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奴等がオタク部(上)

エリート達が集まる兜皇学園。

勉強だけではなく部活もエリートばかり。野球部、サッカー部、テニス部、運動部だけではなく吹奏楽部や合唱部、全ての部活が全国レベル。しかし兜皇にも一つだけ全国レベルではない部活がある。

それがアニメ、ゲーム研究部『通称 オタク部』この部はおちこぼれの集まり。しかし、そんなオタク部にも一つの噂がある。

『可能な限りどんな依頼でもこなす最強のオタク集団』

だが奴等にそんな事は出来ないと誰も信じない。誰も真相は知らない。

知っているのは……




「オイーッス! ねぇ、ねぇこの画像ヤバくない? 昨日、ネットで拾ったんだ~」


俺が仰向けになっており寝ていると勢いよくドアを開け女子が入ってきた。

うっせぇなこっちは寝てるんだっつーの。まだ眠いぜコンチクショウ。

今、勢いよくドアを開けて入ってきたのは神田リン。一応俺の彼女だ。腐女子の癖して俺と付き合ってる、理由を聞いているがまったく教えてくれない。容姿は整った童顔に短髪。そして抱き心地の良い小さい体にぺチャパイ。まあ、俺みたいな小さい女子が好きな奴にとっちゃパーフェクトな体形だが残念ながら一般人には受け入れがたいオタクだ。特技は瞬間記憶。一瞬でなんでもかんでも記憶してしまうが、忘れられないので嫌なことがあったりすると結構辛いらしい。テストなどの回答は覚えれるのは羨ましいけど、やっぱり辛いことの方が多いのだろう。


「うっせーな。デカイ声、出さなくても聞こえるっての」


俺は欠伸をしながら目つきが悪い顔で言った。目つきが悪いのはあれだ、寝起きだからしょうがない。

あ、一応俺の紹介もしておくか。俺は東條ケイ オタク部の部長をしている、勿論俺もオタクだ。

俺の大好物はギャグ漫画。シリアス、バトルも好きだけどギャグ漫画が一番好きだ。容姿は金髪に銀色のピアス。顔はオタクになる前ならカッコイイと言われていたが今は誰からも言われない、まあリンだけは言ってくれるが。特技は寝転ぶとすぐ寝れること。寝つきの悪いリンからは羨ましがられるがホント俺もどうしてか分からない。


「彼女にそんな言い方はないでしょーっ」


リンは口をぷーと膨らましながら言った。なんだよ可愛くねぇぞ、そして古いぞリンよ。


「はいはい、わるーござんした」


頭をかきながら渋々言う俺。それに「それで、よし」と親指を立ててニッコリと笑うリン。うんそっちのが10倍は可愛い。


「なーにイチャついてんの2人とも」


パソコンをしている天パで茶髪、ネックレスをしている一人の男子が笑い袋の様に大笑いをしながら言った。


「イチャついてなんかねーよブァカ。そんなことより、見つかったか?」


「ん~、あったよ探し物」


伸びをしながらシンはマウスを動かす。こいつは飯田シン。自称機械のプロ、明らかプロではないけど。こいつはオタクだけど結構モテる。多分機械をイジれることがプラスとなっているのだろう。

特技はハッキング、たま~に警察のパソコンに入ったりして遊んでいる。それでも見つからないのだから技術は相当凄いのだろう。機械まったく触れん俺にはまったく分からんけどな!



「ってかさリンちゃん腐女子なのに良く付き合えるね~三次元の男と」


「けーちゃんは特別なのっ! 他の野郎共なんかに興味ないよっ。……でしょ?」


眼鏡をかけ三つ編みでクールな女の子が微笑む。


「おおっ! さすが、ちーちゃん。モノマネうまーい」


この女は千原スズ、オタク部の副部長だ。見た目はクールでたまに子供を泣かしちゃうことがあるが本当は素直で優しいやつだ。部のムードメーカーでもある。いつもエロ本読んでニヤニヤしてるけど……

リンとも仲良くしている……

「他にもなんかや「うっさい。黙れクズ天パ野郎」シンのことは嫌いみたいだけど。俺は苦笑いしながら落ち込むシンを見ていた。スズの特技はモノマネだ。こいつのモノマネは本当に凄い、シティー○ンターの様に『七色の声を持つ女』の異名をゲットする日も遠くないだろう。


これがオタク部のメンバーだ。実はもう一人いるんだけど…幽霊部員なんだよな。


「さすが、シン。んじゃ注文しといてくれ」


「りょ~かい」


俺達はパソの画面を見ながら話をしていた、やっとこれで手に入る。ったくなんで何処の本屋も置いてねぇんだよ、何やってんの集○社! あんだけ面白い漫画なのにあんなに発行部数が少ないとは…信じられん。


