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性悪女たちとリセマラ男  作者: 釧路太郎


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第六十四話 二転三転

 ゆっくりと距離を詰めている前田に合わせるようにうまなちゃんとイザーちゃんは後退していた。このままでは一向に距離は縮まらないと思って少しだけ早足にしてみたのだが、前田のスピードに合わせるかのようにうまなちゃんとイザーちゃんも加速していた。全く同じ距離を保ったまましばらく進んでいるのだが、普通の人間である前田は疲労がたまってしまい歩くのをやめてしまった。


「ちょっと、急に立ち止まらないでよ。もう少しでつくんだから頑張って」

「そうだよ。こんなところで休んでる暇なんて無いんだから。ほら、さっさと歩いて歩いて」


 ほんの少しの休憩で回復した体力はたかが知れているのかもしれないが、二人が応援してくれているということを考えるともう少しだけ頑張れそうに思えていた。

 実際に前田はその後に一時間近く歩き続けることが出来ていたのだが、本人はそのことに全く気付いていなかった。いつの間にか一時間近く歩いていたという結果だけが残っていたのだ。


「無事にたどり着いたということで、そろそろお待ちかねの時間だね」

「君がずっと待ってた人がやっとここに来てくれるんだよ」


 誰のことを言っているのか見当もつかない前田はあたりを見回しているのだが、それらしき人影は見えていない。それどころか、今いる場所は何もないただの草原であり誰かが隠れているような場所もどこにもないのだ。

 いったいどこからやってくるのだろうと周りをきょろきょろと見ているのだけれど、一向にそれらしき人物は見えていなかった。


 常に周りを警戒してどんな人がやってくるのかと身構えていたのにもかかわらず、その人物は物凄い勢いで空から降ってきた。

 落下したといってもいいような勢いで地面に着地した二人は何事もなかったかのように舞い上がっている砂埃を手で払うとうまなちゃんとイザーちゃんの方へ近づいて行った。


「空に出るなんて聞いてないから。魔法が使えるようになってなかったら死んじゃってたよ」

「いや、魔法が使えるようになってたとしても心臓がバクバク言ってて死ぬかと思ったわ。これって何かの嫌がらせなのかな?」

「嫌がらせではないよ。麻奈ちゃんとイザベラちゃんがいた場所からこの座標に平行移動したってことだから。ちゃんとこの場所の高さを考慮しなかったからそうなっちゃったんだよ」

「それをちゃんと説明しなかったまー君が悪いんだけどね。でも、あの人は物事を立体的に見ることが出来ないから仕方ないと言えば仕方ないんだよ」

「まー君って呼ばれてるから大目に見てはいたけどさ、今回のことでちょっと私は頭に来ちゃったかも。それ以外にも酷いところが目に付くし、ここから戻ったら痛い目に遭わせちゃおうかな。イザベラちゃんもそう思うよね?」

「うん、私も正直そう思ってたよ。これ以上酷い目に遭うようなことになったら、我慢の限界を超えちゃう」


 あいつと同じまー君でも二人が受ける印象はだいぶ違うんだということが分かった。これだけヘイトを集めてくれるのならば、自分に対する印象も少しは良くなっているのではないかと前田は考えていたけれど、それは全くの勘違いでどこに行っても前田は前田でしかなかった。


「そんな君たちに残念なお知らせがあるんだよ」

「これを聞いたら、君たち二人はまー君のことを殺しに行こうと思っちゃうかもしれないね」

「だからって私たちは二人を止めたりはしないよ」

「でもね、止めはしないだけで邪魔はするかもね」


 うまなちゃんとイザーちゃんは意味ありげに言っているのだが、その言い方は明らかにこれから起こることを楽しんでいるようにしか見えない。

 楽しんでいる二人の間にいつの間にか現れた少女はうまなちゃんとイザーちゃんの肩を軽く叩くとそのまま麻奈ちゃんとイザベラちゃんの方へと駆け寄っていった。そして、二人の間に入ってそっと耳打ちして何かを伝えてから遠くへと走り去っていった。


「なんだかよくわからないんだけど、今の女の子がうまなちゃんとイザーちゃんに伝えてほしいって言ってたよ」

「このことは絶対だって。これを守らないというのはありえないって言って走って行っちゃった」

「これか二人が説明することの対象は私たちだけじゃなくて、うまなちゃんとイザーちゃんも含まれるんだって」

「いったい何なのかわかってないんだけど、絶対に良くないことだって野はわかるよ。だって、二人とも今まで見たことがないくらい悪い顔してたからね」

「でも、今は凄い顔色が悪くなっちゃってるように見えるかも」


 表情だけではなく顔色も随分と変化しているうまなちゃんとイザーちゃん。それを見ていた前田は何もわかってはいないけれど、自分がきっかけで二人がこんな風になっているのだろうということは想像していた。自分を見てから急激に顔色が変化していることからもわかるのだが、それはまず間違いないという確信に近いものはあった。

 ただ、それがいったいどんな事なのだろうということまでは思い当たらなかったのである。


「出来ることなら、発表したくない」

「誰も幸せにならないことは言いたくないよね」

「でも、これを言わないといけないってのが辛いよ」

「四人に一人だけ外れくじってわけにもいかないだろうよ」

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