表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
性悪女たちとリセマラ男  作者: 釧路太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/70

第二十三話 ズルい男

「俺とお前が戦ってみたとしてもお前が勝つ確率はほぼ無いに等しいんだよ。だけど、お前は俺に勝つまであきらめずに何度だってやり直そうとするんだろ?」

「戦いって言われても、普通の高校生である俺があなたに勝てる見込みなんて無いと思いますけど」

「まあ、普通に考えればそうだろうな。でも、お前は俺と戦って負けたという経験を積むことが出来るんだ。普通だったら俺と戦っても一回しか負けることが出来ないのに、お前は何度だって何十回だって何百回だって何千回だって何万回だって何億回だって負けることが出来るんだよ。それくらい戦えば素人のお前だって一秒くらいは生きていられるんじゃないかな」

「俺が一秒生き残るのに何億回もやり直さないといけないってことなんですか?」

「例え話だけどな。俺とお前にはそれくらいの差はあるんじゃないかと思うよ。俺とお前の最大の違いは、相手の命を奪うことに対して抵抗があるかどうかだからな」


 正直な話、俺は目の前にいるまー君と何兆回戦ったとしても勝てる道筋を見つけられる気がしない。今まで生きてきてあいつ以外にも凄いやつはいるんだと思ったことは何度かあったが、同じ空間にいるだけで殺されてしまうんじゃないかと思ったことは一度もなかった。

 まー君が言うように俺の命を奪うことなんて何のためらいもないだろうというのもわかるし、俺が抵抗する間もなくやられてしまうのも容易に想像がつく。

 だって、俺は一度も視線を外していないのにまー君を何度も見失っているのだ。

 ただ椅子に座っているだけなのに、瞬きをする間もなく移動していることがある。目を離していないのに違う場所に移動している相手と戦ったとして、俺が抵抗できる余地があるとは思えない。

 どんなに頑張ったとしても、頑張りようがないのなら勝てる見込みなんて無いだろう。俺がまー君と戦わないということが正解なのだとはわかる。


 だが、まー君は俺と戦うつもりでいるとしか思えない。


「お前は俺に勝てないって思ってるんだろうけど、あきらめなければいつかは勝てると思うよ。少なくとも、お前は俺に対して命乞いを出来るくらいになるまでは諦めないだろ?」

「命乞いが出来るんだとしたら、今すぐにでもしたい気分なんですけど。それってどうですか?」

「悪いな。戦う前から諦めるような奴は認めないよ」

「ですよね」


 どうして俺がまー君と戦わないといけないのかその理由を知りたいのだが、きっと俺が納得するような理由なんて無いんだろうな。俺の能力を確かめるとかそういう理由なんだろうし、そうなると俺がやられないといけないってことだもんな。

 戦ったとしても俺は死んだ記憶すら残ってないんだと思うけど、さすがに死ぬ前に俺の能力はちゃんと発動するよな?

 そうでなければ困るんだけど。




「お前は本当にズルい男だよ。いろんな世界の俺がお前を殺しすぎたみたいだな。理由はわからんが、俺はお前を殺そうと思わなくなってしまった。いったい何をしたんだ?」


 何をしたと言われても、俺がしていたことと言えばまー君をじっと見つめていたことだけだ。

 それ以外に何かをしたという記憶もない。もちろん、俺はまー君に殺されたという記憶もない。


「この人は何も覚えてないよ」

「まー君がやってきたことを何一つ感じてはいない」

「抵抗することも出来ず」

「自分が死んだことも理解出来ず」

「ただ黙って」

「やられていただけ」

「「この人は何もしてない」」


「そういうこともあるんだな。こいつが諦めるよりも先に俺が諦めたってことなのか?」

「三万回を超えたあたりでまー君が何か疑問を感じたんだと思う」

「私たちにはわからない違和感があったのかもしれない」

「多分、俺がこいつとこうして対面する前から感じてたやつの事なんだろうな。うまなちゃんとイザーちゃんは何かこいつから感じるものはあったかな?」

「何も感じない。人としての魅力も男としての魅力も感じない」

「私もうまなちゃんと同じく何も感じない。悪い意味だと色々と思うところはあるけど、まー君が期待しているようなものは何一つ感じないかも」


 俺と一切目を合わせない二人の美少女と俺から一切目を離そうとしないまー君。

 心情としては美少女二人を見ていたいのだが、まー君から目を離すと一瞬で殺されてしまうのではないかと感じている。さっきまで向けられていた殺気がまた俺に向けられるかもしれない。

 何もできないとしても、最後まで目を離すのは良くないんじゃないかと考えていた。


「そうやって諦めない姿勢を続けるのは良いと思うよ」

「別の世界だったとしても、同じまー君には何かが伝わってたんだろうね」

「薄いつながりでも何度も繰り返せば多少は影響出てくるみたい」

「極薄でも大丈夫な時もあるんだよね」


「俺が感じていた違和感の正体はそれか。納得できないけど、納得するしかないよな。諦めなかったこいつを認めてやらないとな」


 様々な思いはあるのだろうが、俺は初めてまー君の笑顔を見た。

 今までも笑顔を見せてくれていた時はあったのだけど、その時はいつも殺気を感じていた。

 二人の美少女も嬉しそうな笑顔を浮かべてくれていた。


「ちなみになんだけど、こいつはどれくらい死んでたんだ?」

「正確な数はわからないよ。私は兆を超えた時に数えるのをやめたから」

「私も兆を超えたら変わらないかなって思って数えるのをやめたよ」

「それだけの回数は死んでたってことか。同じ体でそれだけの死を経験したってことは、相当強くなってるんだろうな。何度でも死ねるって、本当にズルいよな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