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あなたと永遠の時を  作者: 九条 樹
第一章 高校時代
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第17話 【文化祭】ばか!

 教室についてあたりを見回す。

 時間が早いせいか教室には生徒がまばらで半数以上はまだ登校してきていない。

 彰弘も大輔もまだ来ていないようだ。

 桜も捜すが桜の姿も見えない、私より先に家を出ているのだからもう学校に着いているはずなのに…… どこかで寄り道でもしているのだろうか?

 そんなことを考えながら誰か来るのを待っていると彰弘と大輔が一緒に教室に入ってきた。

 私は桜のことが気になるのですぐさま彰弘に話しかける。

「昨日桜の家に行ったんでしょ?何を話したの?」

「特に何も話してないよ、ただ嘘をついたことを謝りに行っただけだよ」

 彰弘は平静を装いながら話しているが、私の質問に対して彰弘が一瞬目を見開いたのを見逃さなかった。

「それだけ?他に何か話したんでしょ?何か隠してるでしょ」

「何も隠してないよ」

 彰弘は私と目を合わさないように顔を俯けて話す。その態度がますます怪しい。

「どうして私と目を合わさないの?なにかやましい事があるんじゃないの?まさかまた何か変な嘘をついたんじゃないでしょうね?」

「う、嘘なんてついてないよ、ただ……」

「ただ、何?何を言ったの?」

「優希が大輔を好きだと言う話だけは間違っていないかもしれない。と言った」

「え?」

 ドキッとして思わず大輔の顔を見てしまう。

「だから、これは俺の勘だけど優希の気持ちだけは当たっていると思うって言ったんだ。でも優希から聞いたわけじゃないから、あくまでも俺の勘だけど、と言ったから嘘は言ってない」

 激しい怒りがこみ上げると同時にみるみるうちに血が頭にのぼる。血液の激しい移動で目眩と共に目の前が霧に覆われるように白く煙ってくる。

「ばかー!」

 噴出すように怒りの言葉が出た。自分でもびっくりするくらいの大声だ。その大声に委員長や教室に居た皆が一斉に私の方を見る。ざわついた教室が静まりかえる。

「私がいつ大輔を好きだと言ったの?そんなこと一言も言ってないでしょ!」

 皆驚いたような顔をして私の話しを聞いているが私はかまわず怒鳴り散らす。殴りかかりたい衝動に駆られるもそれだけはかろうじて我慢する。

「だから俺の勘だって言ったんだよ」

 またわけのわからないことを言う。

「彰弘の勘は外れてるのよ!その外れた勘を桜にはいかにも当たっているかのように言ったんでしょ」

「ごめん、そんなつもりじゃ……」

「じゃどんなつもり?だいたい謝ってすむ問題?」

 話せば話すほど激しい怒りにとらわれ我を忘れて怒鳴り声をあげる。

 その激しい怒声に教室いる皆は誰一人として言葉を発せないで静まりかえったままだ。

「ごめん、本当にそんなつもりじゃなかったんだ。大輔の気持ちを桜花ちゃんに伝えたら凄く嬉しそうに浮かれて…… それがちょっと悔しかったから思わず……」

「それじゃやっぱり悪気があるんじゃないの!それに大輔の事も言ったの?」

 彰弘はしまったというような顔をして逃げ出そうとする。

「まって!まだ話は終ってないわよ!」

「ごめん、でも俺、今回はただ桜花ちゃんに謝りたかっただけなんだ」

 そう言って走り去って行った。追いかけようとしたがあまりにも衝撃的な出来事に全身から力が抜けて体がうまく動かない。

 私はへたり込むようにその場にある椅子に座った。

「真下、大丈夫か?」

 大輔が心配して話しかけてくれるが返事をする元気もない。

 それにしても彰弘はどうしてあんなに馬鹿なんだ?彰弘の馬鹿さ加減に眩暈がしてきた。

 謝りたかったのなら普通に謝ればいいのに、ペラペラとあることないこと何でもかんでも話してしまって。

 桜のことが好きなくせにどうして桜を悲しませるような事を平気で言えるのだろう?

 根本的に馬鹿だから仕方ないのだろうがそれでは済まされない。

 せっかく桜と元通り仲良く話ができると思っていたのに、あの馬鹿のお陰で桜がまた傷ついてしまったんだから……

 もうすぐ始業のHRが始まる時間になろうとしているのにまだ桜の姿が見えないのも気になる。

 もしかするといつも通り家を出たけど学校は休むつもりなのだろうか。

 そして彰弘はどこに逃げたんだろう?戻ってくる気配がない、このまま早退するのだろうか。

 色々考えているうちに先生が来た。

 先生が来た事によって静まり返っていた教室内はいつもの時間を取り戻す。

 私ものろのろと力なく自分の席に戻る。

 この続きは休み時間だ、それまでに考えをまとめておこう。




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