13話 バタフライマン 前編
「ご報告いたします。ヘンリー子爵が行方不明になりました。」
「なんだと…逃げたのか?」
「詳細は調査中です、何かわかり次第ご報告いたします」
「それとヘンリー子爵が実験していた、あの魔物も廃棄なされますか?」
「いや…どうせなら成果を見ておきたい」
「しかし完成品ではないのでコントロールできませんよ」
「構わぬ…ウェステニアの近くで解き放った後に観察してデータを取れ」
「仰せのままに」
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新しい街の宿屋で目が覚めた。
食堂に行きパンをかじりながら今日はどうするかを考えていた。
昨日は疲れていたので宿屋で休んでからギルドに行こうとしたら、そのまま寝てしまった。
なので今日はエミルンの依頼の報酬を受け取りに行こう、その後は依頼を見てよさそうなのがあったら受けよう。
「依頼達成おめでとうございます。」
「こちら100万モンナシです」
「ひゃっ100万!?」
「はい、結構危険な依頼だったんですね」
「ギルマスがモンナシは弾むと言っていたがそんなにもらえるとは」
「あとイチさんは今男爵級ですよね、依頼達成率が良いので子爵級に昇格できますよ?」
「昇格するとなにかいいことあるの?」
「受けれる依頼の幅が広がります、昇級すればするほど危険な依頼を受けることができますのでその分手当てがつきます」
「手当て?」
「はい子爵級から役職手当がつきます」
「男爵はつかないの?」
「男爵は見習い期間なのでつきませんね」
「じゃあ昇格します」
「はいでは今から子爵級になりますね」
「俺もついに子爵級になったか…」
と言いつつ掲示板で何か良い依頼はないかと探していると、受付で騒いでる人たちがいる。
「本当だって見たんだからなぁ?」
「ああ、身長は2~3メートルくらいあって、人間のような体型だが、全身が黒い体毛に覆われていて、赤くでかい目がギョロっとこっちを見てた…」
「でかい蝶みたいな羽根を広げたそいつに追われて逃げてきたんだ、あんな魔物見たことねぇよ!」
「落ち着いてください!何か被害にはあいましたか?」
「いや、けむり玉を奴にぶつけて逃げれたけど、他のパーティーが被害にあう前に報告しておこうと思ってな」
「わかりました。ギルドマスターに報告いたします」
「あんな未知の魔物と戦いたくねえ、俺たちはしばらく様子をみるか」
報告を終えたその人たちは去っていった。
「へぇ~気持ち悪い魔物もいるんだなぁ…」
「バタフライマンと名付けました」
先ほどの話を聞いていた受付さんが張り紙を持ってこちらに来た。
今から壁に貼るのだろう。
「見ますか?」
「え~どれどれ依頼内容はバタフライマンの調査及び討伐、階級は子爵級以上から…」
「イチさん階級上がったので受けられますね」
「またまた御冗談を」
「あ…あの…」
「え?」
「ひ…引き受けませんか…」
辺りを見回して誰もいない。
「下…です」
下を見ると俺の腰くらいの所に女の子が立っていた。
小柄でがっしりとした体形の子だ。
兜を被っているが、はみ出した髪はダークブラウンの色をしている。
鎧を着て小型の盾を持っている、武器はでかい斧を装備しているのが目に入る。
よく見ると、頬には少しそばかすがあるのに気づいた。
俺は「ではどうぞ」と言って依頼書を渡した。
がそれを受け取らず「あの…一緒に引き受けませんか」
「えっ俺も?」
「はっ…はい!その昇格したって…聞いたので」
どうやら話を聞いていたようだ。
「聞いてたのか、そりゃ今さっきしたけど」
「じゃあ…あたしと組みませんか」
「何で今会ったばかりの人と、未知の危険な魔物を倒そうなんて思うんだ?」
「さっき…受付さんとの会話聞こえたんです、危険な任務こなしたって」
「えぇ…それだけの理由で俺と?」
「他の階級が上のパーティーに依頼したほうがよくないか?伯爵級とか侯爵級に」
「さっきこの情報をくれたパーティーが伯爵級ですよ」と受付さんが言う。
「あの人たち戦いたくねえとか言ってたな…慎重だからこそ出世してるのか?じゃあこの街に侯爵級は?」
「ウェステニアにはいません」
「ウェステニア?」
「この街の名前です」
「だから…その…あたしたちが引き受けませんか…?」
気が弱いなりにがんばって声をかけてきたのだろうな。
このまま放っておくと一人でも行きそうな感じだな
「わかったわかった。じゃあ準備してから行こう」
「話がまとまったみたいですね、ではこの依頼引き受けてくれるんですね?」
「ああ…」
「はい…お願いします」
「そう言えば自己紹介がまだだったな。尾飛乃いち、階級はさっき子爵級になったばかりで超能力を使う、よろしく」
「あの…あたしはコクルナ=コクーンと言います、戦士で階級は子爵級です。よ…よろしくお願いします。ところでちょ…ちょうのうりょく?というのはいったい」
「これから未知の魔物と戦うんだし見せた方が早いか」
俺はコクルナの後ろにテレポートした。
「こういうのだ」
「なっ!?」
「すごい」受付さんも驚いている。
「なんですか…いまの」
「他にも何かできるんですか」受付さんが聞いてきた。
「そうだな…」と受付のあまっている椅子を浮かせてみせた。
「おぉ…」コクルナは口を開けて驚いていた。
「おおーもっともっと」とパチパチパチパチ拍手をする受付さん。
「大道芸人か俺は…」
一通り芸を見せた。
「ではくれぐれもお気をつけて、いってらっしゃいませ!」
道具屋に寄り必要そうな物を買って街を出る。
あのパーティーが目撃したと言っていた場所らへんに来た。
「な…なかなか見つかりませんね」
「羽があるって言ってたし、もう飛んでどっか行ったんじゃないか?」
もう日も暮れようとしていた逢魔が時にそいつと出会った。




