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アイズエーアイズ  作者: 鈿寺 皐平
#6 新たな仲間

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第49話 今後のこと

 今日がすっかり祝日だということを忘れていた僕は、本当は昼前にやる予定だったトレーニングを早朝にやることにした。やることにしたというより、眠気が吹き飛んでしまったからだけど。


 存外、僕の体内時計は順調に健康的なものになっているのだろう。リードさんが来る前は遅くても深夜一時に寝て、起きるのは朝の七時とかだった。


 今はリードさんのせいなのかおかげなのか、日付が変わる前には就寝してる。起きる時間は、早朝トレーニングがある平日は朝五時くらいだ。


 今日の起床時間は午前六時。寝坊かと思って飛び起きたせいで、僕の眠気も吹っ飛んでしまった。


 再び寝つけそうにはなかったので、渋々大仙公園でランニングしてるというわけだ。


 気のせいかもしれないが、今日は走ってる人の数が少ない気がする。祝日が関係してるのか、それともコピーの影響が尾を引いてるのかは定かでない。


 ランニングコース中に視界に入る大広場の真ん中に聳える大樹を目にする度、昨日のコピーとの戦闘の記憶が脳内を巡る。


 そして思い起こす度に、自分の中で怒りと憎しみが湧いてくるのを感じる。コピー本体を捕らえることができても、まだ楓は家に帰ってきてない。


 昨日、西東さんに送ってもらった後、入れ替わるように楓と孝子さんがパトカーに乗った。それ以降、二人の姿を見てない。


 孝子さんからは楓と一緒にいる旨のメッセージが来ていて、昨夜は僕一人だけで夕食を済ませた。


 もちろん、家の中はこれ以上なく静かだった。ひとつ気が付いたことは、一人でいると色々考えてしまうということ。


 もしコピー本体を捕らえることができなかったら、僕は昨夜のように家の中でひとり過ごすことになったのだろうか。楓が刑務所入りになったら、高校や大学にはいけるのか。


 そんなたらればを何度も考えて、虚しさと心配が代わる代わる頭の中で湧いてたし、今でもその感情のざんが薄っすらとある。


『介様は、これからどうしようと考えられていますか』


 リードさんの方から珍しく話を切り出してきた。いつもならトレーニング中はトレーニング以外のことを話さないのに。


「どうも、こうも……両親を見つけにいかないとなって」


『そのご両親を見つけるために、どういった行動を取ろうと考えておられますか』


「どういった……」


 改めてそう訊かれると、はっきりとこうするんだという考えは出てこない。目的は明確だ。お母さんとお父さんを取り返すことは決まってる。


 でも、コピー本体を捕らえた今、二人の所在を知る情報源がない。だから僕がこの足でその情報を探しに行く必要がある。


 あるいは二人が我に返って自ら動き出し、その足で帰ってくる可能性も頭の隅にある。


「多分……僕が探しに行く……か、また行方不明者届とか……もしかしたら、両親の方から帰ってきてくれるかもーとか、思ってる」


『確かに。コピー本体を捕らえることができた今、乗っ取られた人達が解放され、意識を取り戻し、自らの意志で帰ってくる可能性はあると思います』


 曖昧な答え方をしたからある程度詰められるんじゃないかと思ったけど、意外とリードさんは冷静な返答だった。


 案外やんわりと会話が終わったなと、詰まった息を吐き出そうとした矢先、リードさんが神妙な面持ちをする。


『しかし、私はどうしても、コピーが言っていた仲間が気になります。もしその仲間が本当に来ているのだとしたら、コピー同様にこの世界の人の体を乗っ取って動き回ってる可能性があります』


「まあ、確かにそうだけど……そんなに重要視することなの?」


 僕は両親が戻ってきたらリードさんのいう現実世界に戻り、この世界にいる敵AIを出てこられないよう閉じ込めるなりしたらいいのではないかと思ってる。


 実際にそういうことができるか知らないけど。


『懸念はあります。介様の両親がその仲間に乗っ取られてる可能性はあります』


「あ……そっか」


『それに、この世界には介様以外にも被験者の方がいますから、その仲間に他の被験者が襲われている可能性も考えられます』


「あー……やっぱり、僕以外にもいるんだ」


 薄々は思ってた。でも、その時は頭が混乱しそうだったから口には出さなかった。


 リードさんが出していた半透明ウインドウに記されていた被験者の番号を見て、おそらく被験者は僕だけではないのだろうと。


 僕は三番目っぽいし、少なくとも僕を含めて三人はいるのだろう。それに、あのものすごい0の羅列を見ると、何千何万の被験者がこの世界にいてもおかしくない。


 もしくは、この世界にいる人全てが実は被験者なのかもしれない。


『そういえば、この話はしていませんでしたね』


「いや、リードさんが何度か出してた被験者の番号見て、なんとなく察してはいたよ。僕、三番らしいし」


『その認識はあってます。介様は三番目の被験者です。他の被験者の現状はまだ存じ上げませんが、もしかしたらもう現実世界の方に戻られてるかもしれませんね』


「……そ、そっか」


 それって暗に、介様はいつ戻られるおつもりですかって聞いてたりしませんよね……?


『しかし、介様がご両親を助け出すまで現実世界に戻らないというのは私も理解してます。けれど、どうしましょうか。何かしら行動しないと、介様の両親の現状を把握することはできません』


「まあ、そうなんだけど……仮に僕が動くにしてもあまり遠くとかには行けないと思う。お金かかるし、高校を休んでまで行くと内定に響きそうだし、そもそも孝子さんに教育費払ってもらってるから休むとかはしたくないんだよね……」


 これまではコピーの方から攻めてきたから、遠くに行くようなこともせず妹を取り戻すことができた。


 コピーを捕らえる前にお母さんとお父さんの所在について訊いておくべきだったかもしれない。まあその時はそんなことを考える余裕もなかったけど。


 しかし、このままトレーニングしてるだけじゃ何も事は動かない。かといって、あっちこっち行けるような身軽さでもない。


 どうしたものか……と考え事をしながら走っていると、ジャージのポケットに入れてた携帯がいきなり震え出す。


 こんな朝早くから携帯に着信……。ぱっと思いつくのは、孝子さんからの連絡。楓の今後のことについてかもしれない。


 そう思い、僕は半ば慌てて携帯を取り出した。


「……え?」


 けれど、携帯画面に表示されてる着信相手は僕の想像してた相手と全く違った。


 非通知設定。暗い背景画面に、白文字でくっきりとそう記されていた。


「リードさん、これって……え?!」


 嘘だ、あり得ない……。だってコピーは、確かにホワイトキューブで捕らえたはず。でも、この着信が来るってことは……

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