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サクサクのメロンパンへの……無理

 リドルフト……ごめん、王都のように楽しい場所を作りたいんだねなんて思ってて。

 くっ。領地のことだけではなく国全体のことまで考えて……。ん? でも……。

「あまり公爵家が力をつけすぎて領地が発展してしまうと、クーデターでも企てているのではないかと疑われかねませんこと?」

 リドルフトがふっと笑う。

「だから、側近するんだよ。殿下は僕に謀反の気持ちがないと理解してくれてるからね」

 なるほど。

「あら、でも謀反の気持ちがないと信用させておいて力をつけ、クーデターを起こすつもりでは?」

 本心で語らせてもらうというのがそもそもから嘘の可能性だってある。リドルフトはそういうキャラだったはずだ。

「くっ、くくく。確かに、そう思う人間がすり寄ってくることもあるだろうね。まぁとにかく宰相になるつもりがあって言ったわけじゃないということだけは信じてくれる? むしろ、フローレン嬢と婚約すれば、僕が宰相になることはないだろうね。ああ、すぐにでも側近の座を下ろされる可能性もあるね」

 え? 

 もしかして、婚約者になったリドルフトには、美味しいハンバーガーをプレゼントする。殿下はお前ばかりずるいと側近をクビにするとかそういう話? いやいや、さすがにそんなことで側近辞めさせるようなことはないでしょう? 

「殿下の長年の思い人を奪えばそれくらいの報いは受けるでしょ」

 くすりと笑ってリドルフトが何かをつぶやいた。

「何をおっしゃったのか聞こえませんけれど、そうやって笑われるのは好きではありませんわ。入学式に遅れてしまいますので、失礼いたします」

 馬鹿にされたんだよね? なんか若干ニヤニヤしてたし。

 私に婚約を申し込むつもりもなくてからかっただけ。失礼しちゃうっ! 

 でも、一ついいことを聞いたわ。領地を発展させる理由。

 国のために領地を発展させる……。それをのちの陛下となる殿下も理解して謀反準備だと疑うことがないのであれば……。

 うちの領地ももっともっと発展させちゃって問題ないんじゃない? そうすれば、もし私の幽閉事件で、連帯責任としてお父様やイーグルたんが宰相など国の要職に就くことができなかったとしても、豊かな公爵領でブラック労働せずにゆったりと美味しい海の幸を食べて幸せになれるんじゃないかな? 

 まぁ、ヒロインがとイーグルたんルートに乗れば、国の要職についてめでたしめでたしなんだけども。

 ゲームでは私が幽閉されたあとの公爵家の処遇については描かれていなかった。……だから、万が一のことを考えておいた方がいいかも。お父様やイーグルたんを犠牲にしてまで私だけ幸せに幽閉生活送るなんて恩知らずもいいとこだもんね……。

 こうなれば、売り込もう。まずは、酵母かな。

 殿下を喜ばせるのはしゃくだけれど。

 あれだけ殿下がハンバーガーに使った柔らかくてふかふかのパンが食べたいと言う位だから、売れる。間違いない。

 酵母を売る。作り方は内緒にする。……まぁ、すぐにばれちゃうだろうけど。

 まずはパン屋が先か。パンを売る。柔らかい丸パン。そのうち酵母とパンのレシピを売る。どうせいくら秘匿していてもばれていくだろうし。

 柔らかいパンのレシピを売ったあと、パンやは惣菜パンを取りそろえたパン屋にでも変身すりゃいい。

 メロンパンなんてバカ売れするはず。さくさくのクロワッサンも最高だよね! 

 ……あ! 

 パン屋をするためにはバターがない。柔らかいパンを作るだけならバターは無くてもいいけれど。メロンパンのクッキー生地の部分だとか、クロワッサンにはバターが必須だ。牛乳もあまり王都には流通してないのよね。……足が速いからなぁ。

 牛乳は腐りやすい。たとえ腐ってなくても、搾乳に菌が混入してお腹を壊す危険もある。殺菌の概念がないんだよね。

 あとは乳糖を分解できなくてお腹が緩くなる人もいるし……いろいろな事情で流通は難しい。肉と違って、入れ物もいるし。酒のように樽というわけにはいかない。洗うのに適している大きな陶器の壺。馬車に乗せて運べば割れるし。

 自分の家で牛と鶏を飼って自給自足、それが理想かもしれない。よし、修道院は海沿いでかつ、牧草地があるところにしてもらおう。

 ふふふ。だんだん理想が固まって来たよ。

 って、違う、そうじゃなくて、領地を発展させる方法を考えていたはずなのに、なぜ理想の修道院幽閉生活の話になった……? ! 


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