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42.再会と自覚と

いつも読んでくださりありがとうございます!


 窓の外からララの元気な声が聞こえてくる。と思ったら直ぐにドタドタと階段を駆け上がる音が大きくなり、扉が勢いよくバターーーン!と開いたかと思うと


 「お姉様ぁああああ!」

 「姫様!ご無事ですか!?」


 ララとアメリアが扉と同じ勢いで入ってき、ララに至っては突進して私に抱き着いてきた。

 

 ララ、く、苦しい…もう大丈夫だからそこまで抱き潰すでない。


 「あら、ご、ごめんなさいですわ…でも、お姉様がお倒れになったと…それに何やら不届きものに弱ったところを襲われそうになったと聞いて…私、心配で、心配で…」

 

 「私も、姫様を探している最中にこの方からそのことを聞いたとき、居てもたってもいられず…」

 

 「私だけじゃないのですわ!皆さまも心配してらっしゃいますわ!だって、いるはずの待ち合わせ場所にお姉様がいなかったんですもの!通りがかったパン屋のおじさまが、お姉様が危ない方の路地へ入り込んでいくのを見たと聞いたときには生きた心地がしませんでしたわぁ!」


 「それに、その路地にも探しに行きましたがいなかったですし…本当に姫様がご無事で…いえ、これでは護衛失格ですね…腹を切ってお詫びを…」


 わぁあああ!アメリア!だから直ぐそうやって切ろうとするのはやめろ!今回は私が一人になりたくてなってしまった事態だ。別にそなたのせいではないだろう…皆に迷惑かけたこと、本当に申し訳ない。


 「もう!次からはお姉様と言えど1人にならないでくださいね!いつも!ずっと!一緒ですわぁ!」


 ララ…そうだな、私も不覚にも危ない事態に陥ることがあるということはよく分かった。…いつまでしがみついているつもりだ?サンゴにしがみつくタツノオトシゴかそなたは?


 「タツノオトシゴでいいですもーん!お姉様が無事で分かったのですから!」


 「あ、あのぅ…?」


 ピョートルが恐る恐ると言う感じで手を挙げた。後ろのルキウスは不思議そうにキョトンとしている。あ、そういえば忘れていたか。


 「あぁ、すまない。紹介が遅れてしまった。ルキウス、ピョートル殿、彼女は私の6番目の妹のララだ。そして後ろの彼女は護衛兼侍女を勤めているアメリアだ。ララ、アメリア、彼らはルキウスとピョートル。私を助けてくれた方たちだ。」


 「ピョートルさん、ルキウスさん、お姉様を助けてくださってありがとうございますわ!」

 「姫様を救ってくださったこと、お礼申し上げます。」


 ルキウス、と言う名にアメリアの眉がぴくッと動いた。気づいたかな?

 

 「えぇと、ご丁寧にどうも…私共は竜帝国の者で、この方は位の高い去るお方とだけ…あの、それよりエリュシオネー様は何か念話のような能力がおありで…?こっちからは一方的にララ様とアメリア様が話しかけているようにしか見えないのですが…」


 あぁ、なるほど、それで先ほどから不思議そうに見ていたのだな。…そういえば長く妹たち、アメリアとしか会話らしいやり取りをしていなかったからこの状態に慣れすぎていたようだ。妹たちといるとすぐこうなってしまう。


 「ピョートル様!お姉様はちゃんと表情で語っておりますわ!見てくださいこのお顔!今、お姉様は「あぁ、この状態に慣れすぎてしまっていたようだ…意識して喋らなければ」ってお顔ですわ!」

 

 「いやいやいや!ここにお連れしたときも!ルキウス様とお話しているときも!ほとんど!変わっていらっしゃらないじゃないですか!!!」


 そ、そうか…?ま、まぁ500年くらい表情を、感情を出さないよう過ごしていたからな…普通の人には違いはほとんど分からないだろう。…ルキウスのしょんぼりした顔が見ていて可哀そうになってきた。何故だ…


 「お姉様から聞いていなかったのですか?お姉様は、海で意地悪で陰険で性悪な側妃とその娘、私たちの末妹なんですけど!彼女たちとその取り巻きにないことないこと振りまかれたせいで!お父様もお父様でそれについて何もしないですし!民たちがお姉様を必要以上に恐れるようになってしまったのですわ!家臣たちも皆、お姉様が表情を少しでも変えようものなら、話そうものなら、一挙一動に対して難癖付けたり「災い」とか言い出したりして!500年もそうされ続けたらたまらないですわ!でも、お姉様はとってもお優しいから、だから皆を怖がらせないよう、なるべく皆の気が休まるようこのように無表情になってしまったのですわ!もう!」


 ララが足をダンダンと踏み鳴らしながらまくしたてる。その剣幕か、話す内容にか、ルキウスとピョートルの表情が険しくなっているのが分かる。


 「ララ、もう良い。「災い」を起こしてしまったのは私に変わりはないし、今はそれについて気にしないようにしている。表情が出ないことで却って皆をまた怖がらせるなら、今後は意識して出すようにするし、声に出して喋るようにしよう。混乱させてすまなかった、ルキ、ピョートル殿。」


