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SPRINT 10:事前に揺れを察知する

「お父さん、どうです?これがブリヤ魔法学園の制服です。すごく可愛くないですか?」

そう言ってマリトの反応を伺うが、様子がおかしいことに気付き、心配そうに問いかけてきた。

「どうかされましたか?」


マリトは考え込みながら確認の質問をはじめた。

「これセーラー服だよね」

「はい」

「日本のJKの制服じゃないの?」

「ニホンは賢者様のいらっしゃる世界のことですよね」

「そこのジェーケーというところでも似た制服を使ってるんですか?」

マリトの疑問は依然として解消しない。


『落ち着け。この一致は何かの説明ができるはずだ』マリトは自分自身に言い聞かせた。

『理事長のところに召喚されていた賢者も日本から来たのだとすると説明が付く』

『日本語が話されていることも同じように説明できる』

『だが、時間軸に無理がないか?』

「この制服はいつから使われているの?」マリトはラミーシャに確認した。

「理事長が学園を設立された500年前からの伝統的な制服です!」


『500年前と言えば、日本は江戸時代だ。その時代にJKの制服はない』

『異世界と元の世界では時間の流れが違うということか?』

実際のところどうなのか、確証のための材料は不足している。

マリトは、次の機会に理事長に確認することにして、仮説として持っておくことにした。


改めて鏡に映った制服をよく見る。

スカートはグレイのプリーツスカートで、見た目よりも軽くて涼しい生地だ。

セーラー服は伸縮性のある動きやすい素材で、こちらもゆったりして空気の通りやすく快適だ。

襟にはリボンと同じ明るいブルーの線が入っている。

胸元に紺色の刺繍のエンブレムが入っている。FとGの文字に見える。


「可愛い制服だね。ミーシャにとても似合ってる」

鏡に映るラミーシャの顔がパッと明るくなり、「ほんとですか?」と言った。

喜んでいる気持ちが伝わってきた。

「じゃあ昼食を食べに行こう」

「はい」


病室のドアは縦方向に多数の線が走っており、縦長の板を隙間なく並べて作られたもののように見える。

ドアの端に、くの字型の取っ手のようなドアノブが付いていた。

ラミーシャはそれを握り下にひねった。

ドアを引くのか、押すのか、どっちだろうとマリトは思ったが、どちらでもなかった。

ノブをひねると、ドアは細い帯状の板がぶら下がっている状態になり、横に引くと蛇腹状に開いた。


ドアを抜けて廊下に出る。

廊下はおよそ2メートルくらいの幅があり、壁には両側に手すりが付いている。

廊下を進んでいき、突き当たりで左に目をやると、テーブル席に三人の男女が座って話をしているのが見えた。


テーブルは木製の丸テーブルで、足は真ん中に太い支柱が床とつながっている。

椅子は壁につけられている長椅子のようなイメージだ。

公園で見かける固定的なテーブルとベンチを連想させた。

ラミーシャに気付くと、三人が立ち上がって話しかけてきた。

「大丈夫だった?」「心配したよぉ」


三人は全員、ラミーシャが着ているような制服を着ている。

トップスは白でボトムスはグレイだが、それぞれ少しずつ違っているようだ。

全員靴下ははいておらず、病院のサンダルに似た造りのシューズを履いている。

全体に夏の装いだ。

ラミーシャが『病院内は魔法による空調が効いているが、外は暑い』といっていたのを思い出す。

まるで、日本の高校生の男女が、夏休みに入院している友達のお見舞いに来たように見える。


「シノハ、アラン、ケイ、来てくれてありがとう!」

そう言いながら、心の中でマリトに説明してくれる。

「背の高い黒髪の子がシノハで、私のルームメイトです」

「おっきな男子はアランで、隣のケイと付き合ってるんです」

「ふたりは物作りがすごくて、アウトドアの携帯装備なんかを一緒に発明したりもしているんです」

内緒話っぽくなっているのが楽しいようだ。

「説明はありがたいけど、余計なことをするとぼろが出るから、友達との会話に集中して」と、マリトは注意を促す。


シノハと呼ばれている女子学生は、170cmほどあるだろうか、長身で、腰まで伸びるまっすぐな黒髪をしている。

目は黒く切れ長で、どことなく落ち着いた和の雰囲気がある。

ラミーシャほどではないが、肌は白い。

トップスは同じセーラー服だが、ボトムスはスカートではなく、膝上までのキュロットのようだ。


真ん中の男子学生は、180cmを超える長身で体格も良い。

ヨーロッパ系で、目はグレイに近い青で、髪色はラミーシャよりも薄いブロンドだ。

彼が着ているのは、女子学生のセーラー服とは違って、ポロシャツのようなデザインだ。

襟はセーラー服と同様に明るいブルーの線で縁取られている。

ボトムスは膝下までの長さのハーフパンツだ。


彼の右にいる女子学生は東洋系で、やや色黒の肌で、身長はラミーシャと同じくらいで華奢な印象だ。

髪色は栗色で、目は黒い。

隣に大男のアランがいるためか、小さく見える。

ラミーシャと同じタイプのスカートを履いているが、それ以上に目立つのは左足が包帯でぐるぐる巻きになっており、松葉杖をついた状態で、包帯を巻いた足を宙に浮かせていることだ。


ラミーシャの昼食のトレイはすでにテーブルの上に置いてあったので、そこに腰掛けた。

「私たちのお昼ご飯も持ってくるね」と言って、シノハとアランの二人は席を立った。

戻ってくる間、ラミーシャはケイとふたりで話をはじめた。


そのとき、耳の後ろあたりで筋肉がピクリと収縮するような、かすか違和感を感じた。

ラミーシャとケイは素早く目配せした。

「来るね」とラミーシャ。

「レベル2くらい?」とうなずきながらケイが答える。

ラミーシャもそれに応えるようにうなずきながら、そっと食事のトレイを持ち上げた。


外から鐘の音が聞こえてきた。

「カンカン、カンカン、カンカン、……」

そして揺れが来た。

『地震だ』

『このふたり、地震を事前に察知したのか』

マリトは揺れの中で思った。


#STATUS: SPRINT COMPLETED. PROJECT IN PROGRESS.

この回は、地震が予知できるという特殊能力が判明しますが、それ以外は、ほとんど、日本の高校を舞台にしたアニメの夏のシーンですね。どこが異世界やねん、という感じです。

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