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あなたと永遠の時を  作者: 九条 樹
第一章 高校時代
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第46話 【クリスマス】誘い

「ゆきちゃん、24日のイヴなんだけどクリスマスパーティーしない?」

「そっか、もうクリスマスだね。いいよ。二人でするの?」

「それなんだけど、大輔くんの家でやろうと思って」

 ここから見ていても優希の顔が曇るのが分かった。桜花ちゃんは気づいていないようだけど。

「大輔の家で?」

 すごく嫌そうな言い方だけど、桜花ちゃんはどう感じているんだろう?

「うん、パーティーだから大勢でやった方がいいでしょ?」

「そうだね。いいよ」

 二人が付き合うようになってから2ヶ月程、桜花ちゃんは大輔の事を鮎川君から大輔君と呼ぶようになった。

 桜花ちゃんが大輔君と呼ぶ声が聞こえるたびに不快感を覚える。

 きっと優希も同じ気持ちのはずだ。

 文化祭の時、優希は大輔のことをなんとも思ってないって言っていたけどあれは絶対に嘘だ。

 二人が仲良くしているのを見るたびに不機嫌になっているのがよく分かる。

 大輔も桜花ちゃんも全く気づいてないようだけど。

 今も大輔の家で、と聞かされた途端明らかに不機嫌そうな顔をしている。

 それでも優希は行くみたいだな。

 俺も誘ってもらえるんだろうか?

 あの病室での発言以来大輔とはなんとなく気まずい。

 桜花ちゃんの俺に対する態度は以前とそれほど変わらないけど、でもそれなりに意識はしているはずだ。

 俺の方からも以前のように、気軽に話しかけたりはしなくなってしまっていたし。

 そんな事を考えながら桜花ちゃんの方を見ていると目が合う。

 桜花ちゃんがこっちに向かって歩いてきた。

「葵くん、24日に大輔くんの家でクリスマスパーティーをするんだけど参加してくれる?」

 俺の気持ちを知っていながら大輔の家でのパーティーに誘うなんて酷い。という思いから断ってやりたい気持ちもある。

 だけどそれ以上に、大好きな桜花ちゃんが誘ってくれたという喜びもある。

 俺を誘ったからといって俺に対して恋愛対象としての好意があるわけじゃないのはよくわかってはいるけど…… 一瞬の葛藤の末

「もちろん俺も参加させてもらうよ」

 自分でも情けない返事だと思うけど、大好きな桜花ちゃんの誘いを断るなんてできない。

 桜花ちゃんは皆と仲良くしたいだけで、誰かに対して嫌味な気持ちなんてこれっぽっちも持っていない。

 それは今までずっと見てきて分かってる。だからこそ断れない。

 俺が断ったら悲しむだろうから。

 自惚れなんかじゃなく、桜花ちゃんっていうのはそういう子なんだ。

 だからこそ今でも大好きなんだ。

「ありがとう。じゃ詳しくはまた連絡するね」

「うん。こっちこそ誘ってくれてありがとう」

 桜花ちゃんが満面の笑みを浮かべながら頷く。

 やっぱり誘いを受けてよかった。

 そして桜花ちゃんはそのまま委員長を誘いに行った。

 委員長も来るみたいだ。

 確かに人数は多い方がいい。


 ふと優希を見ると寂しそうに窓の外を眺めている。

 きっと優希も俺と同じような気持ちなんだろうな。

 いや、桜花ちゃんと親友という立場上俺なんかより辛いかもしれないな。

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