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成長した義弟

 屋敷に戻ると、天使なイーグルたんが馬車まで出迎えてくれる。

「変な虫?」

 首をかしげると、イーグルたんは侍女のメイを見た。メイが首を横に振る。

「……そうか、侍女は学内に入れなかったか……。やはり、誰か学内の様子を報告させる人間を見つけなければ……」

 イーグルたんが何かぶつぶつと言っている。

「大丈夫よ? ムカデもヤスデも毒蜘蛛も何もでないから」

 安心させるように教えると、イーグルたんは満面の笑みを見せてくれた。

「学園での様子を教えてくださいね、お義姉様。どなたかと親しくなりましたか?」

 イーグルたんが馬車を降りるために手を差し出してくれる。その手に、手を重ねながらふと思い出し笑いをする。

「そうだわ、イーグル。私ったらね、イーグルがいつもエスコートしてくれるでしょう? だから、バスケットを受け取ろうとして差し出された手に、思わず手を重ねてしまったのよ。ふふふ、おかしいでしょ? リドルフト様の驚いた顔と言ったら」

 ピクリとイーグルたんの手に緊張が走る。

「お義姉様の手を……じゃない、お義姉様バスケットをどうしてリドルフトに? ……まさか、持って行ったお昼ご飯を食べさせたの?」

 イーグルたんが空になったバスケットに視線を落とす。

「そう。そうなの。リドルフト様もレッド様もそれはもうおいしそうに食べたのよ」

「なんだか、すごく楽しそうですね。お義姉様」

 沈んだ声。

 もしかして一人で家にいて寂しかったのかな? 

 領地ではずっと二人一緒だったもの。朝起きてから勉強の時間も食事の時間も遊びの時間も読書の時間も……。

「そりゃ楽しいですわよ。ドゥマルク公爵家の特産品の売り込みに成功したんですもの! イーグルたんが将来ドゥマルク公爵になったときに、領地がさらに繁栄していると想像したら楽しくないわけはないわ!」

 領地が繁栄すれば私が断罪されたとしても公爵家はそこまでひどい扱いを受けないはずだし。

「僕のため?」

「そうよ、イーグルとお父様のためよ」

 ニコリと微笑むと、天使のイーグルたんが嬉しそうに微笑む。ああ、祝福が大地に降り注ぐようだわ。眼福眼福。

「あ、でも、ちょっとは自分のためでもあるわね。殿下もいたんだけどね」

「……まさか、殿下にも食べさせたの?」

 食べさせる気はなかったけれど、裏切者がいたのよ。

「まぁ、成り行き上殿下も食べたけどね、もっと食べたいと言う殿下の目の前で、レッド様とレドリフト様にだけ、ドライイーストを渡したわ。俺にはないのかって目をしていたけれど。くふっ」

 ああ、思い出しても愉快だわ。

「お義姉様、殿下にはあげなかったんだね。食べたうえで、お預け……」

 あれ? イーグルたんは楽しくない? あ、もしかして不敬じゃないかって心配してる? 

「ねぇ、お義姉様は、好きな子をいじめるタイプをどう思う?」

「ない」

 お猿のジョージを思い出して不快に顔をゆがめる。

 ラミアの目の前で別の女性と仲良くするとか、ひどい言葉を投げつけるとか、もし「好きだからいじめたかった、嫉妬してもらいたかった」とか言い出しても、絶対無理だわ。ラミアがその言葉にジョージにめろめろになるなら、ラミアとの縁もそれまでというくらい無理。

「お義姉様は、その……つい、いじめたくなったりは……」

 はい? 私? 

「イーグルをいじめたいなんて思ったことなんて一度もないわよ!」

 ん? あれ? ゲームの私は、義弟がかわいすぎていじめてたのかしら? 時々いるわよねぇ。いじめることでしか愛情表現できない壊れた人間。私は違うわよ。本当は、思いっきり抱きしめて頬ずりして頭をガシガシして、離せとか迷惑だとか言われてもしつこくほっぺにぶちゅぶちゅしたりしたいけど、相手が嫌がることは我慢してるもん。ラミアのほっぺも一度しか触ってないもん。

 ……ん? 

「あ、私、すっかり好きになってる」

「は? 誰を? まさか、殿下? ……全力でひねりつぶす、王座が手に入ると思うなよ」

「殿下? はぁ? 好きになるわけないわ。ラミアよ。子爵令嬢のラミアという子がいるんだけれどね、弟子にしてくれって言うのよ? ふ、ふふ、はじめは面食らったけれど、自分の目標に向かって熱心なところは嫌いじゃないなぁって」

 イーグルたんがほっと息を吐きだした。

義弟はヤンデレは正義


(*´ω`*)あれ?間違ってるかな?

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