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冒頭
ゆるゆるとお読みください。
スイッチを押すと、ビデオカメラの液晶がパァと明るくなった。
録画ボタンを押すと、叶はカメラを窓の下にある棚においた。
カメラが置かれている前で叶はカメラに近づいたり、遠ざかったりというのをしきりに繰り返した。さらには部屋の明るさを変えたり、角度を変えたりその様子をカメラに映した。
トントン
といきなり、部屋の戸を叩く音があった。
叶は急いでカメラを隠し、勉強机の前の椅子に座った。そしてカバンからテキストと筆箱をだし無造作に机の上に広げた。
「入るわよ。」
そういって母が部屋に入ってきた。
叶は不自然な格好で椅子に腰掛け、おもむろに母の方を見た。
「返事くらいしなさい。はい飲み物持ってきたから。どうせまたカメラでもまわしてたんでしょう?あんたもう3年生なんだから趣味ばっかしてないで、勉強しなさいよ。」
と母はため息交じりに言った。