「けーちゃん、何頼んだの?」


「ん? ああ、漫画だよ漫画。欲しいのが中々見つからなくてさ」


「そなんだっ! 今度僕にも見せてね~っ」


リンは手をぶんぶんと回している。これはリンが喜んでいる時の感情の表れだ。犬が尻尾振るみたいなもんだな。なんでこいつが喜んでるかって言うとリンは俺と気が合う、だから俺が好きな漫画は大抵こいつも好きなのだ。


「うい」


「やったね!」

ハシャぎ回るリンに…


「部室狭いんだから暴れないでよ」


とスズからきつ~い一言。

そういうスズはエロ本を静かに読んでいる。うひょっ、なんか不気味だぜスズちゃんよぉ。


ー2時間後ー


「うしっ! 帰るか」


俺が本を鞄にバカンっとラップ調で鞄に入れながら言うと。


「「「了解~」」」と、やっと終わったか。みたいな顔をして立った。あんた達何もしてないでしょうが、ダラダラしてただけでしょうが。何でそうんなに疲れた顔してんだよ。


「んじゃ、今日の部活終了! 解散」


「おつかれ~」


リンは微笑みながら言ってダッシュでドアを開けて外に向った。


「おいっ、ちょい待てよっ!」


俺はリンを追いかけて行った…。

俺たちは一応恋人だから一緒に登下校している、だけど何故か下校の時にリンは走るので自動的に俺も走ることになる。ああ、面倒くせぇ! これのおかげで体力ついてきたけどさ…家に帰ると息切れがハンパないぜ。


「相変わらず仲良いね~、あの二人。僕達も一緒にか「黙れ。誰がお前なんかと一緒に帰るか。気持ち悪い」


「あそこまで言われるとショックだな…」



   





「…暇じゃ!」


何この暇さ加減。誰かが何かしらをしてるとしか思えねぇよ……持ってる漫画も全部読んでしまったし、頼んでる本も届かねぇし…アマ○ンなんて大嫌いじゃ! はぁ……リンと遊び行こうかな、どっかに。シンにすっげぇ文句言われそうだけど「俺らを二人にすんな」って言われそうだけど。はぁ……面白いことないのかねぇ。こう、なんかこう面白いことが。

と、考えているとそーっと部室のドアが開いた。

ドアの向こうにはちょこんとドアノブを持ち少し脅えた感じの女子生徒が居た。見るからに大人しそうな子だ。


「あのぉ、噂を聞いて来てみたんですけど…」


だが俺には関係ない。今の俺はイラついてんだよ暇すぎて死にそうなんだよコンチクショウ。


「あ? 誰だよってか何だよ噂って。あれか『可能な限りどんな依頼でもこなす最強の オタク集団』ってやつか。あんなのデマ、デマ。さっさと帰んな」


俺がイラついた顔で言っているとシンが「まあまあ、入んな」と言ってドアを開け女子生徒を招きいれた。……この女たらしがヘラヘラしてんじゃねぇーっつーの。

あぁ、イライラすんなぁ…後であいつの家行こう。そいでイライラ解消みたいなことさして貰おう。さっき入ってきた女子生徒はと言うと、泣きそうな顔をしている。俺がキツいことを言ったからではないドアを開けた時から泣きそうな顔をしていた。

何でだろうねぇ…誰にも頼れないから一か八かでここに来たって感じだな。ここに来るやつは大抵そうだからもう見抜ける様になっちまったぜ。…まあ、それはどうでも良いとして俺の予想が当たっているとすると…うひょひょひょ、良い暇つぶしになりそうだぜ。


「退け」


俺は女子生徒の前に座っているシンを退かしそこに座った。


「話くらいなら聞いてやんよ」


女子生徒は「え、でもさっき嘘って…」と蚊の鳴くような声で喋った。


「あ? ああ、『可能な限り』ってのが嘘なんだよ。ま、面白れぇ依頼しか受けないけどな。あと名前と学年、組を教えろ」


俺がそう言うと女子生徒は少し戸惑いながらも少し安心したのか明るい顔をして話ていった。名前は黒岩香奈枝、三年二組らしい。悩みはと言うと受験のストレス発散でで万引きをしてしまい、それを偶然ある人に見つかり脅され良いようにされている、という事らしい。良いようってのはちと言いにくいことだ。……自分でも思うけど簡潔にしすぎちまったな。俺はシーンとしている空気の中で少し笑ってしまった。すると四人がギロっと獲物を狙う獣の様な目をし睨んだ。おー、こえ。睨んじゃいやよ。ま、万引きしたコイツも悪いけど……面白そうだから引き受けてやるか。最近、暇してたし少しくらいは暇つぶしになるだろう。それに反省してるみたいだしな、うん。


「はいー、じゃあ今日は解散。俺あれだから色々と準備あるから適当にメールするわ」


適当にそう言うと俺はスタスタと廊下に出て行った。うし、あいつの家行くか。作戦立てないといけないしなぁ~。

リン置いてきちまったけど、まあ、アイツなら大丈夫だろう。さあ、楽しい楽しい暇つぶしの幕開けだぜ!

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