とある女王と自由恋愛禁止条例
とある女王が言った。
自由恋愛は世界の毒薬ですと。
遅効性の毒薬です、と。
味が甘いだけで、結局は毒薬なのです、と。
だからそんなに食べないでください、と。
甘いものを食べると幸せだから、良いものと誤解してしまうのでしょう、と。
だから愚かな人々は、好きあう者同士で生きればいいじゃないかと言い出すんです、と。
とある女王は信じていた。
データを元につがいをつくれば、世界はよりよくなっていくのです、と。
世界を幸せにするのは、感情的な判断ではないのです、と。
合理的で理性的な判断こそが、真の幸せに繋がるのです、と。
とある女王は、判断した。
魔法を使って、一部の人々を洗脳した。
それは王族だけに許された特別な魔法。
国の危機や世界の危機にのみ、使うことが許された魔法。
その魔法で自由恋愛禁止条例が作られる。
そうして、女王の国から自由恋愛が消えていった。