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TEN-ROBO.-天才少女とロボット執事-  作者: ツキミキワミ
17/40

3-2

青い海に白い砂浜。

カシャリ、カシャリ、とシャッターを押す音と、誰に向けるでもなく「きゃはは」とはしゃぐ声がする。


その日は夏は海水浴を楽しむ人々で満杯になるはずの海辺が一面貸し切られ

大手企業の広告撮影会が行われていた。


ばしゃっと水しぶきの音とともに振り返る、太陽の様な笑顔の少女。

それを囲む人々からは時折感嘆の声がもれた。




ユリシス・セバスチャン(Ulisyss・Sebathchan)は電話を切ると、撮影を終え戻ってきた長身の少女にガウンをかけた。


「お疲れ様でございます。アリエル様。」


アリエル・アンダーザシー(Aliel・Under the sea)はテーブルに並べられた飲み物を手にとると、執事の差しだしたサングラスをかけた。





「ユリシス、彼から連絡は来ましたか?」


「はい、たった今セキュリティーキーを手に入れたとの報告がございました」


「そうですか。これで準備は整いましたわね」


アリエルはにっこりと微笑むと「あの方に感謝しなければなりませんわね」と言った。


「御言葉を返して申し訳ございませんが、アリエル様、突然現れあのように無礼講な態度の男性を信頼するのは、いささか危険であると思われます」


「まあ、セバスチャン。その様に人を疑ってはいけませんよ」



アリエルはユリシスの顔を覗き込んだ。


「申し訳ありません、アリエル様。

しかし、主人の危険遭遇率が1%でも残る限り安全対処に勤めるのが私の役目でございました。

しかし、アリエル様のおっしゃる『人の理』も新たに理解する必要があると感じます。応用能力が高まりますまで今少しお待ちください」


頭を下げるセバスチャンをサングラスに映しながらアリエルは答えた。


「良いのです、セバスチャン。こうして人は学んでいくのですから。

そしてもう一つ、あなたの辞書に付け加えておいてください。


『The ends justify the means.』


目的は手段を正当化する…私はこう解釈しています。

目的には手段を選ばない、利用できるものは有難く利用させて頂けばよいのだと」


アリエルが口角をあげたその時、中年の男が手を擦りながら女に近づいてきた。


「いやあ今日もお綺麗でございます、アリエル様。

この度はお忙しい中我が社のプロモーションにご協力頂きありがとうございました。今日のCMは3カ月後に…」


アリエルは立ち上がると「こちらこそ光栄ですわ」と男の手をとった。

はじけるような笑顔、白いガウンから覗く白い肌、胸元から覗く花柄の水着に男は鼻の下を伸ばしている。


男から夕飯の約束を誘いを受けながら、アリエルはスケジュールを確認する。


そしてユリシスの耳元で

「例の手筈を進めてください、今夜中に」

と囁いた。

セバスチャンの髪は赤です、もちろん。

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