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あなたと永遠の時を  作者: 九条 樹
第一章 高校時代
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第13話 【文化祭】嘘?

 私が買い物から帰ってくると愛花が待ってましたとばかりに話しかけてくる。

「お姉ちゃんお帰り」

 なにかあったのだろうか?慌ててるようだ。

「さっき優希先輩が来たよ」

「え?ゆきちゃんが?」

 学校を休んだからゆきちゃんが心配して来てくれたんだ。

 それは素直に嬉しい。でも今はまだ会う勇気が無い。

「なんかね、彰弘さんって言ったかな?その人が嘘をついてたんだって、だからお姉ちゃんは何も気にしなくていいんだって」

「嘘?葵くんが嘘をついてたって?」

「葵くんじゃないよ、彰弘さん」

 愛花は葵くんと彰弘さんが同一人物とは分からないから変な回答が返ってくる。

「葵彰弘なの!」

「あっ、そっか、お姉ちゃん何かあったの?大丈夫?」

 私がいつもと様子が違うので心配してくれているのだろう。

 いつもは生意気な妹だけどこんな言葉を聞くとすごく可愛く思う。

 でもそれより葵くんが嘘をついたってどういうこと?

「それで?他に何か言ってた?」

「優希先輩が明日もう一度来て詳しく話すって言ったんだけど、明日はおばあちゃん家に行くから誰もいないって言った」

「どうして?」

「どうしてって、お姉ちゃんもおばあちゃん家に行くでしょ?」

「う、うん」

「お姉ちゃん何を焦ってるの?そんなに気になるんなら電話でもしたら?」

「そ、そうね」

 そう力なく答えて自分の部屋に入る。

 すごく気になるけど電話をする勇気なんてない。

 でも葵くんの嘘ってなんだろ?昨日のあの話が全部嘘ってこと?

 ゆきちゃんと鮎川くんがお互いに好きだって話が嘘だったってこと?

 葵くんがそんな嘘をつく?友達を傷付けるようなことを言うのかな?

 それにゆきちゃんの全てを話すってどういうことなんだろ?

 今すぐ電話して聞きたいけど、聞くのが怖い。


 結局何もしないまま土曜日の朝を迎える。


 土曜日から一泊しておばあちゃんの家で過ごし、日曜は夕食を済ませてから帰ってきた。

 おばあちゃんの家でずっとみんなのことを考えていた。今もまだ考えている、でも私なりに1つの結論に達した。

 葵くんが私に言った話。やっぱりあれが全て嘘だとは思えない。

 だってあんな嘘をついてもすぐに嘘だと分かるし、皆を傷つけるだけだもん。

 それならゆきちゃんが気遣って、あれは嘘だから気にしなくていいよ、って言ってくれてるという風に考えた方が自然な感じがする。

 ゆきちゃんはいつも私のことを一番に気遣ってくれてるからきっとそうに違いない。

 でももしゆきちゃんが本当に鮎川くんのことが好きならその気持ちを偽らないで欲しい、私の気持ちがどうであれ自分の気持ちに正直にいて欲しい。

 鮎川くんがゆきちゃんのことを好きならなおさら私のことなんて気にしないで欲しい。

 私の考えが合っているのかどうか分からないけど、今はそんな気持ちだ。

 明日ゆきちゃんが全て話してくれるって言っているのだからその時に全てが分かると思う。

 葵くんの話が嘘と言うのが本当なのかどうかも含めて全て聞こう。

 明日こそはゆきちゃんと会おう。そしてこの問題を早く解決しよう。もう迷いはない。


 その時、玄関からチャイムの音が聞こえる。誰か来たようだ。

 時計を見ると9時を少し過ぎてる。こんな時間に誰だろう?




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