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推しが増えるたび癖(ヘキ)拗らせ沼から抜け出せナイOLですが何か!?〜尊いがとまりますん♡〜  作者: 抹茶ラテ


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3/4

まじワタシモッテルワ♡

「は! フリーズしてる場合じゃない!!!」


光のエフェクトと共に消え去った尊いの残像を振り払い、私は床を蹴った。(キリッ)


現在の時刻、7時47分。

根本会計事務所の始業まで、あと1時間ちょっと。月島から銀座、普通なら電車だけど、今の私には駅まで歩く10分すらもう無理!


「洗顔は秒! スキンケア!? これも秒よ!?」


バチバチバチィィッ! とビンタ並みの速度で顔面に浸着させ、クローゼットからいつもの白シャツとタイトスカートをひったくる。

ストッキングを履く指先が焦りで震え、危うく伝線しかけるのをギリ回避。


「髪は……もうお団子で一まとめ! 7秒! よし、財布とスマホとポーチ、突っ込んだ! うーおーーーー!!!」


ガチャ、バタン、ロック!

鍵を閉めると同時にスマホアプリでタクシーを召喚。奇跡的に1分で捕まった。神さまグッジョブ!ワタシもってるわー!やるなーワタシ♡

後部座席に滑り込み、息も絶え絶えに告げる。


「ぎ、銀座SIXまで……! 遅刻しそうでなるべく早めで……っ!おねがいします!」

「お任せください、お姉さん。この時間混むので裏道抜けます!」


運転手さんの頼もしい返事を聞きながら、私は即座にシートベルトを装着、そしてポーチを開帳した。

ここからがタク内でのメイク。


「ふう♡なんとか間に合いそう♡」


アイラインを一筆書きで仕留める。

信号待ち。

リップを正確に唇へ滑らせ、ファンデーションのパフを顔面に18連打!

バックミラー越しに運転手さんがチラ見!?

知ったことか! 1秒たりとも無駄にできない。


「着きました! 1880円です」

「助かったわありがとう!」


千円札2枚をわたし、お釣りを受け取りSIX脇のビルへと飛び込む。エレベーターのボタンを親指が折れるほどの勢いで連打し、オフィスのドアを開けた。


【午前 8時52分】


「お、おはようございます……っ!」

「あら、レイちゃん。おはよう」


デスクで優雅にいつものハーブティーを飲んでいた同僚OLのミカさんが、目を丸くして私を見た。


「ギリギリの出勤なんて珍しいわね? いつもは35分前には席について、誰より早く空気清浄機回してるのに。もしかして、朝帰りの朝寝坊とか〜?」

「あはは、まさか! ちょっと夜中にぜん…サキュ…いやそのあまり眠れず寝坊ぎみかったのかな!? あはは……」

「ぜ!?!? ん!? サキュ!? 大丈夫!?」


クスクス笑うミカさんを前に、私は引きつった笑顔で冷や汗を流す。

危ない、脳内がまだパニック中で、口から「全裸」とか「サキュバス」とか直球のヘキが漏れ出るところだった……!


その時、背後からコツコツと冷徹なヒールの音が響く。

元弁護士のドS女王様、神谷社長だ。冷徹な美眸が私を射抜く。


「伊東さん。ギリギリの出勤は感心しないけれど……遅刻ではないわね。さあ、今期の大手クライアントの資料、午前中に仕上げてちょうだい」

「は、はいっ!!!!」


パソコンを立ち上げ、いつものように準備し取り掛かる。

頭の中では「レイちん♡」という幻聴と、あの全裸サンドイッチの柔らかい感触が何度もリフレインしていたけれど、そこはプロのOL根性でねじ伏せた。


――チーン。お昼のチャイムが鳴り響く。


「お♡ お昼♡ ……生き、残った……」


デスクに突っ伏した私の胃袋が、朝から何も食べていないことを思い出して盛大に鳴った。

張り詰めていた緊張がようやく解け、お腹はペコペコ。

ミカさんと連れ立って、銀座の雑居ビルの地下にある、お気に入りのレトロな喫茶店へと駆け込む。


「はぁぁ、ハンバーグランチ、ご飯大盛りで……あ!コーヒーは食後で!」


注文を終え、お冷やを一杯飲み干して、ようやく一息つく。

でも、私の心臓はまだどこかバクバクしていた。

だって、あの光エフェクトで消えたケモ耳とサキュバスは、ハッキリと言っていたのだから。


『夜また会おう♡』って


(……今日の夜、私のワンルーム、一体どうなっちゃうのぉぉぉぉ!?うひゃー♡)


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