表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
響-ヒビキ-  作者: nozomu
1/16

第1話 不思議の始まり

試しに改訂版を1話だけ投稿します

 ある田舎の高校。瀬川守(せがわまもる)は「普通」の日常を送っていたはずだった。

 あの『声』が聞こえるまでは――――



「んっと……」

 ある日の朝、窓からさす光で俺は目が覚める。

まだ完全には覚醒していない体を動かし時計を見ると、針は6時36分を指していた。いつもの起床時刻より少しだけ早いな、と思いながら俺は起き上がる。

 俺が身支度を調えて朝食に向かうと、すでに他の三人が食卓にいた。

「おはよう。今日は早いんだな」

「おはよ」と返事をしたのは俺の弟、(わたる)である。四つ年下、つまり小六だ。航は急いでお茶を飲み干すと、「ごちそうさま。いってきまーす」と駆けだしていく。

 航が扉から出て行く前に「口元にご飯粒ついているぞ」と俺が忠告すると、航は口を手でぬぐって慌てたように家を出て行った。そういえば昨日、運動会のリレーの練習を朝からやる、みたいなことを言ってたっけ。それにしても七時前では早すぎると思うが。これはあいつ、部屋の目覚まし時計を間違って調整したな。目元はまだ眠たそうなままだし。

 母親の「たまにはあんたもあのくらい早起きすればいいのに」なんて声に生返事をしつつ、俺は椅子に座って味噌汁を口に運ぶ。それは無理な話だと思う。第一今よりも早く起きたら、朝食の準備が大変なるのはこの母親だ。航が早起きになっているのは、一時的なものだし。

 それを分かっているのか、と毒づいていると頭の中で声が響いた(・・・・・・・・・)ので顔をしかめる。両親にどうした、といった表情をされた俺は小さく笑ってごまかしつつ、朝食を食べ始めた。

 キッチンでは母親が俺の弁当をつくっている。父親は食卓の椅子の上で新聞を広げている。俺の両親は、いつも通りだった。

 俺は瀬川守。十六歳の高校一年生。家族構成は両親と俺、そして航の四人。どこにでもいそうな核家族なわけで、今日も一般家庭の朝の光景が展開されている。



 ……ように表面上は見える。

 しかし、俺は違った。

 朝、確かに『声』が頭の中で響いていたのだ。

 周りの人から見たら何も変わりない、普通の高校生のように見えるけれども。どこにでもある家庭の、どこにでもいる高校生に見えるけれども。

 ――――でも。

 少なくとも今はそうではなくなってしまった。

 この『声』が聞こえるようになってから……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