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あなたと永遠の時を  作者: 九条 樹
第二章 大学時代
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第52話 歓迎コンパ1/人物紹介

「第二次ベビーブームということで、大変な倍率にもかかわらず見事我が大学に入学し、あまつさえ我がサークルにその大学生活の第一歩を踏みいれた不幸な三人組が、さらに迷える子羊とならんことを祈りつつ乾杯!」

 乾杯の掛け声とともに一斉に皆がグラスを合わせお酒やジュースなどを飲む。

「部長、今の挨拶最後の方わけわかりません」

「何?何がわからない?おかしかったか?」

「普通におかしかったです」

 乾杯のあいさつをしてくれたのが、3年生の『牧野芳郎』先輩。部長ということらしい。

 その部長に突っ込みを入れているのが、2年生の『下田新之助』先輩。

 

 今日は私達三人が入部した天文同好会の新入生歓迎コンパということで、大学近くの居酒屋で集まっている。

 この居酒屋、店名は『暁明館ぎょうめいかん』と言って、居酒屋というよりは焼肉屋のような名前になっている。

 ここは学校に近いこともあり、学生のコンパだけではなく、サークルのミーティングなどにも使われたりと、学生の溜まり場となっているらしい。

 2階建ての居酒屋は、入口から通路が真っすぐ伸び、一番奥が2階へと上がる階段になっている。

 1階は通路を挟んで右側がカウンター15席ほどで、その奥に4~6人掛けのテーブルが2つ置いてある桟敷さじきになっている。左側は4人掛けのテーブルが5つある。

 2階は階段を上がると左側が通路になっていて右側に個室になっている座敷が5つほどある。個室はどれもそれなりに大きいようで、私達が通されたのは奥から2番目の部屋で、6人掛けを2つ繋げたテーブルがゆったりと中央に置かれている。

 今日は他のサークルも歓迎会をやってるようで、まだ5時になったばかりなのに暁明館ぎょうめいかんはとても賑わっている。

 

「それでは新入生に1人ずつ自己紹介を兼ねて挨拶をしてもらおうか」

 そう言って大輔くんを見たのは副部長の『坂上悠一』先輩。

 私達三人は各自名前を言い、そのうえで三人が同級生で一緒にこの大学を受け、三人一緒にこのサークルに入部した。と言うようなことを話した。

 どうやら新入部員は私達三人だけのようだ。

「あなたたちがくるまで、女性は私一人だったから一気に二人も増えて嬉しいわ」

 去年まで紅一点だったらしい女性は、二年生で会計を担当している『相沢博美』先輩だ。

「お前は女として認められてないから心配するな」

 下田先輩がまたちゃちゃを入れる。どうやら盛り上げ役というかなんにでも口出しするタイプのようだ。

「なに!」

 そう言って下田先輩の右腕を思いっきり叩いた。

「いてぇ!なにするんだよ」

「ごめんなさい、男っぽいからつい手が出ちゃったわ」

 部長も副部長も大笑いしている、私達もつられて笑ってしまう。

 でもさっきのは本当に痛そうだった。

「おい、宮川。お前さっきから一言もしゃべってないじゃないか。せっかくこんな可愛い子が二人も入ってきたんだから何か言えよ」

「そ、そんなこと言われても…… 宮川道雄です。よろしく」

 私達三人は声を揃えて「よろしくお願いします」と言った。

「お前は堅い!というかもうちょっと他に言う事はないのか?」

 どうやら宮川先輩は大人しく比較的無口なタイプのようだ。

「ゆきちゃん、このサークルに決めてよかったね。とっても楽しい」

「そうだね、部長も面白いし、下田先輩もいい味だしてるね」

 堅苦しくない感じで、和気あいあいとしていてとっても雰囲気のいいサークルだ。

「でもサークルのメンバーってこれだけなのかしら?」

 ゆきちゃんに対して小声で言ったつもりだったのに、部長にしっかりと聞かれていたようだ。

「咲原くん、確かに人数は君たちを入れて9人と少ない。サークル名も『同好会』となっている。だが学校にちゃんと届け出て認められた公認団体だ。だから君たち子羊は何も心配しなくてもいい。ミーティングと観測会を中心に活動しています」

