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異世界転移超能力者  作者: つある


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10話 護衛依頼と動き出した計画

「ヘンリー子爵…黒魔法の研究は順調に進んでいるか?」


「魔物変化の実験の途中なのですが資金が底をつきそうです、寄付をして頂ければ嬉しいのですが…」


「ヘンリー子爵…研究の成果を出せば、まとまった資金とそれなりの地位を用意しよう」


「本当ですか!もうすぐ私に遺産が入る予定でして、それを元手に必ずや成果を出してみせましょうぞ」


「シュメル計画なんとしても成功させねばならん…」



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー



「zzz…はっ!やべえ!寝すぎた、ギルマスに呼び出されてるんだった」



慌てて起きた俺はギルドへと向かった。


「いやぁ急に呼び出して悪いね、掛けてくれ」


「あっ…いえ…」


「昨日は君のユニークな戦い方を見せてもらって感動したよ」


「はぁ…どうも」


「早速本題に入ろう」


「そうしてもらえると助かります」


「君にはある貴族の令嬢の護衛をしてもらいたい。彼女の命が狙われているが、裏には複雑な事情があるのだ。」


「護衛?あるお方って誰ですか」


「ふむ、まぁここだけの話なのだが…」



ギルドマスターは少し言葉を選びながら話し始めた。


「ヘンリー子爵という浪費家の貴族がいてな。借金もかなりあるそうだ。

娘さんがいたのだが、夫婦そろって娘に構うことなく放置していた。

まぁいわゆるネグレクトってやつだ。

その現状を見かねたおじいさんが、娘さんを不憫に思い大事に育てたんだよ。」


「近年そのおじいさんが亡くなり、遺言書には遺産はすべて娘に相続すると書いてあった。

このことにヘンリーは激怒し、娘に対して遺産をよこすように脅迫したんだ。

命の危険を感じた娘さんは信頼できるメイドと共にこのギルドへと助けを求めてきたというわけだ」


「そこでイチ君にはそのおじいさんが生前懇意にしていた、カラス伯爵の所まで護衛してほしいのだ。そこまでいけばヘンリー子爵も手は出せまい」


「話はわかりました。いくつか質問があります」


「まあ聞きたいことがあるのは当然のことだ、言ってみたまえ」



疑問に思ったが警察みたいな組織ってこの世界にあるのかな。

なんて言えばいいんだろ…


「悪人とか捕らえて町の治安を維持する組織とかってあるんですか?」


「ふむ騎士団のことだね」


「騎士団」


「残念ながら事件が起きるか、よほどの証拠がない限り動いてはくれないのだよ」


「そうですか」


「ララとダリアにも協力してもらうというのはどうですか」


「彼女たちはこの街でまだすることがあるとか、まあ深い事情は知らんが、なのでこの依頼は引き受けてもらえそうにないよ」


「事情があるなら仕方ないですね」


「そうだ警護なら俺より階級が上のラムシーとかに依頼をするべきでは?」


「ラムシーよりも君のほうが強い、君はあの決闘のとき手加減していただろう、あいつの髪に直接火をつけなかったのもその一つだ、相手を殺したらまずいという理性が働いたというべきか」


「手加減ならラムシーもしていたのでは?」


「最初はな…でも吹き飛ばされた直後から本気で君のことを殺そうとしていたよ」


「こわっ」


「あとあいつは性格が悪いのでね。これは私の勘だが君のその不思議な力が彼女の護衛の役に立つのではないかと考えていてね、もちろん成功報酬のモンナシは弾むよ、どうかね?引き受けてくれると助かるのだが」


「わかりました。自信はないけどやってみます」


「おお引き受けてくれるか、娘さんの名はエミルン様だ。偶然にも君が泊まっている宿屋にいるらしい、早速会いに行ってくれ」


「それと最後に老婆心ながら言わせてもらうが、途中必ずヘンリー子爵の刺客が襲ってくるだろう。悪人には手加減なんぞは無用だ思いっきりやりなさい、手心を加えると後悔することになる」



