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性悪女たちとリセマラ男  作者: 釧路太郎


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第四十五話 伝説のサキュバス島へ行け

「非常に残念な話だが、全くの見当違いだ。俺は別に平等を求めていたりなんていないし、誰が活躍したっていいと思っている。そもそも、俺が平等の名のもとにこの世界を支配しようとするんだったら、うまなちゃんとイザーちゃんを他の国に差し出しているだろ。あの二人がいるだけで俺に逆らうバカなんていないわけだし、俺だってあの二人を敵に回すつもりなんて無いからな」

「それなら、いったいどういうことをしてほしいんだ?」


「しいて言うのならば、適度に俺に反抗するような勢力を演出してほしい。ってところかな。そのためにも、お前にはうまなちゃんたちと一緒に遠くの町へ遠征に行ってもらいたいわけだ。うまなちゃんとイザーちゃんの事しか見ていない奴らの中にはこの国の戦力が手薄になったと勘違いして襲ってくるやつがいるかもしれないからな。そうなると、残された俺たちは余力を持って戦わなくてはいけなくなるということだ」

「そんなことして大丈夫なの?」

「大丈夫だと思うよ。だって、ここは俺の国だからな」


 俺の知っているあいつとこのまー君ではあまりにも性格が違いすぎる。見た目も似ていないし性格も全然違うということを考えると、名前が一緒なだけで全くの別人だということになるのだろう。

 麻奈ちゃんとうまなちゃんがそっくりでイザベラちゃんとイザーちゃんがそっくりなだけで名前が微妙に違うのに対し、この世界のまー君はあいつと同じなのは名前だけでそれ以外は何一つ共通点もなさそうだ。生物の雄であるという共通点はあるのだが、そんなものは俺にも同じことが言えるのだから除外しても問題ないだろう。そもそも、まー君なんてどこにでもいるような名前だし、あいつを想像するのもおかしな話だったのだ。麻奈ちゃんとイザベラちゃんに似ている人がいるというのがミスリードになっただけで、全く同じ名前の別人なんてどこにだっているのは当然なのだ。


「そう言うわけだから、麻奈ちゃんとイザベラちゃんの授業が終わったらお前の方に行くようにさせるからな。明日の朝にはお前はうまなちゃんとイザーちゃんと一緒にこの世の果てにある伝説のサキュバス島に行ってくれ。仮にではあるが、君がそこで何か良からぬことをしてピンチになったとしても俺は一切関与しないし助けることもしない。当然ではあるが、うまなちゃんとイザーちゃんも君のことを助けたりはしないだろう。サキュバスと聞いて頭の中に浮かんでいるようなことをしようとしない方が君のためだと思うのだが、自力で何とでもできるというのであれば好きに過ごしたらいい。伝説のサキュバス島にどれくらい滞在するかは君に任せるので、君自身が納得するまで過ごしてくれて構わないよ」


 伝説のサキュバス島なんて何があるのか想像もつかないが、きっと想像も出来ないようなことが日夜繰り広げられているのだろう。この世の果てにあるというのも気になるのだが、気軽に行ける場所にあるとこの世の男たちが足繁く通ってしまうのだろうな。

 俺は近所にあったとしても通ったりはしないと思うけれど、普通の男性であれば興味を持ってしまうのも仕方ないのだろう。

 一度くらいはどんな場所か様子を見るというのも社会経験になるんじゃないだろうか。

 そんなことを考えてしまった。


「うわ、最初に見た時よりもキモくなってる。こいつと一緒の部屋にいるの嫌だから帰らせてもらうわ」


 幼女の魔法使いは俺と目を合わせないように視線をそらしたまま部屋を出て行った。

 まー君がまだ何か話があると言っていたのだが、それを無視して幼女の魔法使いは逃げるように走っていった。

 それに続く魔法使いも何人かはいたのだが、男性の魔法使いは何人か残ってくれていた。きっと、伝説のサキュバス島に興味があるのだろう。


 まあ、男だし仕方ないよな。


「そう言うわけだから、お前からうまなちゃんとイザーちゃんに目的地を伝えておいてくれ。一生懸命魔法を学んでいる麻奈ちゃんとイザベラちゃんには刺激が強すぎると思うんで目的地を伝えないでおく。現地についてからお前が説明してくれ。どんな場所でお前が何をしていたか説明してくれな」

「まー君が教えるんじゃないの?」


 俺の行き先を決めたのはきっとまー君なのだ。

 だから、俺はまー君が他のみんなに行き先を説明するものだと思っていた。でも、実際は俺に全て丸投げするというのだ。

 そんなことが許されていいのかという思いはあるけれど、うまなちゃんとイザーちゃんに説明しにくいんだというのは理解できる。

 多分だけど、まー君は俺にこの世界でいい思い出を作ってほしい。そう思っているからこその目的地なのだろう。

 伝説のサキュバス島なんて天国か地獄でしかないと思うのだが、まー君の顔を見ていると地獄の方が当てはまっているんじゃないかと思えてしまう。どことなく、申し訳なさそうな感じが出ているのだ。


「あの二人には目的地を伝えたくないんだ。お前にはわからないかもしれないが、あの二人にとってあんまりいい場所ではないからな」

「わかった。俺から説明しておくよ。でも、麻奈ちゃんとイザベラちゃんには言わない方が良いんだよね?」

「別に言ってもいいけど、先についたお前が何をしているのか考えちゃうんじゃないかな。それでもいいんだったら伝えてくれて構わんぞ」


 特に理由はないけれど、目的地なんて知らない方が旅を楽しめるんじゃないかな。

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