 「い、いえ…しかし我らが想像していた以上に…」

 「あぁ、ノッケンメーア内部では君を排斥するかのような動きが随分前からあったようだな。…あと、シオンは謝らないで。声に出さないと確かに俺らには伝わりずらいけど、そうなってしまったのは周りの環境だ。俺は、シオンが自然と声や、表情を出せるようになればそれでいいと思ってる。」


 「まぁ…」「ほぅ…」


 ん?なんだ、二人とも


 「お姉様!この方!!この方なかなか分かっていらっしゃるじゃない!」

 「うむ、なかなか男気あるではないか」

 「「で、お姉様(姫様)とはどういったご関係で?!」」


 ただの幼馴染だ。

 「幼き頃、よく遊んでいただいた仲です。」


 「あら!あなたがかのルキウス様なのですね!お話は伺っていましたわ!」

 「あの小さかった黒い竜から…ご立派に成長なされたのですね。」


 「そうだな、あの時はアメリアさんも遠目から見守っていてくださってましたね。」


 和気あいあいとした雰囲気が流れた時、事態は一変した。

 

 「まぁ、その時からずっと、若はエリュシオネー様にぞっこんだったらしいですけどね~。」


 呑気に腕を後ろに組みながらぼそっと言うピョートルに全員がぐるんと顔を向けた。


 「え?」

 「ピョートルお前!!」

 「あぁ…やはりそうでしたか。」

 「まぁああ!これが愛なのですわぁ!!!」


 えぇええええええええええ??!!

 そんな事あるのか?その時からって、その時からずっとって…ずっとって…今もか?!今もなのか?!

 だって、ルキは幼き頃によく遊んだ仲で…いつも優しかったし…でもあれは友人としての…

 でも、よくルキの故郷へ案内したがってたし…でもそれも友人としてのだと…

 あれがもし、全て好意を持っていたとするなら?…あれ、何故か段々思い出の全てにルキの好意があった節があるように感じる…あれ…もしかして…え、でも…さっきの「俺の光」って、そういう…?


 「あ、あの、シオン…」


 な、なんだ…


 「流石に俺でも、今の君の表情は分かるよ…。」

 「お姉様、顔がタイのように真っ赤ですわぁ!」


 み、見ないでくれぇ…!


 「姫様…全然お気づきにならなかったのですね…あれほどライラ殿にからかわれておきながら…」


 昔「は」そういうのに疎かったのだ…!それに今は私のことを好きになるような物好きなどいないと思っていたし…急にこのような…


 「あぁ~もう…俺から言いたかったのに…ピョートルお前後で殺す。」

 「あ、ちょ、だってこんな雰囲気いつまでたっても若言わなさそうだったでしょ?!なんだかんだ若って奥t…ぐはっ…!」


 あ、可哀そうに…ピョートルは今しがた立った1発のパンチで腰から折れ畳むように崩れ落ちた。

 

 「あー…なんだ、その、」

 「…」

 うん

 「そういう訳だから、俺は君を助けることには命も惜しまないつもりでいるから…。」

 「…」

 うん

 「だから、いつか君の気持ちが向いてくれなくても、君の助けにはなる…いや、手助けさせてほしい。君には、色んな恩もあるし。」

 「あ、あぁ…」


 顔をお互いに真っ赤にさせながら硬直が続く。

 私は今、頭がいっぱいで何と返事しているのかすら分からぬ。


 「姫様、もうそろそろ戻りませんと、学園の許可された門限が近づいてまいります。」


 切り上げるかのようにアメリアが言ったのを好都合に、逃げるようにその場を取り繕う。 


 「そ、そうだな!帰らねば皆が心配してしまう…えぇと、ルキ!」

 「ひゃ、はい!?」


 お互い声が裏返っているが、それどころではない。

 

 「そなたの気持ちは分かった…つもりでいる。だが、今後のこととか、その、私の気持ちも整理しないとだし…。」

 「うん、分かってる。だから、また今度整理がついたら連絡してほしい。エルメンタへの対処についても話したいし。」

 

 エルメンタ、の単語で一気に我に返った。そうだ、私にはやるべきことがある。


 「…あぁ、また連絡する。ありがとう…頼りにしている。」


 そう言って帰路について私たちがパメラと合流したのはもう夕暮れに差し掛かっていた。

 パン屋のおじさんをはじめ屋台の商人たちが心配していたことや、門限ギリギリになり先生や寮母からは注意を受けたことなど、帰路でもいろいろあったのだが、私の頭は先ほどのルキの赤くなった顔の意味を考えることでいっぱいだった。


 「あら、エリュシオネー様、お顔が真っ赤ですわ?日光に弱いゆえに起こる病になりかけたと伺いましたが…まだ?」

 

 …そうだな、まだ日差しの熱が残っているのやもしれぬ。きっとそのせいだ。

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