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あ、ありのまま起こった事を話すぜ!先生が国王になっていた、何を言っているのかわからないと思うが、俺もわからない

 翌朝、生徒達はレイクに呼ばれて玉座の間へ行くと、衝撃的なものを見てしまう。


「よ、昨夜はよく眠れたか?」


 そこにはだらしなく玉座に腰掛け、軽く手を挙げる雄二先生の姿があった。


「せ、先生?何をやってるんですか、国王様はどこに行ったんですか?」

「それに関しては私から説明しましょう」


 そう言ってレイクが生徒達の方へ向き直る。


「まず、国王…いや、前王は死にました。そして、次の国王にはここにいらっしゃいますユウジ様でございます」

「えっと、死んだってことは前の国王様は…」

「ああ、殺した。誰でもない、この俺が」


 そう言って笑う雄二先生。


「なんで…なんで殺したんですか!?殺人はしてはならないことではないですか…!先生であるあなたがなぜ!」


 勇輝が一歩前に歩み出ると、雄二先生は小指で耳を掻きながら答える。


「簡単な話だ、あいつは俺達を道具としてしか見ていなかった。だから殺して俺がその上に立った、それだけだ」

「しかし_」

「考えてみろ、このままあいつの下にいたらどうなっていたと思う?それともお前は、柚崎(ゆざき)神葉(かんば)の様に死にたいのか?」


 生徒達の脳裏に迷宮で死んだ男女の姿が浮かぶ。

 青ざめて何も言えなくなった生徒達を見て雄二先生は、溜息を吐くと優しく微笑んだ。


「だが、俺が国王になった以上もうあんなことは起こさせない。だから、安心してくれ」


 その言葉に生徒達は『先生は殺したくて殺したのではない、全て自分達のためにやってくれたのだ』と次第に考えを変えていった。

 すると、雄二先生は手を叩く。


「さて、今後の方針だが。このままいけば魔王にこの国は、滅ぼされる。つまり、俺達も死にかねない。だから、戦えるやつだけ魔王討伐を手伝って欲しい」

「でも先生、僕達ではレベルが足りないです。それに、あの迷宮には…」

「そこに関しては心配ない」


 顔を青ざめさせておずおずと発言する男子生徒に雄二先生は、優しくそう言う。

 すると、玉座の間の扉が開き黒髪の白銀の鎧と白髪の蒼銀の鎧を着た瓜二つの顔立ちの2人の騎士が入ってくる。


「彼等は…?」

「こいつらは『真銀騎士団』と『神鉄騎士団』の騎士団長だ。後、レイクの部下だとよ」


 雄二先生がそう言うと、2人は(うやうや)しく頭を下げる。


「初めまして、勇者様方。(わたくし)は『真銀騎士団』団長、イグラ=レンブラントと申します」

「やあ、僕は『神鉄騎士団』団長、フレイ=レンブラントだよ。よろしくね、勇者様達」


 礼儀正しいイグラとケラケラとおちゃらけているフレイに、生徒達は微妙な表情を浮かべる。


「こいつらはこの国でレイクの次に強いらしい。こいつらがいれば…もしかしたらあの2人も死ぬことはなかったかもな…」


 ミシリ、と音を立てて、玉座の肘置きにヒビが入る。

 雄二先生が握り潰した所為だった。


「ユウジ国王陛下、どうか落ち着いてください」

「…すまない、冷静じゃなかった」


 イグラの言葉で冷静になった雄二先生は、何度か咳払いをする。


「ということで、レベル上げにはこいつらがついていく。だから気兼ねなく参加してくれ。それじゃ、行く奴は1時間後にここに集合な」


 そんじゃーな、と言って雄二先生が手を振ると、生徒達はそれぞれどうするかを話しながら解散していく。


(取り敢えず部屋に帰るかな)


 一葉が部屋に帰ろうと廊下を歩いていると背後から呼び止められる。

 背後を振り返れば、そこには蒼銀の鎧騎士_フレイがニコニコと笑いながら立っていた。


「やあ、こんにちは!イチヨウ様であってるよね?」

「こんにちは、一葉でいいですよ。どうかしたんですか?」


 面倒くさそうだな、と一葉が思っているとフレイは周囲を2、3度見渡すと、一葉にコッソリと耳打ちをする。


「いや、イチヨウ君が凄く強いってユウジ国王陛下に聞いたからさ。ちょっと戦ってみたいな〜って思って!」


 そんな風に、子供の様に無邪気に笑うフレイを見て一葉は溜息を吐く。


「フレイさん。僕より先生の方が強いですよ」

「いや、それはそうなんだけどさ、勝負を挑もうとしたらイグラがめちゃくちゃ睨んでくるんだよ」


 ああ、確かにあの人に睨まれたら怖そうだな、一葉はそう思うのだった。


「お願い!ね、ダメ?」

「やっても僕にメリットが…いや、待てよ」


 一葉はある事を思い付くと、ニヤリと笑う。


「わかりました、その勝負お受けしましょう」


 そう言って2人は修練場へと移動するのであった。

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