3話 確認
「くっそ、相変わらず広い」
僕はまた、数十分かけて格納庫にやって来た。格納庫の自動ドアの開閉スイッチを押すと、ウィンと一瞬で大型トラックでも余裕で出入りができそうな程大きなドアが開く。
「流石、一番広い場所なだけあるな。広過ぎる」
『ルフ』の中で一番広い場所、それがここ格納庫だ、1kmは余裕である。そしてそこに何機もある
巨大ロボット、ギアーズ達。
「うほ、すげー。全部本物かよ...カッケェ!!」
自分でも興奮しすぎてるのが分かる。本物の搭乗型ロボットを前にテンションがガンガン上がる。今にも動き出しそうなギアーズ達はどれも綺麗に整備されている。
「ガルヴァンドに乗ってみるか」
僕は一番使っているギアーズの『ガルヴァンド』の元まで走っていく。僕は今人生で一番ワクワクしているかもしれない。僕は今からこのロボットを動かすと思うと自然と口角が上がる。僕は高所作業車の様な搭乗補助車に乗って『ガルヴァンド』の胸部の操縦席に乗り込む。
「うほぉ!!すげえ!!まんま操縦席じゃん!!」
それはいつもVRコンソール越しに見ていた景色。いつもの操縦席。だが見るのと乗るのとじゃ全然違う。本当に興奮する。すると僕が乗り込んだのを確認したのか電源が入る。僕は直感的に操作方法が分かる。少しゲームと違うが、大体は一緒のようだ。僕は試しに『ガルヴァンド』を歩かせる。
こんなに大きな体で鉄の塊なのに小音でほぼ音を出さず1歩足を踏み出した。
「おぉぉぉ!!!!」
テンション最高潮。もう幸せ。ロボットが嫌いな男ははたして居るのか。巨大ロボットを動かして頭がおかしくなりそうになる。一通り堪能して僕は『ガルヴァンド』を元の位置へ戻し、降りる。整理すると、ギアーズはおそらく正常に動作する。弾薬、燃料、パーツの補充はさっきメニューを見た限りおそらく可能。武器の威力、現地生物への攻撃力の有無は『ルフ』の前にあるゴブリンの洞窟で充分確認出来るだろう。勿論安全の為に遠隔操作型ギアーズを送り込むつもりだが。
「取り敢えず移動手段の確保を」
僕は格納庫のギアーズを置いている所から離れ、ビークルを置いている所に向かう。そこにはバギー、ジープ、トラック、バイク、タンク、ヘリ、ジェット等ほとんど何でもある。何せ一時期探索用にビークル収集していたからな。基本何でもある。取り敢えず僕はバイクを持って行く。船内の移動ならこれが最適だろう。何せ広過ぎるからな。通路も広くジープでも持て余すだろうが、小回りが効かないから行ける場所が限られる。なので僕はバイクに乗って格納庫を後にした。
「いやぁ、爽快爽快」
船内をバイクで走る。なんとも罰当たりな行為だが、如何せん一人ぼっちなのでね。誰も咎めないんだよ。そのままたった数分で機械操作室に移動して来た。ここはコンピューターやスクリーン、偵察機や遠隔操作型ギアーズの操作室もある。勿論お目当ては遠隔操作型ギアーズの操作の為だが。
「操作室は広い部屋でゲームしてる気分になるな」
操作室だと何かに乗ってる感が無いので今までのゲームをしているみたいな感覚になる。
取り敢えず操作室を起動させる。すると画面がにカスタム画面が映り、人サイズの遠隔操作専用の小型ギアーズ『アサシンII』をカスタムする。といっても兵装は固定兵装で腕型射撃武器の『オートアサルト』と、これまた固定兵装で肩に載ってる『小型4連ミサイル』位しか無く、完了ボタンを押すだけだが。
完了ボタンを押すと画面が切り替わり、格納庫の中の映像が映る。つまり今格納庫の中に居る『アサシンII』を操作出来るようになったのだろう。僕は格納庫の射出用扉を開ける。が『アサシンII』はジェットバーニアが付いおらず、射出出来ないので普通に出た。
「マップ上に敵勢反応無し。目視確認、敵影無し。オールグリーンっと」
周囲の安全を確認すると、洞窟のは逆の方向へと移動する。『アサシンII』は主に偵察がメインで使用されるので移動音は無く、周囲の音も集めて探れる。なので僕はそれをフルに使って誰にも気付かれないようにどんどん洞窟から離れる。そしてだいぶ離れた場所まで来ると僕は移動を止めた。そして木に向かって『オートアサルト』を構える。
「威力の確認もしないで迂闊に手を出せないよな」
そして僕は木に向かって『オートアサルト』を一発撃つ。すると撃たれた木が吹き飛んだ。それこそ切り株と折れた木の上部少しを残して跡形も無く消し飛んだ。本来『オートアサルト』は連射武器で威力は一発20程。ゲームでは最弱武器とも言われていたがその武器でもこの威力。正直僕は少し驚いた。
「こりゃミサイルは怖くて試せねぇな」
と言いつつ、両肩の『小型4連ミサイル』を構える。この武器は片方4発が両肩で計8発、一発の威力が150。『ガルヴァンド』の固定兵装の『デストロイ』に比べればかなり弱いが、攻撃力20の『オートアサルト』があの威力なら『小型4連ミサイル』はかなり凄い威力になりそうだ。
そして僕はミサイルを撃たなかった。山火事になったら困るからな。
そのまま僕は洞窟を目指す。そして洞窟に入っていった。
「さぁ、ゴブリンにはこの武器が効くかな?」
僕の操る『アサシンII』はずんずんと洞窟の奥へと進んでいく。