ケーラの心
カチャカチャとスプーンとフォークが
皿に当たる音がする
今日の晩御飯はミートローフ
一口サイズに切られたブレッド、
小皿に取り分けられたサラダ。
長方形のテーブルにお父様と私しかいない。
メイドは部屋の隅で私たちが食べ終わるのを
待っている。
メイドは私たちとは食事をしない。
メイドはメイド専用の食事場があり
そこで食事をしたり休憩をしたりしている。
食事時には一言も喋らない。
メイドは勿論、私もお父様もだ。
私はこの時間が嫌いだ。
何か責め立てられているような感覚になる。
悪い事をしたから
そういう感情が湧いてくるという事ではない。
お父様の開く、くだらないパーティより
街の人が集まる食事処の様な所の方が
私には合っている。
お父様が嫌いという訳ではなく
開くパーティが嫌なのだ。
お見合い相手を探すという名目で催される
パーティに来る男どもは
全てお父様の資産が目的。
それをお父様は分かっておられない。
だから、私はパーティが嫌いだ。
今まで幾人かの結婚の申し込みはあったが
全て断っている。
お父様が催すパーティを台無しにしていることもあり
若干の後ろめたさは感じている。
それもあり、このお父様との食事時を嫌だと感じているのかもしれない。
お父様の事は尊敬し
寧ろ、とても良い父だと思っている。
だが、お見合いをさせたがる部分に関しては
あまり好きではない。
それに街の食事処の方が
みんなでお話をしながら食べれるという事を
以前、知ってから
そこにまた行きたいと思っている。
食事が済み、目を下に向けたまま
口元をナプキンで拭き
席を立ち上がる。
お父様の方を見たが
まだ食事が済んでないようだった。
自室に戻り、本棚の前の椅子に腰掛ける。
ケーラのいる部屋に繋がっている電話で
紅茶を注文した。
10分程経った頃に扉が叩かれた。
「お嬢様、紅茶をお持ちしました」
クリスティアは読んでいた本を閉じ
扉の方に体を向けて
「入ってきて」
ケーラが紅茶とお菓子を乗せた
二層の荷車を押して入ってきた。
黙々と紅茶の準備をして
クリスティアの前にティーカップと
お菓子が置かれる。
紅茶の注がれたカップを
手に取り、一口飲む。
クリスティアはケーラの方を横目で見る。
ケーラはどことなく落ち着いていない様子だった。
川から帰ってきてから
ずっとこの状態だ。
チラチラと見かけていたが
仕事が手についていなかった。
「ケーラ、何をソワついているの。
気になって仕方がありません!」
「も、申し訳ありません!
私は外におりますので済みましたら
お呼びください」
ケーラか出て行こうとするのでクリストルは
手を掴み引き止める。




