私の名前はオフィーリア
よろしくお願いします!
よくある家庭内虐めからのシンデレラストーリーです。
私の名前はオフィーリア。侯爵家の長女。私には妹がいる。
双子の女の子、カエとジル。
二人とも金髪碧眼。
そりゃあさぁ、可愛いと思う。
私も二人が生まれた時は悶絶したものだ。『天使が降臨した』と。
でも……両親に愛されて育った二人は性格に難あり。
私しか見抜いてないのかなぁ?あ、お義母様は知ってるか。
「お姉さま。相変わらず、名前にそぐわず地味な容貌ですわね」
「ダメよ、カエ。本当の事を言っては。お姉さまだって傷つくわ」
「そうね、ジル。ほほほっ」
「あら、お母様ごきげんよう。どうしたのか?って。えーと……お姉さまが私たちの容姿に嫉妬したのかなぁ?なんか言われちゃった、へへへっ」
実にあざとい。特に、何も言ってないし、嫉妬もしてない。
私が言われたのが真実なんだけど、言い返すのが面倒になった。
「オフィーリアは姉なんだから、二人の世話をするくらいで丁度いいのよ」
母は義理の母。私と血がつながってないので、いびる。
いやぁ、数の暴力ってすごいなぁと思う。
言い返すのも面倒だし、どうせ倍になって返ってくるようなものだから放っておいた。
「あら?オフィーリアのくせに無視?」
『オフィーリアのくせに』って何だろう?
「そんなんじゃ夕食は抜きね。躾よ」
と言うから、周りの使用人も見て見ぬふり。
変に関わって紹介状もなしに解雇されるのは何とも嫌だろうし。
「あーあ、お姉さまがいなければ、私が公爵家の長女なのになぁ。身分にふさわしいような容姿じゃない?」
「ダメよ、カエ。そんなことじゃあ。あれでも一応長女なんだから。私たちは良い身分の殿方に嫁ぎたいわ。そのためにもこの容姿をもっともっと美しくしたいわ」
「そうね、ジル。やっぱ嫁ぎ先よね。今の公爵家もいいけど、世間でウワサになってる、王太子様とか、公爵様とかに見初めてもらいたいわ」
「カエもジルも頑張りなさいね!侯爵家で終わらないように」
「「はーい」」
容姿も大事だけど、あの二人には圧倒的に教養が足りないだろう?いいのか?貴族的マナーは合格として社交もOKだろう。でも……知識とか教養はね……。勉強、嫌がるんだもん。
お父様も二人に甘いし、普段は仕事で家を留守にしてることが多いから教養に欠けていることなど知らないでしょうね。
***********
王宮主催のパーティーに招待されることとなった。
「大変!カエとジルに新しくドレスを作らないと!あぁ、宝飾品を新調したりと忙しいわ。オフィーリアは自分で用意しなさい。できるでしょう?」
いつもそうだ。おかげでできるようになったが。新しくドレスを作るなど、なんだかもったいないなー。とかいつも考えて出来るようになったのは、針仕事!今の体形に合わせて微調整ならできる。ただ……流行は知らない。いつも家に閉じ込められるようにしているから。でもいいよね?
母の遺品の宝飾品とかで私は出来上がった。腹心の侍女、サラに髪を結いあげられて、完成!
「お嬢様が正統なこの家の跡継ぎでいらっしゃるのに、こんなに苦労をさせられて……」
「いいのよ。針仕事とか好きよ。それに、『家』に執着してないわ。いざとなれば針仕事で平民として生きていけるもの」
「お嬢様~~」
当日
「っふ、オフィーリアはその程度がお似合いよ」
私は『お似合い』という言葉に若干嬉しくなった。
「まぁ、お褒めにあずかり光栄ですわ、お義母様」
嫌味だったのかしら?なんだかお義母様の顔が赤くなっているわ。
「カエもジルもキレイよ。よかったわね、新しいドレス」
「そうなのよ、この流行の流れるようなマーメイドラインのドレス!まぁ、私たちみたいにスタイルが良くないと着こなせないわね」
「そうよね、カエ」
いいのかしら?あそこにいらっしゃる王女様もマーメイドラインのドレスをお召しになっているけど……?
