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アイズエーアイズ  作者: 鈿寺 皐平
#11 被験者、全員集合

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98/120

第98話 みんなのコマンド

「え! そうなの!?」


 思わず声をあげてしまった。だってそんな話、リードさんから聞かされたことなかったから。


 しかし、僕が訳を尋ねる前に、リードさん自ら僕の口を使って応える。


「だけどAIの反乱が起きたことで、私は協力していただけるAIにもコマンドのインストールが必要だと考えました。特にこのIZ(アイズ)ではAIの力が容易く現実の域を超えてしまう。だから私だけでなく、リペアとデリートも含めた私達AIは仮想世界に入る前に新しいコマンドをクリエイトに頼み、インストールしてきました」


 クリエイトさん以外の三人がコマンドを備えているのは分かった。だけど、それ以前の話を尋ねるタイミングを逃してしまった。


 多分、その話をしたら無暗に情報量を多くして混乱しそうだし、なんか話の流れをぶった切ってしまいそうだし。


「まっ、この世界の創造をした僕だから、これくらいできるってことよ」


「じゃあなんで肝心のお前にはないんだよ」


「そりゃあ、自分が満足できるデキじゃないからさ」


「こだわりあるのかよ」


「そりゃそうだよ! 創作でこだわらなきゃどこでこだわるって言うんだよ!」


「め、めんどくせぇ……」


 クリエイトさんって子供みたいに無邪気なイメージだったけど、そんなしょくにん気質かたぎな一面も持ってたんですか。急に頑固おやじみたいな顔してびっくりした。


「私達はクリエイトが創った新しいコマンドを『ネオコマンド』と呼称してます。そしてそのネオコマンドが、クリエイトを除いたここにいる三体のAIに備わっています」


 ネオコマンド。じゃあリードさんが公園で使ってたコマンドってクリエイトさんが創造したコマンドだったのか。あんな巨大なドーム状のものを……。


「じゃあ、あたしの場合はデリートにそのネオコマンドってやつを使って守ってもらえればいいってことで合ってる?」


「はい。ちなみにデリート、参考までにあなたがインストールしているネオコマンドの詳細を教えていただけますか」


 僕も興味がある。リードさん以外のAIがどんなコマンド能力を備えてるのか。


 リードさんが訊ねると、デリートさんは淡々と説明を始める。


「僕のは、『パワーブースト』と『ガードプロテクション』の二つです。『パワーブースト』は僕の〈抹消の力〉の出力を高めて渡会さんの全身を覆うコマンド。『ガードプロテクション』も同様に渡会さんの全身を覆うコマンドです」


「『ガードプロテクション』、全身を覆う……ということは、物理無効が付与されてるアーマーのようなものを頭から足のつま先まで纏っている状態ということですか」


「そうそう! どうよ、僕の考案したデリート用のコマンド! いいでしょっ! AIの力だけでなく物理的な攻撃も防いじゃう! まさに最強の盾!」


 うーん……それ、強くない? デリートさんの力そのものがシンプルで強いのに物理攻撃を無効できるコマンドも備えたら……それはもう無敵といっても過言じゃない気がする。


「でも『ガードプロテクション』は仕様上、光だけしか通さないようになってるので空気を通さないし温度調節もできない。だから継続使用するとなるとインターバルを設ける必要があると僕は思ってます」


「承知です。私も同様に『ガードプロテクション』を使用できますが、デリートとは使い方が異なるといった感じですね」


「ちょーっと待ったー!」


 急にリペアさんがそう声を張り上げるものだから、心臓が止まってしまうんじゃないかってくらい驚いた。


「デリくんになんでネオコマンドが二つも!? 俺は『パワーブースト』一つだけなのに! どういうことだよクリエイト!」


「まあ、リペアはそもそもの力が補助する役割だから、別にコマンドで補助することないかなーって。だから『パワーブースト』で介くんの体を常に修復してあげて」


「あー……なるほど!」


 納得するんだ。すごい不満そうだったのに。


「てか、俺がそのネオコマンド使う時ってあるのかな? ネオコマンドの発動条件って体が共有されてる状態が必須だけど。俺の場合は基本的にリードが前に出るからなー」


「へー てことは、リペアの〈修復の力〉って体内ではどうやって発揮されるの?」


「え、普通に体の中駆け巡って負傷してる箇所を触れれば治せるよ」


 触れればいい……ってことは、リペアさんの力ってデリートさんと同じ使い方になるのか。


「なーんだ、面白くないな」


「なんで力の使い方に面白みを求める」


「じゃあさ、体の共有した状態で……何でもいいけど、破損してるものを触れたら〈修復の力〉で元通りにできるってこと?」


「……いや、ごめん。分からん! まだ試してない!」


「多分できると思いますよ。僕の〈末梢の力〉のように」


「待ってください、デリート」


 ふと、リードさんが話に割り込んでデリートさんの話を遮る。


「今は力の詳細を話す場ではなく、コマンドについて説明をする時。その話は先ほど一段落つきました。ここからまた別の話をすると被験者達の理解が追いつかなくなります。話を一旦戻させてもらいます」


 僕も半ば混乱しているところだった。リードさんが話を止めてくれて助かった。


「とりあえず、被験者の皆様は〈AIの力〉とコマンドの違いはご理解いただけましたか?」


「まあ、分かった。とりあえず守ってくれるなら全然」


「違うってことは分かったよ!」


 約一名が不穏な理解を示しているが、まあ大丈夫か。使用の判断は僕たち被験者ではなく、リードさん達AI側にあるんだし。


「では、各々が敵AIとの遭遇時の対処法について一度話をまとめます。クリエイトは私に連絡をし、敵AIとの戦闘をする。デリートはその場に留まって私に連絡ということでよろしいですか?」


「よろしくないです。僕は逃げます。あと連絡はリードとクリエイトにしますから」

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