表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたと永遠の時を  作者: 九条 樹
第一章 高校時代
10/68

第10話 【文化祭】彰弘の嘘

始業のHRが始まる前に大輔に話しかける。

「大輔、昨日彰弘つかまった?」

「いや、探したけど見つからなかった。咲原はどうだった?」

「昨日桜の家に行ったけど会えなかった。妹の話しではなんだか凄く落ち込んでるみたい」

「そうか。そういえば今日は咲原と一緒に来なかったのか?」

「今朝もいつもどおり桜の家によったんだけど、妹が出てきて今日は体調が悪いから学校を休むって言ってた」

「なるほど、学校を休むくらいだから何かあったに違いないな」

「私もすごく心配。桜は家にいるみたいだけど会ってくれないから事情が聞けないの、あとは彰弘に聞くしかないね」

 そう言って私は教室内を見回し章弘を捜す。

「彰弘もまだ来てないみたいだね、もしかして休みかな?」

「彰弘まで休んだら咲原の事が全くわからないな」

 そうこうしているうちに先生がやってきた。

 HRが始まる。私達は話を打ち切って席に着く。


 放課後・・・

 結局彰弘も来なかったので委員長に許しをもらい、買い物係を免除してもらい大輔と一緒に彰弘の家に行くことにした。

 委員長もただならぬ雰囲気を感じたのかあっさりと許してくれた。代わりは委員長自らがしてくれるそうだ。

 早速自転車で彰弘の家まで行く。

 大輔がチャイムを鳴らす。しばらくして彰弘が出てきた。

 彰弘は大輔だけだが来たのだと思っていたらしく私の顔を見てビックリしていた。

 私は大輔を押しのけて桜のことを聞く。

「彰弘、昨日桜と何があったの?」

 彰弘が険しい顔をしながら何か言おうとするが言い切れないように口をつぐむ、すると大輔が、

「どうしたんだ?咲原と何かあったんだろ?はっきり言えよ」

 いつもは人に物を言うときは気を使うタイプの大輔がキツイ言い方をしたので少しびっくりした。そして続いて私も口をはさむ。

「桜が今日学校を休んだんだよ。桜が学校を休むなんてよぽどのことがあったに違いない。彰弘なら何があったか知ってるでしょ?」

 彰弘はうつむいたまま今にも泣きだしそうな顔をしている

「どうしたんだよ、黙ってたら分からないだろう」

 また大輔が彰弘を問い詰める。やっぱり桜の事が心配なんだろうな…やや感傷的になってしまうが今はそんなことより彰弘から事情を聞くのが先決だ。

「彰弘、何とか言えよ」

 彰弘が意を決したように何か言おうとしてる

「二人とも、ごめん」

「何がごめんだ?」

 ほぼ同時に私と大輔が問う。しかしそれだけ言うとまた口をつぐんだ。

「桜に何かしたの?桜が私に何も相談してくれないなんて今までになかったことよ。何があったの?もしかして何か酷いことをしたの?」

 彰弘が慌てたように

「何もしてない、何かをしたんじゃない、少し話をしただけ・・・」

 語尾が消え入りそうで最後は何を言っているのか聞き取れないほどだ。

「咲原と何を話たんだ?」

「ごめん、俺、嘘を言ってしまって・・・」

「何を言ったんだ?はっきり言えよ」

 珍しく大輔が感情をあらわに彰弘に詰め寄る。それに圧倒され、萎縮してしまって余計に話せないようだ。私は少し大輔を落ち着かせて改めて彰弘に聞きなおす

「要するに昨日私達が居ない間に桜と何か話しをしたんだね?そしてその時桜が傷つくような嘘をついたってことだね?」

 意識的に優しく、そしてゆっくり話しかけると彰弘は頷いた。

「何を話たの?どんな嘘を?怒らないから言ってみて、桜が心配だから」

 あくまでも優しく問いかける、そうするとやっと重い口をひらきだした。

「昨日お前達が居なくなったのを見計らって桜花ちゃんを連れ出して二人で話しをしたんだ」

「うん。それで何を話したの?」

「大輔と優希が好き同士だって言った。だから大輔は諦めて俺と付き合って欲しいって言った」

 全身の血液が温度を増しながら一気に頭に向かって流れるのがはっきりと感じられる。

「バ カー!!!」

 私は思わず怒鳴っていた。怒らないと約束していたけど、そんなことは一瞬で頭から吹っ飛んでいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