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第2話 ギャルいアイツよりイモいあのこだね

メカ山先生の車に乗って家に向かっている。


「メカ山先生ってなんで男の見た目なんですか」

「ンンー、私も詳しい理由はよく分かっていませんガ女子ウケがいいらシクッテ…」

「保健室で?」

「保健室デ…」


それは、どうなんだろう。色々と。


「保健室における女子ウケって色気より安全性ですよネ…」


誰がデザインしたのこの人。そんな会話を片耳でしつつも、もう片耳はテレビの音声を拾っている。


『突然姿を表したこの赤い鳥のようなものはA県ナントカ市を飛び回り、このように…街中に火をつけ周りました。消防隊が現在消化活動を行っており…』


うぇ、なんだこのアポカリプスは。本当にこんなことが起きてるの?まだ、寝ぼけてるんじゃないか…


「ていうかここナントカ市じゃん、まあまあ近い」

「…ンン、だからこうやって送ってわけですヨ。こっちに来たら大変でス」

「学校に避難じゃなくていいんですか」

「火は学校をも燃やしますヨ」

「そうですねぇ…そういえば、倉井さん…女の子は無事に帰りましたか」

「アァ、その子は別の先生が送って帰ってましたヨ」

「よかった」

メカ山先生に礼を言って車から降りる。独特の金属音を鳴らして「どういたしまして」とウィンカーをつけてまた走り出した。


今日の火災事件は幸いなことに死者はいなかったらしい。特に関係もない事件だが、死者が出ないことは喜ばしいことである。

…それにしても、あの変なのはなんだったんだ。なに、ラブフェニックスて。まさか夕方のアレと関係…あるわけないよな。わけわからんじゃん。まあ、寝るか。


次の日。学校へ来ると倉井さんが駆け寄ってきた。


「飛騨君、昨日は大丈夫だった?」

「あぁ、昨日はありがとうね。元気だよ」

「よかっタロイモ」


緊張の緩みでもギャグが出るのか。営業とか大丈夫かな。ありがとうと礼を言うと倉井さんは狐山さんの方へ戻って行った。やることないしトイレでも行くか


「クライちゃん、彼のこと好きなの〜」

「いや、そういうのじゃないけど… でも最近、飛騨くんと喋るの楽しいなって、思いま…す…一桝…」

「ふ〜ん、乙女の顔になってきてんじゃん⭐︎」

「あ、あんまり揶揄わないで羊水〜」

「クライちゃん、あんまり人前で羊水とか言わない方がいいんじゃね」


昼食の時間。友達の九重でも誘って食堂に行こうか。うぉーい、ここの…


「ねぇ、飛騨くん。一緒にご飯食べない?」


九重への呼びかけを遮るかのように狐山さんが俺に謎のお誘いを。これは受け取るべきか、探りを入れておこうここは。なんか怖い


「え、狐山さん?いつも倉井さんと一緒にご飯食べてるじゃん。なんで俺なの?」

「ちょ〜っとクライちゃん関連の話で聞きたいことがあってね。手芸部の部室行くよ」


質問のアンサーも拒否権も無い!ていうか手芸部って結構遠いじゃん…でも倉井さんのことならついていってやってもいいか…


「あ〜〜〜、わかったわかった、いきます」

「ホントに〜〜!?テンキュ」


手芸部室。南棟2階にある空き教室。何故か狐山さんが鍵を持ってるのでよく無断で使っているらしい。


「で、倉井さんについて聞きたいことって何?魅力?」


ここでおっぱいとか言ったらぶん殴られるかな。


「クライちゃんの魅力は私も知ってるからいいんだけど〜、そ・れ・よ・り、昨日どうして倒れたの?」


昨日、たしかに俺は意識を失って倒れた。そしてなんだか危ないらしいからとメカ山先生に助けてもらってなんだかんだで家に帰ることに成功。倉井さんは保健室にいるメカ山先生を呼んだり心配してくれたりと助けてくれたが、それのどこに倉井さん要素が入ってるんだ?


「えぇーと…倉井さんに『貴方と喋るの学校で二番目に楽しい』って言われて…で頭が痛くなってぶっ倒れて…」

「もしかして萌え倒れ?ウケる、モテない君って感じだね」

ムキーっ、なんか腹立つ!(腹立つ度23%くらい)

「モテてもよ、好きな女の子からあんなこと言われたら…あ」

「へぇ、あんたクライちゃんのこと好きなんだ」

「…倉井さんに言うなよ」

「…あぁ、うん。言わないよ」


なんか含みのある『言わないよ』だな…もう少し、信頼感というものを出していただかないとこちらも困るというか…


「あんたの恋心はどうでもいいとして、他に倒れる前に身体の様子おかしかったりした?」


保険医?


「別に… あーでも、倒れる前にデカい鳥と鳴き声みたいなのが聞こえたような…」

「鳥?鳥か… 赤かった?」

「赤かった」


長考するギャル。そんな人いるのだろうか。


「度々頼み事して申し訳ないんだけどさ…今日の放課後、深淵神社まで来てくれない?ちょっと、見せたいものがあるんだ」


え、深淵神社?地元のキラキラネーム神社でお馴染み深淵神社に?えぇ〜〜〜


「5000円あげる」

「いきます」


礼を言ってそのまま狐山さんは去っていった。俺も出ようかとは思ったが、せっかく弁当を持ってきているので部室で飯を食って教室に戻ることに。それにしても狐山さん、なんか普段雰囲気違った気がするなぁ。気のせいか?


「狐山さんいる…ってわっ、飛騨くん!?なんで飛騨くんが…」

「倉井さん」


マイスイート倉井さんが出現。実はさっき初めて人に好きな人のことを打ち明けたので、当人を目の前にするとドキドキしてしまう。

(ピギー!)

…またこれか?頭痛がする。苦しい表情を見せたくないので必死に、顔色の変形すら我慢してニコニコする。


「狐山さん探してるんだったら、さっきどっか行っちゃったよ」

「ああ〜なんでいないのお…?今日恋愛相談してくれるって…」


恋愛相談…?倉井さんも恋愛とかされるんです、え、ど、されるんですね…


「あ、これ、これ違くて!そのーー、友達の話なんですけど…その、私も恋愛したいナースコール…なんちゃって、ははは、ははは…」

「その、少女漫画とか恋愛文学とか、少年漫画のちょっとした恋愛要素とか見るとお腹キュンってなって… あいやこれも違って…うーーー…」


勝手に自滅してる…よーわからん自滅…言語化できない可愛さだなあ…あぁ…好きだ…

(ラブフェニックス、ラブフェニックス、ラブフェニックス!三回も言ったぞ、愛ゲージ!地獄に住んでりゃ恋はオアシス、天国住んでりゃ愛は永久、吾輩は全て!!大地獄!愛不死鳥!死!)

グッ…またかよ…あ…意識が…遠のいて…


ぱたり

つづく





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