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千年前の大魔導師の生涯を知る旅に出た人類最弱魔法使いが、気づけば他種族最強クラスと一緒に旅をすることになった件  作者: 若狭巴
鬼王

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カルファート

「あの、すみません。この辺りで鬼の王を見たって聞いたんですけど、どこにいるかわかりますか?」


「いや、見たことないね」


「そうですか……」


また今回も外れだったかと項垂れる。


「いやー、本当どこにいるんだろうね」


大して困った様子もなく言う。


「シオンさん。ここにもいないみたいです。次に行きましょう」


さっさと鬼の王を見つけて旅を再開させたい。


「まぁまぁ、カルちゃん。落ち着いて」


「(落ち着けるわけないだろ)」


そう叫びたかったがカルーナにそんな度胸があるはずもない。


ただ「はい」と返事するしかできない。


いくら仲良くなっても、まだ自分の気持ちを言葉にするのは難しい。


「ここは、花冠が昔魔物から町を守ったところだよ。話を聞いてから次に行こう。ね」


「はい」


鬼の王のことで頭がいっぱいで花冠がこの町を助けていたことを忘れていた。


「そうと決まれば、まずは宿を決めよう」




「ありがとうございました。お陰で良い本を書くことができます」


この町を治める貴族カルファートに花冠の話を聞くことができたので、あまり知られていない内容まで知ることができた。


「気にしなくていい。本、楽しみにしてる」


「はい」


もう一度礼を言い部屋から出て行こうとしたら、カルファートが「そう言えば、お前達は鬼の王修羅を知っているか?」と尋ねる。


「鬼の王修羅ですか?」


鬼の王は捜しているが、捜している鬼の王が修羅って名前なのかはわからない。


紫苑に知っているか聞こうとしたら、それより早く話し出す。


「その鬼の王がどうしたんですか?」


「いや、その修羅がこの町に来たって話を耳にしてな。だが、町の者に聞いても誰一人知らないと言う。誰かが言わなければこんな噂は流れない。だが、誰も知らない。おかしいと思わないか」


「確かにそうですね」


カルーナは確かにおかしいと頷く。


「なら、考えられるのは二つですね」


「ああ」


紫苑の言葉に頷きこう続ける。


「一つは、わざわざ私の耳に入るようこの屋敷だけに嘘の噂を流している可能性。もう一つは、鬼の王修羅が町の人達の記憶を消した可能性」


「え?そんなこと可能なのですか」


カルーナは信じられず問う。


「可能だよ。俺もできるし」


お菓子を食べていてこちらに全く興味なさげだったのに、いきなり話に入ってくる。


「できるって君が?」


クオンの姿からは想像もできない。


カルファートは魔法が使えないのであまり詳しくはないが、人の記憶を消すのは高度な魔法で誰でもできるわけではないということくらいは知っている。


それも自分を含む数人以外の記憶を消す魔法ともなればどれだけすごいことなのか、子供でもわかる。


それをできると断言するクオンをただの見栄っ張りの馬鹿か、それとも見た目からはわからない実力のある人物なのか判断できない。


「そうだ。俺はこうみえて偉大な存在だからな」


堂々と答える姿に何か思わないこともないが、どうしても見た目と話し方からそんな風には見えない。


人間ではないことは少ししてわかったが、それでも強い気配はしないのでどうしても疑ってしまう。


「(そう思う気持ちよくわかります。僕だってあの光景を見ていなかったら信じられないし)」


カルファートの様子で何を思っているのか手に取るようにわかり、心の中で自分も同じだと叫ぶ。


カルーナも時々クオンをただの子供だと思うときがあり、自分より年上で強いということを忘れてしまう。


「話を元に戻そう」


紫苑は手を叩き話を元に戻す。


「それでもし、この町に鬼の王がいるとしたらどうするんですか」


「それは向こう次第だな。この町に危害を加えるつもりがないなら何もしない。ただし、もし何かする気ならその時は殺すしかない」


「自分より遥かに強い存在でも?」


「そうだとしてもだ。私にはこの町を守る義務があるからな」


「なるほど。そういうことね。なら、きちんと貴方の問いに答えましょう。俺は鬼の王を知っている。そして、俺達はその鬼の王を捜していてこの町にきました」


「何故鬼の王を?」


「俺の友達だから」


その「友達」という言葉に、カルファートとカルーナの顔色が一変する。


クオンは興味がなくなったのか外の景色を眺めていた。


「友達なら鬼の王がどういう存在か知っているよな」


「ある程度はね」


「それで構わん。こたえてくれ。君の友達は人を殺すか」


「殺せるか殺せないかでいうと殺せる」


「なるほど、理由があれば殺すということか」


紫苑はその問いに微笑むだけで何も言おうとしない。


「お前の友達は何をしていると思う」


「さぁ?そこまではわからないよ。ただ、町に危害を加えるつもりならこんな面倒なことはしないよ。そんなことしなくても修羅さんなら町の一つや二つ余裕で滅ぼせるからね」


遠回しに修羅が危害を加えるつもりなら、今頃この町は滅んでいると言う。


「そうか……わかった。一つお前達に頼がある」


「なに?」


「鬼の王の目的がわかったら教えて欲しい。その代わり鬼の王の捜索に力を貸す」


今日会ったばかりの紫苑の話を全て信じるわけではないが、嘘をついているようにも見えない。


なら、鬼の王から男の目的で記憶を消しているのか知るには紫苑達を利用する方がいいと判断し協力することにした。


「……いいよ」


少し考えてから返事をする。


「なら、今日から見つかるまでこの屋敷に住むといい。衣食住全て提供すると約束する」


「え?そんな申し訳な……」


「はい。ありがとうございます。今日からよろしくお願いします」


カルーナの口を塞ぎ嘘くさい笑顔を貼り付けお礼を言う。

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