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性悪女たちとリセマラ男  作者: 釧路太郎


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第六十七話 宣戦布告

 四人の美少女の前がまー君に対して反旗を翻したという情報が世界中を駆け巡ったことで反まー君勢力が一気に活気付いていたのだが、四人の美少女たちは反まー君勢力に対して同時に宣戦布告を行ったのでどの陣営も一様に戸惑っていた。

 彼女たちの目的がいったい何なのかわからないまま戦闘に突入することを避けたいのは皆同じで、話を聞こうと世界中の使者が伝説のサキュバス島へと集結しつつあった。


「なるほど。まー君だけじゃなく世界中に宣戦布告をすることで世界中の視線を君たちが今いる伝説のサキュバス島へと向けさせたという事だね。あれだけの人たちが集まれば他の世界に行っているサキュバスも戻ってくるかもしれないって読みなんでしょ?」

「そんなわけないでしょ。本物のまー君がサキュバスたちを集めてるのにこっちに来れるサキュバスなんていないよ。私たちは別にここがどうなろうと知ったこっちゃないし、あんたが何とかしなさいよ」

「そうだよ。私たちはみんなこれから偽物のまー君とお話してくるんだから、ここに向かってきている人たちのことはあんたがどうにかしてね」

「どうにかしてって、俺に言われても無理でしょ。俺に出来ることなんて、過去に戻ることしかできないんだから」


「その能力を使おうとしたら大変なことになるよ」

「あんたの脳をいじって私たちの都合のいいようにしか動けないようにしちゃうから」

「別に前田君がどうなろうと興味なんて無いけど、まー君に会えるようにしてくれるんだったらそれでもいいかも」

「さすがにそんな風になってるのを見るのは嫌かな。普通にしてられるのも嫌なんだけど、脳をいじられるのとかは別の意味で気持ち悪いかも」

「麻奈ちゃんって、意外と優しいんだね」

「優しいとかじゃなくて、普通にグロ系無理なだけだし」


「そんなわけで、私たちはいったんまー君のところに行ってくるんであとはよろしくね」

「まー君がすぐに本物のまー君の居場所を吐いてくれたらいいけど、時間がかかるようだったらここに向かってきてる人たちの相手をよろしくね」

「えっと、よくわかんないけどよろしくね」

「……余計なことしないで頑張ればいいよ」


 前田が声をかけようと思ったときには四人とも消えていた。

 音もなく消えてしまったために前田はどうしていいのか迷っていたのだが、ここに向かっている大軍に対して何をすればいいのか考えることにした。

 おそらく、ここにたどり着くまでにはかなりの時間があると思うので考える時間は十分にあるだろう。出来ることは何もないのかもしれないが、状況を説明することくらいはやっておいた方が良いのかもしれない。

 そんなことを考えていると、外が急に騒がしくなっていた。ただ、かすかに聞こえてくる声はどうやら罵声ではなく命乞いをしているようにしか思えなかった。

 いったいどんなことになっているのだろうとそっと覗いてみたところ、武器も鎧も何も身につけていないかなり軽装の人たちが伝説のサキュバス島に向かって順々に頭を下げていた。

 その光景はあまりにも奇妙で、目的がいったい何なのか見当もつかない。思い当たることはいくつかあるのだけれど、そのどれもが正しいようで間違っているようにも感じている。直接聞きに行ってみれば早いのかもしれないけれど、あの集団の中に話を聞きに行く勇気を前田は持っていなかった。


 前田と一緒にこっそり見守っていた女性が耐えられなくなり、頭を下げている集団の方へと向かっていった。

 普通に歩いて行ってもいいのだろうが、空気を呼んだ女性は一度伝説のサキュバス島へ移動してから集団の方へと近付いて行ったのである。

 ちょっと演出が過剰じゃないかと思った前田ではあったが、頭を下げている集団にとってはあまりにも神々しい登場の仕方に映ったのか涙を浮かべるものもいたのだ。

 それを見ていた前田は自分が出て行かなくて本当に良かったと安堵していたものの、女性が一言二言何かを伝えると集団の視線が前田の方へと向かい、人波が一気に押し寄せてきたのであった。

 隠れて見ていた前田は一瞬で見つかり集団に取り囲まれる事態となったのだが、前田に襲い掛かろうとするものは誰一人としていなかったのである。絶対に殺されると思った前田は泣きそうな顔をしていたし、前田を取り囲んでいる集団は今にも涙がこぼれそうな状態であった。


「どうかお願いです。あの方たちに私たちの国を襲わないように説得してください」

「私たちはあの四人の魔女と敵対するつもりはないんです」

「我らの神に対する信仰を捨てろと言われれば今すぐに改宗します。ですから、私たちを助けてください」

「あなた様の望むものを用意する準備は出来ています。大金でも美女でもなんでも用意いたしますから」


 そんなに必死になるほどあの四人が怖いのかと思ったけれど、あの四人を敵に回してしまったらどれだけ恐怖かという事は簡単に想像がついた。

 そう考えると、この世界のまー君が少しだけ気の毒に思えたのだけれど、前田としては関係のない他人であるからどうでもいいと思っていた。

 そんな事より、美女を用意してくれるというのであればサキュバスにこだわる必要なんてないじゃないかとも思えたのである。

 本当にそれでいいのかという疑問はあるのだけれど、この際贅沢は言っていられない。とにかく、自分が出来ることをしっかりとやり遂げよう。前田はそう心に決めたのだ。


「わかりました。俺がみんなを説得して見ます。なので、皆さんは安心して準備しておいてくださいね」

「ありがとうございます。それで、準備とはいったいどのようなことをすればいいのでしょうか?」


「俺の口から言わせないでくださいよ。頼みますよ」

「あ、そういうことですね。お任せください」


 前田は男たちに向かって小さく小指を立てていた。

 この世界でもそれが通じるのか多少の不安はあったのだけれど、それを見ていた男たちの顔がニヤリと笑っていたのを見て前田の中にあった不安は消えていた。

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