3-9
「…この度は誠に申し訳ありません。しかしなにしろ、裁判にしろ御訪問にしろ、 急でございましたためご了承ください。
私で承れない後用事でしたらまた日を改めて、
次は双方の都合の良い日に…」
そう言ってフランシスは背広の裏ポケットから手帳をとりだした。
「貴方は、言葉が通じないのですか?」
いい加減じれてきたようにユリシスが苛立たしげに声をあげる。
フランシスは手を止めてユリシスを見た、
彼は膝に頭を乗せていたシャナを抱え直すと、不気味に笑みを浮かべた。
「シャナちゃんは可愛いですね。言うことも良く聞くし…
ふふふ。いや…本当に可愛い」
「シャナを離して下さい。
彼女は今から勉強の時間なのです」
フランシスが歩み寄る。
「勉強なんかしたくないよね?女の子は可愛ければいいのだから、シャナちゃんは十分だ」
「シャナ、私は馬鹿な妹は嫌いですよ」
「君のご主人様は、どうしているのかなぁ?」
ユリシスは寝ているシャナに語りかける。
「シャナ、フルーツタルトがあるから起きなさい」
「ご主人様に会いたいねぇ」
「シャナを、起こして下さい」
「ああ…雪洞様に会いたいなぁ
あえなければ私がアリエル様に叱られてしまう」
フランシスの伸ばした手がシャナに触れようとした時だった。
ユリシスの右手がゆっくりとあげられた。
そして-