14話 バタフライマン 後編
「いた!奴だ」
俺は先手をとろうとしてサイコキネシスを発動させようとしたが、その前にバタフライマンが羽ばたいて突風を起こした。
俺とコクルナはそれを受けて吹き飛んだ。
バタフライマンのでかい目がニヤリと歪む。
まだ態勢を整えていない、コクルナのところまで高速で羽ばたいたと思うと足でコクルナを器用に掴み上へと移動した。
「いや…えっちょっと」
コクルナはあっという間に上空へと連れて行かれた。
「あいつまさか…」
そしてその上空から足を離しコクルナを落下させた。
地面に激突する前にコクルナをサイコキネシスで受け止めそっと降ろす。
それを見ていたバタフライマンは面白くないのか目を吊り上げて怒っている。
「あっ…ありがとうございます、し…死ぬかと思いました」
「いや礼はいい、今のうち態勢を立て直そう」
「はっ…はい」
しばらく上空にいたバタフライマンは俺を目掛けて落下攻撃をしてきた。
バタフライマンとぶつかる寸前でテレポートをしてやった。
バタフライマンはそのまま地面に激突してた。
「あのパーティーはよくこんな凶悪な奴から逃げられたな」
バタフライマンは起き上がり地団駄を踏んで怒っている。
気を取り直してこちらを見るバタフライマン。
その目が怪しく光る。
「嫌な感じがする。コクルナあいつの目を見るなっ!」
「………」
「おいコクルナ!」
コクルナはこちらに向けて斧を振り下ろしてきた。
「あぶねっ」
俺はそれを躱す。
「おいしっかりしろ!」
呼びかけも虚しく一心不乱にこちらを攻撃してくる。
こんな攻撃を一発でももらったら、手足なくなると思いながら避け続ける。
「混乱かそれとも幻覚をみているのか?どちらにせよテレパシーで解除する必要があるな」
あいつがそのまま見ているだけならなんとかなる…と思った矢先。
突っ込んできやがった!
まずい…このままだとコクルナにも当たる。
俺はサイコキネシスでコクルナを軽く横に押し射線上から退避させて。
テレポートをしようと思ったが、それよりも早くバタフライマンの体当たりを食らってしまう。
バタフライマンの強烈な一撃を受け、俺は宙に舞った。
視界がぐるぐると回り、天地が入れ替わる感覚に襲われた。
木にぶつかりやっと止まった。
「っ!」腹部に強烈な痛みを感じる。
そういえば奴はどこだ?
こっちを見てピョンピョン飛んで羽をばたつかせている、まるで笑っているかのように。
「うざっ!煽りやがって…」
起きようとしたがこのまま寝てることにした。
ニヤニヤしたバタフライマンがピョコピョコとこちらに近づいてくる。
目の前まできて足で腹を蹴ろうとした瞬間に、バタフライマンに目掛けて隠し持っていたけむり玉をぶつけた。
完全に油断していたのであろう、その煙がもろに目に入りもがき始めた。
俺は腹部を押さえながら立ち上がりコクルナを探した。
向こうもこちらを探していたのかすぐに見つかったが、洗脳は解けていない様子だ。
そのまま走り寄ってくる。
サイコキネシスでコクルナの動きを止めてテレパシーで語りかける。
(おい!いい加減に目を覚ませ!)
(コクルナは操られているんだぞ)
(二人でバタフライマンを倒すんだろ?自分を取り戻せ)
しだいに抵抗する力が弱まる
(そうだその調子だ頑張れ)
なおも心に訴え続けた
「あ…れ…あたしはなにを」
(気づいたかそのまま俺に攻撃を続けて)
(不思議だろうがコクルナの心に直接語りかけているんだ)
(そのまま演技を続けて俺の合図で奴を思いっきり攻撃してくれ)
コクルナはうなずきこちらに攻撃を仕掛けてくれた。
けむり玉の効果が切れたバタフライマンがこちらを睨み付け向かってきた。
コクルナのことはまだ術にかかってると思い込んで見向きもしない。
バタフライマンがこちらに近づき攻撃しようとした瞬間に、サイコキネシスで動きを止めた。
(今だ)
コクルナのでかい斧が無警戒なバタフライマンに振り下ろされ真っ二つになった。
死んだのを確認してから魔石を取り出した。
その魔石は光をも吸収しそうな黒い色をしていた。
コクルナはその後ギルドに向かう途中も俯いて何もしゃべらなかった。
「あっあたし…足引っ張ってばかりで何もしてないんで…だからそれはイチさんの物です」
「何言ってんだ止めを刺したじゃあないか」
「あれも…イチさんの作戦で…あたしは振り下ろしただけで…」
「そもそも俺一人ならこの依頼を受けてすらいないからな、あんな奴がこの街を襲ってきたら死者がでていたかもしれん、被害が俺の腹だけですんだのもコクルナのおかげだ」と腹をさすりながら言った。
「だから胸を張って受け取ってくれ」
「そうですよ!お二人のおかげで街の平和も守られたんですから。どうぞお受け取り下さい、合計100万モンナシをお二人で分けて一人50万モンナシですね」受付さんナイスアシスト!
「わかりました…ありがとう…ございます」
バタフライマンを倒した安堵の中、俺とコクルナは静かな街へと戻った。
街の人々は何も知らず、日常を送っている。
その様子を見て、俺たちの戦いが無駄ではなかったと感じた。




