1-0 ハングリー精神あふれる《狼男》事件
作者のアッキです。
偉人が活躍するお話を作りたいと言う思いでここまでやって来ました。
寛大な目で評価してくださると幸いです。
ーお母様へー
お母様、いかがお過ごしでしょうか?
日本ではもう既に秋の季節が感じられて肌寒くなって、サツマイモやキノコが美味しくなって、さらにレンコンも美味しくなる季節だと思います。
蒸気機関車に乗って私は今、タレイア音楽大学のある街、ワシントンに来て、楽しい毎日を過ごしております。蒸気機関車はちょっと振動が大きくて腰が弱いお母様にはきついかも知れませんけれども、これを使えば二、三日かかっていた長距離間の移動が速くその日のうちに出来るかと思いますので、都会の大病院に行きやすくなってお母様の健康状態も良くなると思いますよ。
アメリカの技術が日本に伝わる事によって、色々と我が国日本の技術や環境も良くなるんじゃないでしょうか? 今、私が乗っている蒸気機関車も、アメリカを通して日本へと渡る日も近くないと思います。
20年前のマシュー・ペリーが乗って来ていた巨大蒸気船「白船」二隻の来航。
アメリカとイギリスの技術交流によって生まれた、蒸気の強大な力を使った巨大蒸気船の来航に対して、日本は――――幕府のお偉いさん方は全面降伏、そして技術交流を行う事を条約として盛り込んでいたのでした。上の人達にとっては屈辱的かも知れませんが、そのおかげで私達の暮らしに外国の発展した技術が入って来てるんだと思うと嬉しい限りですけれどもね。
それにそのお偉いさんの条約によって私も海外留学によって、ワシントンのタレイア音楽大学に留学する事が出来たんだから、嬉しい限りです。
まさか、そんなワシントンであんな事件に、"魔法"を扱った事件に巻き込まれるだなんて思いもしなかったのだけれども。
これはそんな私が、魔力を持たない《魔法使い》のトーマス・エジソンに出会って世にも奇妙な《狼男》の事件に巻き込まれたのです。今回はそのことについて、お母様にご報告させていただきます。
信じて貰えないかもしれないけれども、これは《本当》の出来事の話です。
ー1873年9月23日
タレイア音楽大学一回生 滝廉華よりー