↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/129

魔物の森⑵

 最初の騒々しさから一転、森は不気味なほどに静まりかえっている。


 カール様とエルザさんと森を往く時は、気配をけしつつ、辺りに細心の注意を払っていた。だから不意打ちを食うということはなく、それでも遭遇率は他のどんなダンジョンよりも高かったと思う。


 だけど歩き出してかれこれ30分以上が経つ。その間小さな魔物にすら遭うことなく、わたしたちは歩いていた。


 もしかして、ジオン様がいるから他の魔物が避けているのかもしれない。


 考えてみれば魔物にとっては獲物になり得ない魔王に遭遇しても何一ついい事は無い。何より野生の勘ともいえる警戒心が働いているんだろう。


 さっきの森の喧噪はジオン様から逃れようとする魔物達の啼き声だったんだ。


 どれほど進んだかと空を見上げる。

 分厚い雲に覆われてお日様は望めないけど、遠くにある山脈の頂が枝葉の隙間からそろそろ見えてもいい頃だ。だけど木々の向こう側に見えたものにわたしは絶句する。


 だってそこにあったのは魔王城、ヘルシャフトの尖塔だったからだ。


 うそ! これって戻ってるよね!?


 どう考えてもわたし達は人間の町ではなくて、魔王城に向かって歩いている。


「……あの、ジオン様。このまま歩くとヘルシャフトに戻っちゃいますよ?」


 何か意図があって来た道を戻っているのかと、おそるおそる尋ねた。

 ジオン様はピタリと足を止めた。


「何を馬鹿なことを……」


「だってほら」


 指さす方を見て、一瞬目をまん丸とさせた事をわたしは見逃さなかった。


「……そろそろ昼では無いか? ハルも腹が減っているだろう?」

 

「減ってませんよ。まだ朝食とってから2時間くらいですよ?」


 まるで食事のために戻った風を装うジオン様に、わたしは疑惑の目を向ける。


 この人まさかとは思うけれど……いやもしかすると方向音痴なんじゃ??


 2時間も無駄にしたと思うとわたしは嫌気がさした。

 魔物に遭わなかったのはラッキーだけれど、ジオン様について行ったんじゃ町には永遠にたどり着けない。


「あの、よければわたしが前を歩いてもいいですか? 昨日まで森の中にいたんで、方角はなんとなくわかるんです」


「ああ、かまわないぞ」


 とにかく偉そうだなと思ったけれど、時間も無いことだしわたしはさっさと歩き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。