というわけで宿屋に戻ってきた。


「おばちゃん、この宿にエミルン様という貴族のお嬢様が泊まってる?ギルドからの依頼で会うように言われた」


「ああエミルン様からギルドの人が来たら通してくれって言われてるが、あんただったのかい、ほれ通りな」


「ここは?」


「訳ありの人が泊まる隠し部屋だよ」


「そんなところがあるんだ…」



隠し部屋の前に行き扉をノックする。


「はい」


「あの~ギルドマスターからの依頼で護衛することになりました、尾飛乃いちと言います。挨拶に伺いました。」



扉がゆっくりと開く。


「お入りください」と言われ部屋に入る。


小柄で金髪の、白いカチューシャをしている女の子がいた。

白い蝶の形をした存在感のあるペンダントを下げている。

服装は動きやすいようにデザインされたシンプルなワンピースを着ていたが、生地や裁縫の細部に上質さが感じられ、その身なりにはどこか貴族の風格が漂っていた。


その隣にメイド服を着て眼鏡をかけ、髪を後ろにお団子にまとめた人がいた。


「イチさんですね。はじめまして、わたくしはエミルンお嬢様のメイドでエマと申します以後お見知りおきを」


「はじめまして私がエミルンです。護衛の方よろしくお願いします」


「あの…こんな事を言ったら怒られるかもしれませんが、遺産相続を放棄するというのはできないんですか?」


「おじい様の遺言で、わしの遺産を受け取ることで争いが起きるであろう、しかし放棄したりあいつらに渡してはいかん、今まで苦労した分エミルンには幸せになる権利がある、なにかあったらカラス伯爵のもとに行きなさい、話はつけてある。わしからの最後の試練だと思って受け取っておくれと言ってました。ですからおじいさんとの約束を果たそうと思います」


「そうですか。わかりました」


「では明日の早朝北門の所にお越しください。わたくしたちの逃げてきた馬車でカラス伯爵の所まで参りましょう」


「はい、では失礼します」そう言って退出した。



この後ダリアとララとの約束があったので酒場へと向かった。



「ごめんね、うちらも一緒に行けたらいいんだけど」


「いいさ。人にはそれぞれ事情というものがある」


「向こうに行ったら戻って来るの?」


「いやそのまま他の所も見て回ろうと思って」


「イチさんと会えなくなると寂しいですね」


「底なし沼からイチに助けられてなかったら、うちは今ごろここにいなかったからね」


「ほんとうにあの時は焦りましたよ、すごいタイミングで来てくれましたね」


「そうだ沼で思い出したけど、これダリアのじゃないか」


そう言って沼で拾った赤い石を取り出した。


「これっ!うちが探してたやつだ…うちの親が旅立ちの日にくれたの赤い魔石の」


「やはりこれダリアのだったのか、あの時泥沼で見つけて、もっと早く言ってればよかったな」


「ううんいいの、うちもイチにこれを探しているって言ってなかったし、でもなんでうちのだってわかったの?」


「超能力のおかげかな」


「すごいんですね、ちょうのうりょくって」ララが感心している。


「いやぁ~まぁね、ははっ」


エアロに言われてサイコメトリーの修行をしていてよかったぜ。


「ダリアあの後何回か泥沼に探しに行ってたもんね。よかったね」


「ありがとう、見つけてくれて」


「渡せてよかったよ」


「あとゴブリンのときも助かりました。イチさんがいなかったらと思うとゾッとします」


「いや俺も2人と会えて色々と経験できたしよかったと思ってるよ。お互いさまってことで」


「ねぇねぇうちのビキニアーマーが見れなくなるけど寂しい?」


「はい」


「正直でよろしい」


「ははははは」みんな笑いあった。


「明日は見送りにいくよ」


「ええ必ず行きます」


という話でその夜は盛り上がった。

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