罪深き誤解
■型稽古はシチュエーショントレーニングではない
「座技半立ち」という型があります。正座をしている投げ手に対して、立っている受け手が攻撃を仕掛け、座ったままそれを捌くという型です。これは決して「座っている状態で攻撃されたら、このように対処しましょう」と言っているのではありません。危険です。即座に立って応戦してください。
それならばこの型は一体何なのでしょうか。
座っている人間と立っている人間が対峙すれば、当然大きなフレーム差が生じますよね。そうなると不利な体勢である投げ手は自然と己の重心が上がってしまうのです。これが合気道的には良くない。重心は身体の中心に収めるものなのです。つまり「座技半立ち」はあえて重心がブレがちな状況を作って、自分の重心と中心軸を鍛える型なのです。
さて、合気道の型のほとんどは互いに立った状態でのものです。つまり「座技半立ち」の型の意味は「座技半立ち」だけのものであって、他の20や30の型には通じません。また別の20や30のそれぞれの意味があるのです。
■手刀
合気道における打撃は「胸突き」か「手刀」です。この手刀なんですが、まあ、破壊力皆無のシロモノなんですよね。しかし擁護の声もあるのです、「脇差と想定させている」とか「剣の理合を体現させる動き」とかなんとか。いや、そんなことないです。手刀は手刀です。
だって型の中にはちゃんと短刀や剣を使った技が入ってるんですもの。木刀や杖などを使って稽古しています。裸拳を刃に見立てることはないのです。そもそも手刀と短刀では間合いが違い過ぎでしょ。
■袴
「足の動きから挙動を悟らせないため袴をはいている」・・・誰が言い出したのでしょうか?
しかも信じている人がものすごく多いのでビビります。合気道やっている人間ですら言うもの。
合気道が創始された大正末期、世の人々は袴をはいて生活を送っていました。その名残であり、それ以上でもそれ以下でもないのです。力士のマゲみたいなものです。
イメージしてください。仮に当時の高段者が、足を見られることによる致命的な弱点を発見したとしましょう。そして悩んだ末の結論が「袴をはいて隠せばいいんだ!」となるでしょうか?無いですって、そんな短絡的なことは。
■合気道が護身術?
これを言い出した人は罪深いですよ。一番罪深い。
99%の合気道家は半端者です。襲われた際に合気道の技術を使って暴漢を沈めることは、まず不可能です。
なにかアクションを起こせば、かえって逆上させるでしょう。
大声を上げて人気のある場所までダッシュしてください。
出来もしないことをうたい文句にして・・・。どんだけ売りがないの合気道。力が抜けます。