表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
性悪女たちとリセマラ男  作者: 釧路太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/70

第69話 リセマラ男

 厳密に言うと違うのだろうが、俺は無事に元の世界に戻ってきた。

 戻ってきてから一週間ほど様子を見ていたのだけれど、この世界には魔法もないし特別な力なんてのも存在していない。俺が小さい時からずっと過ごしてきた世界と限りなく同じ世界だと言えるだろう。

 一か月経っても怪しい生き物なんて現れなかったし、半年も過ぎたころにはあっちの世界にいたことも夢だったんじゃないかと思えていた。

 そう思えた一番の要因はあいつとも再会を果たすことが出来たという事だ。ちょっと見ない間に身長が伸びたような気がする。それに、顔つきもどこか大人っぽくなっているように思えた。


「お前って本当にテストだけは得意だよな。なんかここまで満点しかとってないのを思えばさ、ズルい事してるとしか思えないんだよな。どんな人間だってミスの一つくらいするのが普通なのにさ、毎回満点しかとらないのって、お前はロボットなんじゃないのか?」

「俺がロボットなわけないだろ。それを言うんだったらお前の方がロボットっぽいだろ」

「俺のどこがロボットなんだよ。俺みたいな純粋な男はそうそういないぞ」

「純粋な男って言い方が気持ち悪いけど、全教科一問だけ間違えるってのはわざとそう言うプログラムを組まれてると思われても仕方ないだろ。今では俺だけじゃなくお前までテストを受けるときにピッタリ監視されるようになってるんだからな。それに、部活の全国大会でもお前のことを見張る審判が何人もつくのって異常なことだと思うよ」

「まあ、そう言うことになるのも仕方ないってことさ。俺もお前と同じステージに一歩近づいたって思えば嫌じゃないし」

「俺と同じステージどころかお前は俺の何歩も前にいるんだよ。俺がお前に勝ってるのって本当に勉強だけしかないからな」

「そんなことないんだけどな」


 俺もこいつも別の世界に行っていたという記憶はあるし何があったのかお互いに話し合うこともあった。

 だが、こいつの体験してきたことはそれだけで大長編のドラマでも作れてしまうんじゃないかと思えるような出来事ばかりだった。

 荒唐無稽な話ばかりでこいつ以外が言っていれば信じることはないと思うのだが、こいつが俺に嘘をつくと思えないので信じることにした。いや、信じるという選択肢以外は存在していないのだ。

 色々な経験を積んだこいつは誰が見ても成長しているというのがわかるし、男としても人間としても魅力は増しているだろう。一部の人からは年齢をごまかしているのではないかという疑惑も持たれていたようだが、戸籍も経歴もしっかりとしているので悪口止まりで影響は何もなかった。

 それにしても、こいつの冒険譚を聞くだけで冬休みが潰れてしまうとは想像もしていなかったな。


「お前が成長したのも納得出来る話だよな。どれだけの世界を渡り歩いたんだ?」

「途中で数えるのはやめたんだけど、お前と一緒にやったゲームより多いかもしれないな」

「その例えはよくわからん。ずっと一人だったんだろ?」

「そうだな。新しい世界に行ったときは常に一人だったよ。あとから仲良くなる人は何人かいたけど、大体は見覚えのある人に似てる人が多かったな。でも、お前はこの世界に戻ってくるまで出会えなかったんだからな」

「俺は無数にある世界の中に一人しかいないらしいからな。それが本当かどうか知らないけど、そう言われたから」

「どの世界に行ってもお前を知ってるやつは誰一人としていなかったからな。そういう意味でもお前は特別なんだろうよ」


 俺とこいつのことを何も知らない人から見たらこいつの方が特別な存在だって誰もが思うだろう。それでも、こいつと似たような人は存在しているのに俺に似ている人はどこにも存在していない。色々な世界線をめぐっても俺はここにしかいないという事が証明されたような気がしていた。


「あんたがどの世界にも存在しないで一人だけってのは理由があるのよ。あんたの持ってるその特別な能力が原因でどこの世界を探してもあんたはここにしかいないって原因なんだよ」

「並行世界に自由に移動できる人が同時に何人も存在するなんてあってはならないことだからね。私たちみたいにあんたの後について行くのとは違うんだよ。自分の意志で自由に移動出来る人は一人だけって決まりがあるんだからね」


 いつも突然現れては重要なことを伝えて去っていく。そんなうまなちゃんとイザーちゃんがこの世界で何をしているのか俺にはわからない。

 もちろん、麻奈ちゃんとイザベラちゃんも二人が何をしているのかは知らないそうなのだが、時々一緒に甘いものを食べに行くことはあるらしい。女子会という俺には縁のない集まりが定期的に開かれているという事をこいつから聞いたくらいだ。


「お前は俺に会うためにこっちに戻ってきたんだろ?」

「色々考えると、そう言うことになるかもな。あっちの世界にいても別にいい事なんて何もなかったし」

「だろうな。でも、お前があの世界にとどまらなくてよかったと思うよ」

「そんなに俺に会いたかったってことを言いたいのか?」

「違うって、お前があの世界にずっといてサキュバスが戻ってくるのを待ってるって言ったら気持ち悪いって思ってたそうだぞ」

「思ってたそうだぞって、お前がそう思ってたってことか?」

「俺じゃなくて、麻奈ちゃんとイザベラちゃんがそう言ってた。あと、うまなちゃんとイザーちゃんとゆきのちゃんと愛華ちゃんも気持ち悪いって言ってたな」





 誰もいない世界に行っちゃおうかな……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