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あなたと永遠の時を  作者: 九条 樹
第一章 高校時代
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第47話 【クリスマス】終業式の日

12月22日、今日は終業式だ。


 俺の通う学校には試験休みというものがなく、2学期末の試験が終わった後もずっと授業がある。

 午前中だけだが他の学校は試験休みだと思うと腹が立つ。

 本来なら桜花ちゃんと会えるからよしとするところだけど、最近は教室でも大輔と一緒にいることが多いので見ているのがつらい。

 こんな状況なら学校を休んで家でのんびりしている方がまだマシだ。

 もうすぐ9時になる。

 9時になると体育館に全校生徒が集まって校長のありがたいお話しを聞かなくてはならない。

 他の学校も終業式の度に校長の訓辞を聞かされるのだろうか?

 わざわざ体育館に皆集める必要なんてないと思うけど。

 こんな面倒な事をするのはうちの学校だけじゃないか?

 そんな事を考えていると優希と話していた桜花ちゃんが近寄ってきた。


「葵くん明後日のパーティーだけど、大輔くんの家に4時に集合ってことになったけどそれでいい?」

 何か良い話しでもあるのかと思ったらパーティーの連絡か。

「うん、いいよ。結局何人集まるの?」

「6人だよ」

「6人?5人は分かるけどあと一人は誰?」

「あと一人は申し訳ないんだけど私の妹が来るの」

「桜花ちゃんの妹?」

「うん、どうしても行きたいってきかなくて。愛花っていうんだけど、ゆきちゃんのことをすごく慕ってるし、大輔くんのことも知ってるから」

「そうなんだ。桜花ちゃんの妹なら大歓迎だよ」

 へぇ、桜花ちゃんの妹か。見てみたいな。

「ありがとう。じゃ4時に大輔君の家に来てね」

「うん」


 とは言うものの、せっかく桜花ちゃんに誘ってもらったパーティーだけどあんまり楽しみじゃない。

 桜花ちゃんを見ると、今は大輔と二人で楽しそうに話している。

 だんだんと行きたくなくなってきた。

 優希の方を見るとあいつも一人ぽつんと座っている。

 俺は優希に近寄って行き、少しトーンを抑えて声をかける。

「優希、明後日のパーティー行くんだろ?」

「は?」

「は?ってお前。もうちょっと女らしいリアクションは出来ないのか?」

「なにが?私はものすごく女らしいじゃないか!男に見えるのか?」

 いきなり思いっきり不機嫌じゃないか…… 声かけたのは失敗か……

「男には見えないけど、全然女らしくない!お前が女らしい話し方をするのは桜花ちゃんに対してだけだな」

「彰弘に対して女らしくする必要がどこにあるんだ?」

 マジで相当機嫌が悪いらしい。

 大輔のことを聞こうと思ったけど、今は近寄らない方が身の為かもしれない。

 そのまま立ち去ろうとした時、優希から声をかけられた。

「それでなんだよ?何か話があったんじゃないの?」

 このまま無視して立ち去るのも逆に危険かと判断し、話すことにする。

「優希もパーティーに行くだろ?」

「ああ」

 返事がぶっきらぼうだ。

「楽しみか?」

 優希がジロっと俺の顔を睨みつけるように見る。

 その目つきに一瞬たじろいでしまう。

「俺は二人が仲良くするのを見に行くようなものだと思うと、行くのが億劫になってきたんだ」

「だから?」

 優希の目が怖い。

 しかし男としてこのまま引き下がれない。

「だから、お前も行くの嫌なんじゃないかな?って思って」

「どうして私が嫌なのよ?」

「だって大輔と桜花ちゃんが仲よさそうにしてるといつも不機嫌だから」

「は?二人が仲良くしていつ私が不機嫌になってるのよ?」

 『今!』と言いたいが優希の恐ろしい形相を見たらとても言えない。

 これ以上怒らせると俺の命が危ない。

 俺が二人の話を振ったせいで、怒りが増してきてるみたいだ。

 「そうか、嫌じゃなければそれで良いんだ。俺の勘違いだったみたいだな」

 これ以上はマジで危険だ。席に戻ろう。

 「待って!」

 「え?」

 なんだよ、もうカンベンしてくれ。俺が悪かった。だから席に戻らせてくれ。

 「勘違いって何?何を勘違いしっていうの?」

 妙に絡んでくるな。俺に八つ当たりをされたんじゃたまったもんじゃない。

 そのまま聞こえない振りをして逃げるように自分の席に戻る。

 後ろを振り向かずに背中に意識を集中したが、それ以上優希が話しかけてくることも追っくる様子もなくほっとする。

 危なかった。あれ以上一緒に居たら絶対ヤバイことになってたな。

 ましてや大輔が、なんて言ったら殴られるだけではすまなかったかもしれない。

 今のでよく分かった。優希は絶対に怒らせちゃダメだな。


 しかし、優希も見た目は可愛いし、勉強もスポーツも出来るんだから普通にしてればモテるだろうに……

 男に対して威圧感ありすぎなんだよ。



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