


「青い花畑だ!」


カルーナの指差す方向に視線を向けると、ネモフィラ畑が見え走りだす。


「え!ちょ、待って!いたい、いたい、いたーい!カルちゃん、助けて〜!」


お尻と足がものすごい勢いでひきづられ激痛が走る。


「……」


心の中でご愁傷様ですと手を合わしゆっくりネモフィラ畑に向かう。


「綺麗」


カルーナが花畑につくと紫苑は痛みに耐えるようにうずくまり、クオンは花畑の中を走り回っていた。




「……いませんね」


紫苑が回復し、クオンの気がすんでから修羅の捜索をするも一向に見つからない。


気配すら感じられない。


「まぁ、もう少し待ってみよう」


「わかりました」


来ると信じているのだろう、全く焦った様子もない。


それだけ絆が強いのだ。


紫苑が信じているのなら自分も信じよう。


きっと来るそう言い聞かせた。


だが、待っても待っても修羅は来なかった。


空の色が青からオレンジ、紺と変わって星が出始めた。


これ以上は待っても来ないのではないかと帰りましょうと言おうと口を開くが、急に突風が吹き、飛ばされないようにするので精一杯で言えなくなる。


風がおさまり今のはなんだったんだ、と驚いていると「久しぶりだね、修羅さん」と言う声が聞こえた。


その言葉でようやくきたのだと紫苑の方に視線を向けると怖い人がいて腰を抜かしそうになる。


どちらかと言えば顔は整っているし女性にはモテそうな顔だが、晒しだすオーラが怖すぎてカルーナのような人間は修羅の前では言葉すら発せられなくなる。


子鹿のように足をプルプル震わせるしかできない。


「何のようだ、魔喰い」


久しぶりに聞いた修羅のドスの効いた声に紫苑はあの頃と全然変わってないなと懐かしい思い出が蘇る。


そんな紫苑とは裏腹にカルーナは今の声にビビり過ぎて少しおしっこが漏れる。


「用って呼び出したのは修羅さんじゃん。それは俺のセリフじゃない?」


紫苑達がここに来たのは修羅からのメッセージを受け取ったからだ。


「いいや、俺のセリフであっている。お前が俺にメッセージをよこした。だから、それに応えた。もし、そうじゃなければお前の前に現れる気はなかった」


その言葉にカルーナはどういうことだと質問したくなるが、怖すぎて会話に入ることができない。


「修羅さんなら気づいてくれると信じてたよ。覚えてくれててよかったよ」


「あんなのお前以外やらんだろ」


「嫌だった?」


紫苑はある一定の力を持つものにだけ見える幻術を使って町一体に花を降らせた。


昔、修羅と共にいた頃にもし何かあったら花を降らせて知らせるから助けて欲しいと約束していた。


これは千年前に決めていた約束だったので覚えているか賭けだった。


修羅基準でやったので他の人にはバレないはずだったが、クオンにはバレていた。


「お花が降ってる」


そう言われたとき自分の力が落ちてみんなにに見えているのかとヒヤッとしたが、隣にいたカルーナには「え?なに言ってるの、クオン。花なんて降ってないよ」と見えていない様子だったので安堵する。


屋敷の者達も見えていない様子でクオンだけに見えているみたいだった。


つまり、クオンは修羅と同等の力を持った者。


今は一応仲間だが、敵になると厄介な存在。


今のうちに手懐けて敵対しないようにしなければと、これからクオンの好きなものを沢山与えようと決めた。


紫苑がクオンのことを考えていると痺れを切らした修羅が要件を聞く。


「……それで何のようだ」


紫苑の問いには答えず本題に入る。


「俺達のようは後でいいよ。先に修羅さんの方を片付けよう。手伝うからさ」


修羅が魔族退治のためにこの町に留まっているのを知り一緒に倒そうと提案する。


それに今旅の仲間になって欲しいと頼んでも魔族がいる限り適当に話しを聞かれたら断られる可能性が高い。


説得するにも時間がかかる。


まずは魔族を倒し協力者を見つけ罰することが最優先だ。


「……そこまで言うのなら何か案があるのだろう」


暫く睨み合いが続き紫苑に引く気がないとわかるとため息を吐く。


こうなったら何を言っても無駄だと昔の経験からわかっている。


「勿論。魔族も協力者も炙り出せるよ」


悪い顔をして笑う。


紫苑のその顔を見た修羅は「うわぁ、最悪だ」と絶望した。


こういう顔をするときの紫苑は確実に碌なことを考えていない。


面倒なことになる。


紫苑に任せようとしたことを後悔する。




「……って作戦で行く。カルちゃん、クオンできる?」


「任せてください」

「任せるのよ」


同じタイミングで返事をする。


「じゃあ、そっちはよろしくね。魔族は俺達で倒すから。後でね」


二人は紫苑の作戦を実行に移すためカルファートの屋敷へと戻る。


「さとて、久しぶりにやろうか。修羅さん」


修羅は返事の代わりに顔を険しくさせた。


紫苑にいいように使われるのは癪に障るが、その方法が一番だとわかるので何も言わない。

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