 一瞬人数が少ないと言った事を怒られるのかと思ったけど、どうやらそんなつもりはないみたいでよかった。

「部長、最後の方また意味がわかりません。それに部員は彼女たちを入れて8人ですよ」

「なに?9人じゃないのか?」

「西尾先輩は先月辞めましたよ?」

「それは本当か?全然知らなかった…… 部長の私に一言も言わずに辞めてしまうとは」

「きっと言ったと思います。部長が聞いてなかっただけでは?」

「なに!?しかしこれは大変な事になったぞ」

 西尾先輩の存在は大きかったんだろうか?部長がずいぶん慌てている。

「3年生2人、2年生3人、3年生3人…… 負けた」

 意味が分からず思わず質問してしまう。

「部長、何が負けたんですか?」

「何って…… 咲原君、2:3:3だよ?いざとなったら負けてしまうじゃないか!」

 言ってる意味がよくわからない……

「多数決でも負けてしまうし」

 もし3年生が3人いたとしても3:3:3だとどっちにしても多数決ではかてないのでは?

 あくまでも同学年同士が同じ投票するとしてだけど……

 それに『いざ』ってどんな時だろう?そんな『いざ』となるようなことがあるのかしら?

「部長、あんまりわけのわからないことを言わないでください。新入生が混乱してます」

 相沢先輩が間に入ってくれた。

「相沢君、私はさっきから変な事を言ってるか?」 

「言ってます」

 無口な宮川先輩以外全員口がハモる。

「ほらな、咲原君。わかったかい?このようにいざって時に人数で負けてしまう」

 今のが部長の言う『いざ』って時だったのね。

「部長、今のは部長対部長以外全員なんで3年生の数は関係ありませんよ」

 相沢先輩がすました顔で冷静な突っ込みを入れる。

「なに?俺の味方は俺だけか?」

「部長、暴走しすぎです」

「どうやら料理が来たようだ。芳郎はほっといて皆食べよう」

 副部長である坂上先輩の一言で、一気に運ばれてきた料理を私とゆきちゃんが仲居さんから受け取ってテーブルに並べる。

「おい、芳郎!お前またなんでこんなもんばっかり頼んでるんだ」

「何かおかしいか?」

「じゃがバター、じゃがいも団子、フライドポテトにポテトサラダ…… 芋ばっかりじゃないか」

「心配するな。大学生としての本分も忘れていない。ちゃんと大学芋も注文してある」

「そんなわけのわからない心配なんてしてません」

 相沢先輩の突っ込みはタイミングが良くて笑える。

「まぁ他の料理もちゃんと来てるし、とりあえず皆食べよう」呆れ顔で副部長が言う。


「桜、楽しそうだね」

「うん。楽しい。大輔くんも楽しい?」

「あぁ、皆いい人っぽくてすぐに馴染めそうだ」

「ゆきちゃんもさっきから大笑いしてるし、楽しんでるみたいね」

「部長が面白すぎる」

 ゆきちゃんの笑顔が見れて本当に良かった。

「二人とも楽しんでくれて良かった。私が選んだサークルだから変なところだったら私の責任だもんね」

「桜、それを言うなら楽しいけど、十分変なところだ。違った部長が変なだけか?」

 三人とも自然に笑いがこみあげてくる。

 その後も先輩たちのやり取りに、圧倒されながらも楽しい時間を過ごさせてもらった。


「部長、そろそろ2次会!カラオケに行きましょう」

「そうだな、料理もあらかた食べたし、腹ごなしにカラオケでもいくとするか」 

一度に数人新しい人物が登場してますので簡単に紹介したいと思います。


天文同好会メンバー


牧野芳郎 3年生 部長


坂上悠一 3年生 副部長


相沢博美 2年生 会計


下田新之助 2年生


宮川道雄 2年生 


そして紹介するまでもないでしょうが、新入部員として。


咲原桜花 1年生


真下優希 1年生


鮎川大輔 1年生

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