番は無理です。
勢いだけで書いて見ました。
「僕と番になって下さい」
黒竜に巨大な頭を下げられ私は硬直した。竜は首を下げたまま、私をうるうる見ています。
いや。可愛くありません!
目の大きさは成人男性の拳ぐらいです。
鼻腔なんて狢の巣ぐらいの穴です。
爪なんか短剣みたい、私なんか簡単に八つ裂きにされます。
大きさ違い過ぎます…
私成人女性にしては上背ありますけど、竜さんかるーく私の2倍あります。
無理無理無理です。
「ごめんなさい。お気持ちは嬉しいのですが、体の大きさ違い過ぎますので」私はやんわり断ろうとしますが、竜さん被せ気味に「嬉しいなら考えて下さい」と引き下がりません。むしろ一歩二歩前に鼻息荒く進んできます。
私は一歩二歩後ろに逃げます。 鼻息ストーム止めて下さい。
うわ~番なんてなったら毎日迫られるに決まっています。繁殖したい本能を受け入れられません。
大きさ違います。
本当の意味で殺されます。
無理に決まってます。
うら若き乙女として恥ずかしい話題ですが、お断りするために言います。はっきりキッパリと!
「え、えっとですね。つ、番になると言うことは家族を作るんですよね?」言いにくいので吃ります。
「もちろんです。君によく似た竜がいいです!」竜は笑っているつもりなのか口を開きました。
口内に鋭い牙がびっしり生えています。このままでは、食われますお食事的に。
「家族を作るにあたって、私と黒竜様は体の大きさが違うのでいろいろ難しいと思うのですが?」私が焦りながら言い募ると竜は一瞬動きが止まりました。
怒っているのでしょうか?
「愛があれば大きさなんて大丈夫です!」ひどくキッパリ竜は言いました。
「あ、愛ですか?」
「はい!愛です」
え、どこにありますか?私には見えないのですが?
呆然とする私の体を竜が鋭い爪に当たらないように掴みました。
「きゃ!何ですか!」捕まれて驚愕する私に竜は鼻息ストームをかけます。
「心配でしたら、試してみましょう?」
「え?え?何をですか?」
「大丈夫です!優しくしますから」
竜は、うるうると熱い目で私を見ました。
「え!お試し?大丈夫じゃありません!無、無理です!」
このままでは食われます、肉体的に。
そして、悲鳴をあげる私を無視し竜は飛び立ちました。
その後赤い竜生まれたようです。