「お嬢様、私と1曲踊ってくれませんか?」
私が?ダンスのお誘い?
「えーと、妹たちとお間違えでは?」
だって、カエとジルの目線が痛い。
「間違いなく貴女ですよ。ハリシン侯爵令嬢」
「あー、それでは1曲だけ」
後が恐ろしいけど……。きっといろいろ言われて挙句に一日中飯抜きとかになるんだろうなぁ。このパーティーで食べておこう。
「えーと、えぇ!!あなたは王太子殿下?」
なるほど、それでカエとジルの目線が痛かったのか……。
「何故に私なのですか?地味だし、取柄もないですよ?」
「そうですね、貴女は他の令嬢と違ってガツガツしていないので私は落ち着く」
なるほど。他の令嬢は玉の輿に必死だろうしなぁ。
「貴女のことはちょっと私の密偵に探らせました」
え?私のプライバシーは?
「貴女は他の令嬢よりも知識・教養がある。それで十分では?あと、実際に会ってわかった。貴女はもっと輝く。あの家の者がそれを邪魔しているようなものだ」
「はぁ」
1曲終わりそうなので……。
「これでもうお会いすることはないでしょうね。では、失礼致します」
殿下は不敵な笑みを浮かべている。何やら恐ろしい……。
**********
家に帰ると、私はやはり質問の嵐にあった。
「王太子殿下は何と?」
「うちのカエとジルになんかあるんでしょ?」
決めてかかるかなぁ?
「特に言われてないよ」
「嘘おっしゃい!あなたは今日一日ご飯抜きよ!」
やっぱそうか……。パーティーでいっぱい食べてよかった。いっぱい食べれるようにウエストに余裕を持たせて縫ったもんね。私グッジョブ!
はぁ、密偵……。私のプライバシーはないみたいだけど、どうすればいいんだろう?
*********
「お嬢様~~~!!」
「どうしたの?サラ。そんなに慌てて」
「王宮より急ぎのお召しです」
「アラ、困ったわ。着ていくドレスがないもの」
「そんなものどうでもいいです。早く行くのです!」
『そんなもの』って貴女が私のドレスを新調しないからこんなことになってるんだけど、『家』のためなのね……。
「あぁ、きっと王太子殿下が私を見初めたんだわ」
「あーっ!ずるいー、カエ!殿下が見初めたのは私よ」
カエとジルはこんなんだ。
「では、行って参ります」
と、私は早々と家を出た。お義母様とカエとジルに付き合うのハッキリ言って疲れるし。
**********
はぁ陛下の御前は緊張する。
「ハリシン侯爵家長女、オフィーリア。王宮よりのお召しにより参りました」
何の用だ?カエとジルの話なら楽なんだけど……。
「面を挙げよ。よいよい、楽な姿勢で」
私はカーテシーで空気椅子状態だったのよね。しかもピンヒールである意味拷問。
「ほぉ、あやつもなかなかメンクイ。あ、皆の者さがれ」
「でさぁ、俺の息子なんだけど?」
『ore no musuko』 ?
「あぁ、王太子殿下?オフィーリアに一目ぼれみたいなんだよね」
その前に言葉遣いが非常にフランクなんですけど?
「あぁ、この言葉遣いは地ってやつ?年中一人称が『余』とか面倒じゃん?」
確かにそうだけど……砕けすぎじゃない?
「因みに、王太子もこんなんだ」
王家はこんなんなのかーーー!
