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6話 まいねーむいず

食堂に来ると部屋の広さに皆びっくりしていた。食堂に来るまでの道中も皆ソワソワしつつも、僕については誰も一切追求してくる事が無かった。実際盗賊達がいきなり死んでそこに怪しい男が来て助けに来たと言えば疑う筈だがよっぽど混乱していて、よほど怖かったのだろう。今はだいぶ落ち着いてきて、僕がいつまでも解放しない事に疑問を持ってきたのかもしれない。


「皆さんには温かい食事をご馳走した後にすぐに皆さんの家まで送り届けるので安心してください」


形だけでも安心させるように声をかけて女性達に席に着かせた。そして厨房へ急ぐとクリームシチューとロールパンとフランスパンを7人分用意した。


「これは、スープ?でもこのとろみは...美味しい」

「このパンふわふわ」

「皆さん、お腹いっぱい食べて下さい。お替わりは沢山ありますから」


僕はシチューをビーフとクリームで寸胴鍋ごと用意して、その横に色んな種類のパンを用意した。

さっき僕も牛丼を食べたが、皆が美味しそうに食べているのを見てお腹が空き窓際の方で皆が嬉しそうにしているのを微笑みながら食べていた。


「あの、横に座ってもいいですか?」


青髪女性が話しかけてきた。トレーにシチューとパンを乗せて持ってきてるから一緒に食べたいようだ。美人からの食事のお誘いは歓迎だ。


「全然構いませんよ?」

「ありがとうございます。このパン美味しいですね。柔らかいし、パサつきませんし」


青髪女性が「凄い」「美味しい」と褒めながら食べていた。すっかり落ち着いたようでニコニコしていた。すると


「あの時、盗賊共を倒してくれたのはあなたですか?」

「ええ、まあ」


手口を教えるつもりは無いが、否定はしない。僕を攻撃させない為の牽制になるし、人助けをしているのでさらに恩を感じてもらえる。


「どうやったのかを教えてくれとは言いません。なので、お名前だけでも教えて頂けないでしょうか?街に戻った時に礼がしたいんです」

「え、えっと」


僕は迷う。名前を教える程度なら何の問題も無さそうだが、礼をしたいと言いつつ要注意人物として危険視されるかもしれない。そうなった場合、下手に街に行けなくなる。街に行けなくても『ルフ』さえあれば全然暮らしていける。だが、交易や探索もしていくつもりなので、街に拠点を置いておきたい。その為街で危険視されると、大変困る。それに倉田圭伍なんて名前を言ったら怪しまれそうだ。agmcのプレイヤーネームでも使うべきか?


「すみません。自分から名乗るのが礼儀ですよね?私はイリアーナ・ミラレーサ。お気軽にイアと呼んでください」

「分かりました。自分はツヴァイです。お礼楽しみにしておきます」

「はい!」


結局プレイヤーネームを使ってしまった。青髪女性改めイリアーナの笑顔でつい、名乗ってしまった。この笑顔を信じて何も無いことを祈ろう。


「では皆さん送り届けるので馬なし魔道馬車乗り場まで付いてきて下さい」


僕がイリアーナ達を送り届ける為に車に乗りに格納庫に行く途中で今更ながら大変な事に気付く。


「ヤベェ、格納庫にギアーズ置いてるわ」


格納庫は主にギアーズを置いている場所。ギアーズがあって当然なのだが、忘れていた。車のあるビークルゾーンはギアーズゾーンを超えた所にあるからな。もしかするとギアーズを見ても何だか分からない可能性もあるが、高確率で周りの者に話すだろう。どうすれば?


「あ、あの。取り敢えずここから先で見たものは他言無用でお願いします」


取り敢えずお願いする。効果無いだろうな。もうどうにでもなれ!だ。

そして格納庫に着く。僕がドアの開閉タッチパネルスイッチを押すと大きなドアがさっと開く。イリアーナ達は驚いている。


「何あれ?」

「巨人?」

「ゴーレムかしら?」


女性達がギアーズを見て口々に語っている。存外全部間違いではない。皆驚くだけで、興奮してない。くっそーっ、ロボットで喜ぶのはやっぱり男だけなのか。


「皆さん?本当にばらさないで下さいよ?」


女性達は「分かった分かった」とあしらうように面倒くさそうに返事した。


「ツヴァイさん、これは?」

「まぁ、ゴーレムみたいなもんですね。本当に誰にも話さないで下さいよイリアーナさん?」

「イアでいいですよ?」


イリアーナがグイグイ来るので釘をさしておく。何かとイアと呼ばせたがる。まだ愛称で呼ぶのはハードル高いわ。

心臓バックバクになりながらもギアーズゾーンを乗り越え、ビークルゾーンに来た。


「これが鉄魔道車?」

「派手な色合いね」


少し慣れてきたのか女性達が良く喋るようになってきた。僕はバス型装甲車の『ビークルB』に皆を乗せる。赤と青と白のカラーで確かに派手だ。そして7人でも余裕がある。バスだから。


「凄い、椅子がフカフカ」

「馬車と乗り心地が段違いね」


いつもの2人の感想を聞いて、僕はバスを走らせる。

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