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冒頭 (3)
「か、返せ。俺だって普通の小説だって読むさ。」
叶は少し焦り気味に由香里の手から小説を取りあげた。
「ふ〜ん。そういって実は撮りたい映画のストーリーでも作ってたんじゃないの?」
由香里はふふふと笑って叶を眺める。
「うるさい、関係ないだろ。」
そういって叶は由香里から顔を背ける。
「関係あるよ!私は叶のファン第1号になる予定なんだから。」
そういって由香里がはにかむと、自然と叶も表情を緩ませた。
「予定ってなんだよ。」
「予定だけど絶対なる。だから関係あるの。」
「はいはい」
叶は軽く流す。
そーだよ、関係ないわけないだろ。
お前が主人公なんだから…。
と叶は心の中で呟いた。