「問題は俺の言葉遣いじゃなくて、俺の息子ね。いやぁ、オフィーリアちゃんにほれちゃったみたいでさぁ。所謂一目ぼれってやつ?オフィーリアちゃんなら家柄OK、人柄OK、知識も教養もOKだし」
陛下にも私のプライバシーはないのか……。んっ?遠くから足音が……。
「お~や~じ~!」
あら、殿下。お顔が真っ赤です。
「ほらお前の愛しのオフィーリアちゃんだぞ~!」
陛下はドヤ顔だけど、殿下はなんか怒ってる?お顔の対比がすごいなぁ。
「オフィーリア嬢。親父の言った通り、貴女に国母になって欲しい。むしろ相応しい。俺がほれているのも事実だ」
「それでな、オフィーリアちゃんさぁ、あの家で結構困るだろ?だから外面は女官として王宮に勤めているということで家出ない?あ、もちろんこの息子の婚約者だよ?外面で婚約者だとオフィーリアちゃんにアタリ強そうだからな、あの家族」
うーん、いい話だ。国母かぁ。考えもしなかった。
今までは、適当に婿を貰ってあの家を継ぐもんだと思ったけど、考えてみればお義母様は私に家を継がせないだろうしなぁ。それだとこの話はいいかも。
「まぁ、女官しながらでも考えてよ」
「息子よ。お前は押しが弱いな」
「親父が強引なんです」
「女官ならすぐ手配する。オフィーリア嬢の知識ならすぐ馴染むだろう」
**********
私は王宮住まいに必要なものとかを取りに一時的に家に帰った。
当然のように質問攻めにあった。
「お姉さま!殿下はこのカエを見初めたと?」
「違うわよジルだもん!」
その自信はどこから来るのか?本当のことなど言えないわ。
「違うのよ。私を王宮で女官として雇いたい。って話。ついては王宮で生活するようになったから、ここから必要なものを持って行くわ」
「「なーんだ」」
「そうよね、私のカエとジルとは違うものね」
違うから見初められたんだけど?
私は当面の着替えと、重要なのは母の遺品と……。あとは侍女としてサラを連れていきたいわ。
サラには本当の事を伝えないと。
「お嬢様!おめでとうございます!」
「ちょっと!声が大きい」
「あ、失礼しました。興奮してしまって……」
「それでね、女官として王宮に行くんだけど、サラには侍女として私についてきて欲しいの」
「侍女付きの女官??」
「あ、女官っていうのは表向きなのよ。公表すると、ここの人間がどう出るかわからないからって王家側の配慮」
「なるほど。このサラはお嬢様にどこでもついていきます!」
「頼りにしてるわ」
************
「女官って何をするんでしょうね?」
「書類整理とか、炊事洗濯ででしょうか?」
「使用人じゃなくて?」
二人で考え込んでしまった。
「殿下!私に必要なものとしてこのサラを私の侍女として連れてきました。信頼のおける者です」
「うん、知ってるー」
そうだ、私のプライバシーを密偵から聞いたんだ。
「サラと申します。今後は王家のために粉骨砕身働きたいと思います。よろしくお願いします!」
「いやぁ、そんなに固く考えなくてもいいよ。しかも『王家のため』じゃなくて、君には『オフィーリアのため』に頑張って欲しいな」
「はい!よろしくお願いします!」
サラは密偵で見られてたの知らないから……。
「あのー。女官って何をすればいいんですか?」
「はい、だまされたー!」
殿下が楽しそうだ。
「普通に婚約者として公表するよ。あの家も王宮の中には手は出せないだろう?」
「はぁ、そうですか。私は今後王太子妃教育ですか?」
「そうだなぁ、オフィーリアは知識も教養もあるし、こないだの感じだとダンスもできるだろ?なんかにがてなことあるのか?」
つい私は目を逸らしてしまった。……やってしまった。
「あるんだね。サラ、オフィーリアは何が苦手なの?」
サラに嘘はつけない。相手が殿下だから。
「お嬢様は音楽、楽器が苦手です」
「声楽とかは?」
サラに質問しないでーーー!
「苦手です」
「うん、面白い。それを王太子妃教育にしようか」
マジで?
「殿下、天性のものもあると思うのですが……」
「ある程度はできないとね!」
ゔ、反論できない。
こうしてわたしは、王太子妃・オフィーリアになった。
ついでに、私がいなくなったあの『家』は機能しなくなったようで(使用人を統括してたのも私だしね)、どんどん没落をしていったみたい。お父様は頑張ってるみたいだけど、お義母様とカエとジルによる浪費によってね?
END
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