引き込まれないようにご注意ください。
「君とは 婚約破棄させてもらうよ、僕のミリアーナにいじめをしたんだからね」
「ええ、分かりましたわ」
国立記念日のパーティー、その中心で王太子クレーンは伯爵令嬢のミリアーナを横に抱きながら、目の前にいる公爵令嬢のレーネに婚約破棄していた
「そして、私はミリアーナと婚約する!」
「ええ、どうぞ。お好きになさってください」
「僕が愛するミリアーナのためならば、私はなんだってやってみせる!」
そう言って、二人は顔を見合わせると笑い合った。
(さて……この茶番劇はいつまで続くのやら)
王国創立記念パーティーで、王太子クレーンが婚約破棄をした。
そして、その隣には公爵令嬢レ一ネの姿があった。婚約破棄をしたすぐ だというのに。二人は仲睦まじく、ダンスを踊っている。その光景に人々はざわついていた
「一体どう言う事だ?」
「え?これって……」
「なんで?」
パーティー会場にいた人々は困惑していた。何故、王太子が婚約破棄をして、新しい婚約者と笑い合っているのかを。だが、彼らだけではなく、当事者の王太子とミリアーナはと言うと。
「クレーン様ぁ♡ミリアーナがいなくて寂しい時はいつでも言ってくださいねぇ♡」
「ああ、もちろんだ!」
などと甘ったるい声で語り合っているではないか。その光景に人々は絶句した。
だが、彼らはそんな周囲の反応など全く気にせず二人だけの世界へと入り込んでいった。
(本当に 茶番にもほどがありますわね 国王殿下もこのような方を 王太子にするのはおやめした方がいいと昔に言いましたのに)
そう 心の中でつぶやくのは公爵令嬢のレーネだ。彼女は 婚約破棄をされたばかりというのに驚くことなくその光景を見ていた。
いやむしろ呆れた顔で見ている。レーネはそんな感情を隠す事なく表情に出していた。
(ここまでくると もう清々しいですわね)
「、、、、、 ですけど少し今まで 言いたかったことを言わせてくださいまし。
第1、我が公爵家は国の中枢にある人物ばかりと血のつながりを持つ家。おじさまは第一司令官。お兄様は宰相候補、お父様は現役の宰相。お母様は高級で女官を、おばあ様は貴族の罪人を罰する立場にありますわ」
「そ、それがどうした!?」
王太子は 体を震わせながら強くレーネを睨んだ
「私と婚約を切ればあなたの王太子としての立場は弱くなる、それもあなたたちから一方的に切ったのでは王太子の立場は揺らぐばかり、私と同じように 公爵家の人間や他の国の王女をこちらに招くのならまだしも、あまり良い噂も立たない、文字も読めない人を婚約者にするのはおすすめ致しませんわ」
「ざ、戯れ言を!そうやってミリアーナをいじめたのだな!きっとしっかり教育させればお前よりも良い婚約者になるだろう!」
「、、、、、そう受け取られたのであれば申し訳ありません。ですが王妃の仕事は大変なものばかりですから。
第1に他国の王女や王妃様への対応、王族の失敗のカバー+補佐。書類チェックにお城の管理の一部、パーティーでは全ての貴族に声をかけなければなりませんし、
王妃の教育は難しいものばかりですわ。1日20ページ以上の教育を進め、失敗すれば 怒鳴られご飯はなし、夜会のパーティーにも出れず、監禁されたかのように ずっと部屋で勉強することもあるんですわよ?」
「え、ええ!?」
「ど、どうした ミリアーヌ!?」
「そんなの聞いてない!」
「第2に私は誰も いじめていませんわ、もし彼女が愛人や側室になるのではあれば、正妃までは行かなくとも様々な教育が必要、、ですからそれをお教えしようとしていただけなのに、、、、、少し強く言った事といえば
「弱音を吐くのもいいけど人前で出してはダメ、出してしまえば一瞬で社交界ではボロボロにされてしまうわ。出す時は1人の時か自分と同じくらい信頼できる人のみ、その人でも裏切る可能性があるんだから」
と言った時くらいですわ、わずか3歳の時から教育を続けた私を降ろしてしまえば。あなたはもう一生、王太子にはなれませんわ。
そしてもしあなたたちから婚約破棄を出された場合どうすればいいか父様にもうとっくにご判断頂いてありますの、我が家は第一王子ではなく、第二王子を王太子になるようお支えしますわ!」
「ふ、ふざけるな!」
「、はぁ」
(これはもうダメね)
レーネは心の中でため息をついた。そして国王の方へと向き直った。王太子の父である彼は。彼はこの茶番劇を満足そうに見ていた。国王のみの特別な席で、黙って見ていたのだ。せっかくなら混ざってくれた方がめんどくさいことが減るのですが
「父上!なぜ黙っているのですか!?」
「だってぇー、僕、
君に有用性を感じないから。この茶番劇をせめてでも楽しんでおこうと思って黙ってたんだ。客は静かな方がいいでしょ?」
「国王陛下は優しいそうに見えて毒ですよね、まるで美味しいキノコを食べたかと思ったら 時間差で毒が来るような、、、、」
「ええー、ひどいなぁー」
(ああ、この人も面倒だわ)
レーネはそう思いながらも 国王に対して尊敬をしていた。残酷でありながらも 貴族にしては優しく、実に彼は論理的な思考をされている方だろう。
「まあでも面白いものを見せてもらったよ、ねえ..... では 今日、クレーンを王太子の座から外し、国の端で隔離させてもらう」
「そ、それはあんまりです!」
「え?仮にも親子だし、この茶番劇を楽しませてもらったお礼に結構配慮したよ?別に僕はこのまま クレーンを王室から外してもいい。君は我が家の汚点となっている、
でも 隔離だけであれば しっかりとした食事は運ばれるし、ある程度のものはお願いすれば手に入る。社交界には二度と出れないけど,良いじゃないか」
「ミリアーヌはどうなるのです!?」
「国王陛下!このクレーン王子と一緒にいなくていいので、庶民にしていただけると幸いでございます 国王陛下!」
ミリアーヌと呼ばれた少女はハッとした様子で周りを見ていた、
「ミリアーヌ!?」
「私の目は完全に曇ってた!よく考えたらそうじゃない、
我が家のくらいで王太子と結婚するなんて無理だし、そもそもの話、婚約者がいるのにその婚約者と結婚していない状態で不倫とか完全にダメじゃない!
どう考えても 物語の悪役!皆様本当に申し訳ございません。ですが我が家への処分はどうか、、、、!」
「、、、、分かったよ。 君を貴族の席から外し、国外追放とする。でもまあ暮らせる程度のお金は少しあげるから、数十年はこの国に戻らないでね」
「ありがたき幸せ!」
「ミリアーヌ!?」
「_____(ミリアーヌ さんは この処分から逃れたようですけど、国学追放された先は我が公爵家の友好国、十数年年ほどは見世物にされるでしょう、ですが本来なら賢かったはずの あなたなら、それに耐えられるならば、許してあげましょう、
、、、、、、皆さんはどうでした?このざまぁ劇は....え?なんで私が皆様のことを存じているのかって?
ふふふふっ、、、、、
だって私も、、、、、、
みんなと同じように この小説を読んでいた、元読者なんだから。そりゃこの物語の展開も、君たちのことも知ってるにきまってるよ、
愛してますわ。王子様。あなたの立場をね)」